十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
第十五話 ~彼女と過ごす一日目・彼女の実家に妹と一緒に訪れました~
第十五話 ~彼女と過ごす一日目・彼女の実家に妹と一緒に訪れました~
第十五話
「はい。お兄ちゃん、準備出来たよ!!」
そう言って美鈴は俺に荷物が詰まったバッグを渡してくる。
「この中には明日のデートに着ていく服も入ってるから、それを着て永久さんと楽しんで来てね!!」
「あはは。ありがとう、美鈴。本当に助かるよ」
俺は荷物の入った大きなバッグを肩に掛ける。
「私も準備が出来ました」
二階から準備を終えた永久さんがバッグを持って降りてくる。
「霧都くん。美鈴さん。一晩、お世話になりました」
「今度泊まりに来る時は、私の部屋で寝てくださいね?永久さんと一晩中話したりとかしたいです!!」
「ふふふ。そう言って貰えると嬉しいです。今夜は霧都くんと寝る予定ですから、美鈴さんとは次回の楽しみに取っておきますね」
や、やっぱり俺と寝るのか……
だ、だけど野球をしたから身体はかなり疲れてるし、きっとぐっすり寝れるはずだ。
理性を失う前に寝てしまおう……っ!!
俺はそんな情けない覚悟を決めておいた。
「永久さんと美鈴のバッグは俺が持つよ」
「……え?良いんですか」
「お兄ちゃん。三人分は流石に重いんじゃ無いかな?」
そう言う二人に俺は言う。
「それなりに鍛えてるからね。それに、どちらか片方だけ持つのも不公平だろ?俺に格好を付けさせてくれないか?」
「そう言われては仕方ないですね。お願いしても良いですか?」
「うん。じゃあ私もお願いしようかな。でも、無理だったら言ってよね?」
「あはは。これもトレーニングだと思うことにするよ」
俺はそう言うと、二人からバッグを預かり、肩に掛ける。
ズシッと重みが来たけど持てないレベルでは無い。
美鈴はガス栓の確認とブレーカーを落としに分電盤の方へと行った。
「うん。大丈夫かな。洋服とかが主だと思うし、見た目ほど重さは無いかな」
俺が永久さんにそう言って笑いかけると、奥からパタパタと美鈴がやって来た。
「お兄ちゃん、永久さん。ガス栓も大丈夫です。今、ブレーカーも落としたので永久さんの自宅へ行きましょう!!」
「はい。私も今から楽しみです」
きちんと戸締りをして、ガス栓やブレーカーも確認した俺たちは桜井家を後にして、北島家に向かって行った。
バスと電車を乗り継いで、俺たち三人は永久さんの自宅へと向かう。
それなりに遅い時間だったので、電車の中は結構混んでいた。
この混み具合なら不届きな野郎が出ないとも限らないので、二人の身体は俺と荷物でしっかりとガードしておいた。
そして、お腹もかなり減ってきて夕飯を食べるにはベストコンディションだな。と思っていた時に、
『北島』
永久さんの自宅へと辿り着いた。
「こちらが私の自宅です」
「大きなお家ですね!!お兄ちゃん!!頑張ってこれ以上の生活を永久さんにさせてあげる甲斐性が無いとダメだからね?」
「あはは。頑張るよ」
「ふふふ。私は霧都くんとでしたら、どんな生活でも幸せになれますよ」
「ありがとう、永久さん。でも男としてはそれなりの水準では生活を送って貰いたいと思うよね」
と、そんな会話をしながら、俺たちはインターホンを鳴らした。
ピンポーン
と鳴ってから少しすると、
『はーい。待ってたわよー』
と優美さんの声が出迎えてくれた。
「こんばんは、優美さん。妹共々、今晩はよろしくお願いします」
『ふふふ。私もお父さんも楽しみにしてるわよ。今、玄関を開けるわね』
そして、少しすると
ガチャリと玄関の扉が開く。
「こんばんは、霧都くん。あとそちらの可愛い女の子が妹さんかしら?」
「はい。霧都兄さんの妹の美鈴と言います。今晩はよろしくお願いします」
美鈴はそう言うと、優美さんに一礼した。
