十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
第二十一話 ~彼女と過ごす二日目・彼女に内緒でサプライズアクセサリーを購入することが出来ました~
第二十一話 ~彼女と過ごす二日目・彼女に内緒でサプライズアクセサリーを購入することが出来ました~
第二十一話
多少のトラブルはあったものの、メンズファッションショップで新しい洋服を買った俺は隣にあるレディースファッションショップに、永久さんと向かう。
中には同年代から少し年上くらいの女性が沢山居て、人気店であることが伺えた。
だが、やはりと言うか男性の姿は見えない。
彼女のツレ。というのを期待していたが『仲間』の存在は確認出来なかった。
「……ふぅ」
「ふふふ。そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?」
初めて立ったマウンドよりも緊張を感じている俺に、永久さんが笑いかける。
「私と一緒に入れば問題ないですし、今は色々な服を自由に着る時代です。男性がご自身で着る服を選びに一人で来る場合もありますよ」
「なるほど……」
女装男子。という言葉を聞いたことがある。
とある番組をきっかけにしてブームとは言えないけど、認知されてきた感はある。
「一人でいたら通報されると思ってたよ」
「ふふふ。そんな人はいませんよ」
そんな会話をしながら、俺と永久さんは店内を進む。
……あのアクセサリー。永久さんに似合いそうだな。
視界の隅に、ピンクの花柄のブローチが目に付いた。
軽く値段を確認すると、そこまで高いものでも無かった。
試着室で永久さんが着替えている間に会計を済ませて、今日のプレゼントとしてサプライズにしようかな。
そんなことを考えながら、永久さんと歩いた。
「霧都くんはどんな服を着てもらいたいと思ってますか?」
『春物只今セール中』
と書いてあるコーナーにたどり着くと、永久さんが俺に聞いてきた。
「正直な話。君の肌を誰か他の男に見せたくない」
「…………あぅ」
俺のその言葉に、永久さんが顔を赤くして俯く。
「露出の高い服を着た君を見たい。と言う欲望があるのは事実だけど、他の男には見せたくない。だからなるべく露出を抑えた服が良いかな?」
「そ、そうですか……では、ミニスカートとかは辞めておきますね……」
永久さんはそう言うと、一枚のワンピースを手に取った。
オフショルダーと書いてある。
「こういう肩が出ているのはどうですか?」
「えっちだね」
「え、えっちですか!!??」
真顔で呟いた俺に、永久さんが驚いた。
「ふぅ。全く。君は男をなんだと思ってるんだ」
「す、すみません……」
「でも、そういう服を着た永久さんを見たい。と言う欲望はあるんだよね。悩ましいね……」
俺がそう言うと、永久さんはあることを思いついたようだ。
永久さんはもう一枚服を持ってきた。
「では、霧都くんと二人きりで居る時はこの状態で居ます。人前に居る時はこれを一枚羽織ります。それならあなたにだけ私が露出の高い服を着た状態を見せられますよ?」
「ありがとう。俺のお願いを叶えてくれて嬉しいよ」
俺がそう言うと、永久さんは
「霧都くんの好きな色は何ですか?」
「白や薄いピンクが好きだよ」
色の好みを聞いてきたので、答えてあげる。
昨日着ていた薄いピンクのワンピースは死ぬほど似合ってて可愛かった。
「なるほど。では白いオフショルダーのワンピースに、薄いピンクの羽織ものを着てみますね」
永久さんはそう言うと、洋服を持って試着室に向かう。
「永久さん。大変申し訳無いんだけど、一度外に出てて良いかな?流石に試着室の前に一人で立ってるのは恥ずかしくて……」
「ふふふ。そうですか。では、着替えが終わったらメッセージを送りますね」
「うん。そうしてくれると嬉しいかな」
と俺は言う。
本当の理由は、恥ずかしいから。では無く、永久さんにブローチを買いたいから。だけど。
「では、少々お待ちください」
「焦らなくていいからね?」
「ふふふ。はい。では存分に焦らしてあげますね」
永久さんはそう言うと、フワリと笑って試着室へと入った。
よし。ブローチを買いに行こう。
俺はそっと試着室から離れると、アクセサリー売り場に足を運ぶ。
ちょうどその場には店員さんが居たので、声を掛けることにする。
「すみません。ちょっと良いですか?」
『はい。何でしょうか?』
振り向いた店員さんに俺は目当てのブローチを指さす。
「これを欲しいんです」
『お買い上げですね、ありがとうございます!!』
店員さんは笑顔でそう言うと、商品棚を開けてブローチを取り出す。
『包装はどうなさいますか?』
「プレゼント包装でお願いします」
『かしこまりました。有料で箱をお付け出来ますが、如何なさいますか?』
「いくらですか?」
『500円です』
……一割増くらいか。別にこの位なら構わないよな。
箱にくらい、見栄を張りたいし。
「お願いします」
俺はそう言うと店員さんに着いていき、レジへと向かう。
そして、会計を済ませて綺麗にプレゼント包装をされたブローチをカバンの中にしまう。
「よし。すんなり買えてよかったな」
俺はカバンの中に入れたブローチの箱を指で撫でる。
「喜んでくれるといいな」
そんなことを呟いていると、スマホがメッセージの受信を知らせるために震えた。
『着替えが終わりました。ふふふ。霧都くんを悩殺して差し上げますよ?』
あはは。ほんと、勘弁して欲しいかな。
そんなおちゃめな永久さんのメッセージに
『俺はいつでも君にメロメロだよ』
と返してあげた。
試着室の前に戻ると、扉はまだ閉まったままだった。
なるほど。まだまだ俺を焦らすつもりなんだね?
