第3話 中学生の頃の話
これは、私が中学生の時の話です。
中学に入り二つの小学校から一つに中学校に上がりました。
私の住むところには中学は無かったので隣の町にまで行っていました。
私の言っていた中学校は、なんというか普通の中学よりレベルが少し高かったようです。
なので、転校してきた子はよく「こんな授業についていけない!」と言っていました。
特に私が住んでいたところはそこらじゅうに塾が沢山あったのでどこかの塾に行くのは当たり前の地域でした。
私ももちろん行っていました。
個人で塾を経営していたところなんですが、女の先生でとても良かったのを覚えています。
ただ、私は中学生の記憶を殆どと言っていいほど持っていません。
私は中学に入学してクラスのある女子グループに目を付けられていたそうです。
その子たちは私にかなり酷いいじめを繰り返し行っていたみたいです。
そして、おそらく決定的な何かがあったのでしょう。
私が覚えているのはいじめに耐えきれなくて家出をして電車に乗り遠くまで行き、どこかでひっそりと死のうとしたことです。
でも、ある家の方が保護してくれて、私は警察署に連れてかれて親が迎えに来ることになりました。
あの時は本当に死にたかったです。
でも、今の私が覚えているのはいじめがあまりに辛くて家を出て死のうとしたことだけなんです。
いじめを受けたのは確かです。
でも、そのいじめがあまりにも酷かったのでしょう・・・。
私はどんないじめを受けたのかを覚えていないのです。
医者は、おそらくそのいじめは自分では受け止めきれなかったため自分で記憶を消してしまったのだろうと言っていました。
思い出せないのです。
そのいじめの内容が一切思い出せなくてそれ故に記憶をほとんど失っているんです。
写真を見ても思い出せないのです。
でも、その代わり悪夢のようなものに苦しめられる時があります。
起きた時はどんな夢だったか覚えていないのですが、とてつもない恐怖感が体に纏わりついています。
そして、感覚的に記憶を失っている中学生の時の記憶なのではないかという思いが毎回こみ上げてきます。
その夢の中で私は「学校に通っている子ども」という感覚だからです。
そして、その夢を覚えていなくても目を覚ましてしばらくは吐き気とめまいに襲われます。
記憶としては覚えていなくても、身体は覚えているのでしょう。
一度、思い出した方が楽なのではとも思いました。
そして、ユウヤは私のされたいじめの内容を知っているようでした。
ユウヤにはよく言われました。
「思い出さなくていい。思い出したらきっと壊れてしまうから・・・。だから、この記憶は忘れたままでいい・・・」
ユウヤの口ぶりからユウヤはいじめの内容を知っているのでしょう。
でも、私が耐えられるいじめの内容ではないから思い出さない方がいいと言っているかもしれません。
そして、最近になってユウヤがいなくなってしまった時からです。
私は悪夢を見ることが無くなりました。
もしかしたら、ユウヤはその記憶も連れて消えたのかもしれません。
私が壊れないために・・・。
私の心を守るために・・・。
殆ど記憶がない中学を卒業したのは何となく覚えています。
そして、私は高校に上がりました。
訳アリの子が通う特殊な女子高です。
次は高校の時のお話です。
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