第二十四話 ~彼女と過ごす二日目・彼女を思い出の場所に連れて行く決意をしました~

 第二十四話




 ゲームセンターで時間を潰した俺と永久さんは、再び映画館へと足を運んだ。


 ちょうど開演十五分ほど前なので、買い物などをして向かえばちょうど良い時間になると思った。


 チケット売り場に足を運び、店員さんと話をする。


『いらっしゃいませ。どちらの映画のチケットをご所望ですか?』

「こちらの映画です。あと割引券があるんですが使えますか?」


 俺はそう言って割引券を二枚目提示する。


『えーと……はい!!大丈夫です!!』

「では大人二枚お願いします」

『かしこまりました。料金はこちらになります』

「了解です」


 俺はそう言うと二人分のお金を支払う。


『ではこちらがチケットになります。どうぞお楽しみください』

「ありがとうございます」


 店員さんからチケットを貰い、俺は列を外れた。


 そして、永久さんが並んでいる食べ物屋さんのところに足を運ぶ。


「チケットは無事に買えたよ」

「ありがとうございます、霧都くん。こちらももうすぐです」


 彼女の言うように、そう待たない内に順番が来た。


『いらっしゃいませ!!どちらをご所望ですか?』

「私は烏龍茶とキャラメルポップコーンでお願いします」

「俺はコーラと塩ポップコーンでお願いします」

『了解しました。少々お待ちください』


「甘い物としょっぱい物の組み合わせって好きなんだよね」

「わかります!!キャラメルポップコーンだと口の中が甘くなるので烏龍茶にしました」

「後で交換とかもしようね」

「はい!!」


 そんなやり取りをしていると、店員さんが出来上がった商品を持ってきてくれた。


『お待たせしました。こちらになります』

「ありがとうございます」

「ありがとうございます」


『料金はこちらになります』

「チケット代を出してもらっているので、ここは私が持ちますから!!」

「あはは、ありがとう永久さん」


 料金の支払いを終え、俺と永久さんは出来上がった飲み物とポップコーンを手にして、劇場内へと向かう。

 今から楽しみだ。




 そして、商品をこぼさないように注意をしながら、指定された席に座った。


 スマホの電源を落として、映画を見る準備を整える。


 スクリーンには映画泥棒のあのアニメが流れている。


「……あの動画がどうしても苦手なんです」

「わかる。キャラクターデザインがとうもね……」


 なんて話をしていると、開演の時間になったようで、館内が暗くなる。


 客席はほぼ万席。人気の高さがうかがえた。


 鬼を狩る少年の映画や呪霊の映画もそうだけど、最近のあの雑誌の映画は調子が良いと思ってる。


 そう思ってると映画が始まった。



 ヒーローを目指す少年の映画。

 元の漫画は好きで読んでる。


 映像のクオリティもすごく高い。

 話の出来も申し分ない。


 非常に満足できる内容だ。


 そう感じながら俺は映画を見ていたが、心の中は上の空だった。


『俺はこの後……永久さんに告白をする』


『場所は……あの公園だ……』


『思い出の公園。凛音と良く遊んだ公園で、俺は永久さんと恋人同士として新しいスタートを切るために、告白する』


『凛音を好きだった過去と決別するために』


 そんなことを考えていると、映画がいつの間にか終わっていた。


 内容なんかあまり頭に入ってこなかった。




「とても面白かったですね!!」


 館内から外に出た永久さんは興奮した口調で俺に話し掛けてきた。


「うん!!映像のクオリティも高かったし、内容も良かったよね!!前評判に負けないレベルだったね!!」


 と、それっぽいことを言っておいた。


「霧都くん。そろそろいい時間ですけど、帰りますか?」


 時間を見ると十六時だった。帰りの時間を考えるならそろそろと思うけど、俺の『計画』には付き合ってもらいたい。


「いや、実は永久さんを連れて行きたい場所があるんだ」


 俺は彼女の目を見ながら、真剣な口調でそう話した。


「連れて行きたい場所……ですか」

「うん。ここからバスも出てるし、そこまで遠いところじゃないんだ」


 俺のその言葉に、永久さんが首を傾げる。


「霧都くん。それはどこなのか聞いてもいいですか?」


 当然だよな。気になるのは当たり前だと思う。

 だから、俺はきちんと話すことにした。





「俺の思い出の公園。小さい頃に凛音と良く遊んだ公園に、君を連れて行きたいんだ」


 俺はそう話した。

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