「永久さん。来たよ」
俺が扉に向かってそう言うと、
「はい。ではご覧下さい」
そう返事があってから、扉が開く。
「……………………」
「ど、どうでしょうか」
永久さんの姿を見た俺は、言葉を失った。
彼女の綺麗な肩が露出され、健康的なエロスを感じながらも、白いワンピースが彼女の清楚さを現していた。
はっきり言って、そんじょそこらのアイドルなんか目じゃない美しさ。
下界に降り立った奇跡が具現化した存在では無いのか?
「綺麗だ……」
俺はようやくその一言だけ、つむぎ出すことが出来た。
「あ、ありがとうございます……」
永久さんは顔を赤くしながら、そう呟いた。
「でもやっぱり、その姿は俺だけが独占したい。他の男には見せたくないな」
「はい。ではこちらを羽織って見ますね」
彼女はそう言うと、ハンガーにかけてあったもう一枚の洋服を肩に羽織る。
すると、肩の露出が抑えられ、彼女の清楚さがさらに増した。
これはこれでとても素晴らしい。
「うん。これはこれでとても綺麗だよ。他の人の前ではこれでお願いしたいかな?」
「はい。春物セール中なので二枚買っても予算の範囲内です」
「今着る人が多いのに、セールをするって不思議だね」
ふと思った疑問に、永久さんが笑いながら答えてくれた。
「ふふふ。女性物の服は、季節を先取りするのか殆どなんです。ですので今なら夏物が主流になるんですね。そうしますと、春物は『季節外れ』になるので安くなるんです。私たちのような高校生にはありがたいと思います」
「へぇ……そんなんだ」
「水着なんかもそうですよ。新作が出る五月くらいに買うよりも、七月や八月になるとお買い得になるんです」
「なるほど。一番着る季節に安くなるってのは面白いね」
水着……このまま普通に彼女と愛を深めていけば、夏には海やプールに行くことはあるだろう。
こんなワンピースなんかよりも、もっと露出された彼女を見れる。それはとても嬉しいし、期待が高まる。
でも、同時に他の男の目にも彼女の肢体が晒されることになる。
うーん。今から色々考えておこうかな。
「それでは、もう一度着替えをしてからこれを買ってきますね」
「うん。わかったよ。また外で待ってるね」
「はい。ではまたメッセージを送りますね」
永久さんの言葉に首を縦に降り、俺はその場を立ち去った。
「さて。そろそろご飯の時間だよな」
時刻を確認すると十三時。
お昼時を外しているので空いてるとは思ってる。
俺は一旦店の外に出ると、近くにあった施設の案内板を見る。
「永久さんが好きなお肉系の店が良いよな……」
そう考えている俺の目に、ひとつの店が候補に上がる。
『めちゃはやステーキ』
味や価格も良いが、何より早いことが有名なお店。
一度食べたことがあるけど、この店のガーリックライスは美味しかった。
まぁ、デートで食べることは無いけど。
「よし。この店を第一候補にしようかな」
俺がそう思っていると、スマホがメッセージの受信を知らせる。
『お待たしました。着替えが済みました』
と普通のメッセージが来た。
『うん。今行くよ』
俺はそうメッセージを返して、彼女の待つ試着室へと足を運んだ。
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