第7話 生まれつきあった障害
私はその事件があり、病院を受診することになりました。
その時の医者に言われました。
「辛い目に遭いましたね・・・。
こんな目に遭わせた犯人が憎いと思います」
でも、私の口からは医者が予想していない言葉が出てきました。
「いえ、私の危機感のなさもあります。
私自身にも落ち度はありました・・・」
「でも、怖い目にあわされて許さないでしょう?」
「いえ、私自身にも何かいけないところがあったので私のせいでもあります。
だから、私が悪いのです・・・」
私は別に自分を被害者面したいわけではありません。
ただ、その時の格好は短めのスカートに上服は割とスタイルが分かる服を着ていました。
昔から発育が良い方だったので胸も割と大きかったところがあります。
服の関係上、その胸の大きさも分かる服だったので余計目につきやすかったのかもしれません。
だから、私は「そういう格好」をしていた自分に非があると思ったのです。
でも、私が犯人を許そうとしていることが医者には引っ掛かったらしく、私はある検査を受けることになりました。
そして、その結果が「高機能広汎性発達障害」でした。
生まれつき人とは違うのは障害者だったからなんだなと、その時にすごく納得しました。
「あぁ・・・。
だから私は皆とどこか違っていたんだ・・・」
ここで、ようやく私が生まれつき障害者だったことが分かったのですが、じゃあ、具体的にどうしていけばいいかと言えば「分からない」というのが本音でした。
私はとりあえず短大を休学することにしました。
そして、自分の障害と向き合うためにその障害の勉強が始まったのです。
休学しているからと言ってお金がないのは困るのでバイトはしていました。
日払いの派遣のバイトです。
そのバイトでも、時には嫌がらせを受けることはありました。
でも、上の人が話を分かってくれる方だったので配慮をしてくれました。
お陰で私は特にそのバイトで気を病むことなく続けることができたのです。
その時の配慮して下さった方に感謝です。
少し精神的に落ち着いた私はユウヤの所に行きました。
久々に精神世界に行き、ユウヤが抱き締めてくれました。
でも、ユウヤはその時泣いていたのです・・・。
「ごめんな・・・。
守れなくてごめん・・・。
なんで、俺、肉体が無いんだろう・・・。
ユウナをいざと言う時にいつも守れない・・・。
本当にごめん・・・」
ユウヤは苦しそうにそう言いました。
その言葉に私は何も言えませんでした。
ユウヤは守ってくれる・・・。
でも、ユウヤは本当の所では守ることができない・・・。
それが、ユウヤの苦痛でした。
『守りたいけど守れない』
ユウヤはそのことにずっと苦しんでいました。
私は自分が発達障害だと分かり、今までの疑問が無くなりました。
そして、その時はこう思ったのです。
「私は皆と一緒じゃなかった・・・。
私は人間の姿をしているだけの化け物なんだ・・・。
だから、いじめられた・・・。
それは、私が人間じゃない生き物だったから・・・」
これが、その時の私の気持ちです。
「発達障害」と聞いて、私は自分が「人」ではないのだと思ってしまったのです。
差別のような迫害を受けたのも、あれだけ酷いいじめを受けたのも、私が「人」じゃなかったから・・・。
その時は本当にそう思ったのです・・・。
私は虐げられて当然の生き物で、「人様」に逆らってはいけない生き物・・・。
これが私の生まれてきた定めなんだと思いました・・・。
なので、その頃は向き合う勉強をしていたものの、全く向き合えていなかったのです。
そして、私は再度二年生をするために短大に復学しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます