十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
第二十三話 ~ネット上の親友の中身がわかる瞬間を味わいました~
第二十三話 ~ネット上の親友の中身がわかる瞬間を味わいました~
第二十三話
生徒会室で衝撃的なシーンを見せつけられたあと、
『まぁ本格的な実務は明日からお願いしようと思う。だから今日はもう帰宅していいよ』
と言う師匠。
『わかりました。その……師匠はまだ残ってるんですか?』
なんとなく、俺たちが帰ったあとにも何かがありそうな感じがしたので聞いてみると、
『ええ、そうですよ。桜井くん。悠斗くんにはこの後おしおきが待っていますので』
『……お、おしおき』
詳しく聞いてはいけない気がした……
俺たち三人は何も言わずに生徒会室を後にした。
そして、
ガチャン
と、生徒会室に鍵が閉められる音が俺たちの背後から聞こえてきたのだった……
そして、家へと帰宅した俺は、自室のパソコンを起動した。
『ライジン・オンライン』
俺が中学生の頃から始めているネットゲームをする為だ。
『ライジン・オンライン』通称ライオン。
登録者数は100万人を超える超大型MMORPGだ。
ハンドルネームを『✝︎キリト✝︎』にしている俺は、いつもそれをネタにされていた。
ハンネに本名を使う奴なんか居ないと思うが、俺の場合は本名こそもっとも安全な物だと言えた。
あの漆黒の双剣使いには感謝だ。
俺がライオンにログインすると、それを待っていたのか、親友からチャットが飛んで来た。
『やぁ、ブラザー!!ログインしたんだね。待ってたよ!!』
『待たせたな、スター!!もうログインしてたんだな!!』
『シューティング・スター』と言うハンドルネームの俺の親友が個人チャットを飛ばしてきた。
彼は俺がこのライオンを始めた頃からの相棒。
『ブラザー』『スター』と呼び合うような間柄だ。
三年以上の間。数々のクエストを二人でこなしてきた俺の大切なネット上の親友だ。
彼とは色々な話をしていて、俺と同い年の男だという事を知っている。
『今日は昨日配信になった新規クエストをやろうって話だったよな?さっそくやるか?』
なんてチャットを飛ばすと、
『いや、ブラザー。今日はちょっと相談があるんだ……』
とスターから返信があった。
俺とスターはクエストを共にする間柄でもあるが、こうしてリアルの相談するレベルの親友でもある。
ぶっちゃけ、凛音との事も話してた時期もあった……
『仲の良いと思ってる幼馴染の女の子と恋人になりたいんだ……』
と話したら
『仲の良い幼馴染の女の子だって!!リア充爆発しろ!!』
なんてやり取りをしたのは思い出だ。
『相談か……俺に答えられることならなんでも聞くぜ!!』
なんて返信を飛ばすと、
『ブラザーには、俺がリアルでは陰キャでコミュ障なのは話してるよな……』
『まぁな。だけどネット上とリアルでは人格が違うなんて普通だろ?』
すると、「ん?」と思う返信が飛んで来た。
『今日は学校で委員を決めることがあってな。その時に陽キャの極みみたいな女の子に、学級委員をやってくれと言われたんだ……』
『え……』
な、なんかどっかで見たことがある光景が浮かんで来た。
『最初は断ろうと思ったんだが、その女の子……正確にはその子の兄がな、俺の兄貴繋がってるみたいでな、兄貴は俺の趣味を知ってるから、りんごカードを引き合いに出されてしまった』
おいおい……マジかよ……
『へ、へぇ……それで、スターは断れなかったんだな』
『そうなんだよね。毎月好きな金額のカードを買ってやる。なんて言われたら断れないだろ?』
も、もう確定じゃないか……
『シューティング・スター』
『流れ星』
『星流』
お、俺と同じくらい本名じゃねぇか!!
『それで、ブラザーに相談なんだ』
『お、おう……』
『俺はどうしたら良いかな?正直な話。俺は人前で話すのが苦手だ。だけど、他のクラスメイトに迷惑をかけたくないし、真面目に取り組まなければ指名してくれた女の子にも失礼だと思ってしまう』
『与えられた役割だ。全力でやろうとは思うけど、自分の性格はすぐには変えられない……今日は何とか凌ぐことが出来たけど、いつまでも上手くいくとは思えないんだ……』
『え、でも黒板に書いてた文字はとても綺麗だったよ?』
なんて、返信を飛ばすと
『え?なんでブラザーが俺の文字のことを知ってるんだ?』
なんて言葉が返ってきた。
やっべぇ!!こっちは相手がわかっちまったけど、向こうはまだ気が付いてないんだ!!
『なんとなく!!なんとなくだよ!!あはは!!』
『……?まぁ、いいけど』
何とかごまかせたみたいだ!!
『スター!!相談の答えなんだけど、俺の意見でもいいか?』
『もちろん!!親友の言葉だ!!』
俺は自分の中の答えを彼に伝える。
『役割分担をしたらどうかな?』
『役割分担?』
そう、これは俺が生徒会室で言われたことと一緒だ。
何も一人でやる必要はない。適材適所。自分の力を発揮できるポジションで頑張れば良いんだ。
『人の前で話すのは君の相方になった女の子に任せれば良い。きっとそれが得意なタイプなんだ』
『ほうほう』
『そして、君はそんな女の子を後ろで支えることをすればいい。学級日誌を書くとか、書記の係をするとかね。あとは突っ走って行ってしまう彼女を止められたりするなら最適かも知れないね』
『なるほど!!俺は何かを書いたりするのは得意なんだ!!そうだね、彼女を後ろでサポートすることにするよ!!』
良かった。彼の力になれたみたいだ。
『ありがとうブラザー!!やはり君は頼りになるよ!!』
『あはは。力になれたみたいで良かったよ』
そう言ったあと、俺はもう一つ続けた。
『明日からはリアルでもよろしく頼むぜ、スター!!』
『……え?』
俺は時計を見ると十九時を指していた。
『そろそろいい時間だし、昨日配信された新規クエストをやろうぜ!!』
なんてチャットを飛ばそうとした時だった。
俺のスマホがメッセージの受信を伝えた。
「…………え?誰だ。北島さんかな」
なんて思ってメッセージを確認すると、
『霧都!!話したいことがあるわ!!外に出なさい!!』
と、凛音からのメッセージが届いていた。
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