「ふふふ。そんなにかしこまらなくても良いわよ、美鈴ちゃん。自宅だと思ってくつろいでもらって、それと永久とも仲良くしてくれると嬉しいわ」
「はい。お気遣いありがとうございます!!もうお腹ペコペコなので夕飯を楽しみにして来ました!!」
ニコリと笑ってそう言う美鈴。優美さんはそれを聞いて嬉しそうに笑った。
「ふふふ。じゃあ三人とも家に上がって。今日はハンバーグだから期待しててね」
「「「はーい」」」
俺たちはそう返事をすると、北島家に上がらせてもらった。
「やぁ、霧都くん。待っていたよ」
居間に入ると、雄平さんが笑顔で出迎えてくれた。
「こんばんは、雄平さん。今晩はよろしくお願いします。それと、こちらが妹の美鈴です」
俺は雄平さんに一礼した後、身体をずらして美鈴を前に出す。
「こんばんは。霧都兄さんの妹の美鈴です!!今晩はよろしくお願いします!!」
と、美鈴も一礼した。
「あはは。美鈴さん。お母さんから言われたと思うけど、あまりかしこまらなくて良いからね?自宅だと思ってくつろいでもらいたい」
「はい!!ありがとうございます!!」
そして、俺と美鈴は居間の端に荷物を置かせて貰い、手洗い場でうがいをした後に手を洗ってくる。
居間へと戻ってくるとハンバーグの焼ける良い匂いがしてきた。
「お、お腹が減りましたね……」
俺がその匂いに思わずそう呟くと、
「あはは。もう少しで出来るからね。お母さんのハンバーグは本当に美味しいから期待しててよ」
雄平さんが笑いながらそう話した。
「はい。これがサラダね。もうお父さん、座ってないで人数分のお皿出してね?」
そう言いながら永久さんが大きなガラスのボウルに入ったサラダをテーブルの真ん中に置いた。
サラダの真ん中には金属製のトングが一つ入っている。
「あはは。ごめんね、わかったよ」
雄平さんは笑ってそう言うと、食器を取りに椅子を立った。
「霧都くんと美鈴さんは椅子に座って待っててね。お客様だから」
永久さんはそう言うと、ニコリと笑った。
「あはは。わかったよ、お言葉に甘えようかな」
「はい。ありがとうございます!!」
俺と美鈴はそう言って、テーブルの傍にある椅子に座って待つことにした。
そして、少しするとお皿のドレッシングを持った雄平さんがテーブルに戻って来た。
「はい。これが取り皿ね。サラダはこれに自分で取り分ける感じかな。ここにドレッシングがあるから好きなのを使ってね」
「ありがとうございます。雄平さん、優しくて良いお父さんですね」
「あはは。尻に敷かれてるところを見られてしまったね」
「そんな事ないですよ。ああいう事を普通に言える。そういう間柄が良いなぁと思いました」
「そうかい?そう言って貰えるなら嬉しいかな」
なんてやり取りをしていると、美味しそうに焼けたハンバーグがテーブルに並び始める。
「お待たせしました。メインディッシュです」
「ありがとう、永久さん」
「ありがとうございます」
そして炊きたてのご飯も目の前に並び、コーンスープも出て来た。ご飯の支度が整った。
やべぇ……マジで美味そうだ……
俺は目の前に並んだご馳走に唾を飲む。
「ふふふ。肉好きの永久が我慢出来なさそうなのはわかるけど、霧都くんも釘付けね?」
は!?と横を見ると、永久さんが恥ずかしそうに頬を染めていた。きっと俺と同じようにハンバーグに釘付けだったのかも知れない。
「お、お母さん!!そういう事は言わなくていいよ!!」
と、永久さんが照れ隠しにそう言う。
家族相手だと少しだけ口調がくだけるのも彼女の可愛いところだと思う。
「ふふふ。じゃあ食べましょうか」
優美さんのその声に、俺たちは全員首を縦に振る。
そして、
「「「「「いただきます!!」」」」」
と声を揃えてから、夕飯を食べ始めた。
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