第14話 廃墟にて

 イオ・フェニックスを地面に貼り付けておくわけにもいかないので縄で簡易的に縛り付け、廃墟へ向かった。

 鬼ヶ島の南側には港町があり、コンビニやショッピングモールなどがあることから、数年ほど前まで人が住んでいたのだろう。

 雑草がコンクリートを割り生えまくっている道を歩き、適当なコンビニに入る。

 ガラスが割れて、商品が散乱してる。ユルギが落ちているカップラーメンを拾うとまだ賞味期限は切れておらず、食料の確保には困らなそうだった。


「昔は人がいたんですね~……炭鉱の町だったのかな?」

「どうしてそう思う?」


 ラビットも布の袋にレトルトカレーやドライフルーツなど、日持ちしそうな食料品を詰めている。


「日本の無人島ってそういうのが多いんですよ。軍艦島とか。昭和の時代に資源が取れるからたくさんの人がその島に移り住んで……まぁ有限だから、そのうち無くなって人が消えていくっていう。この島のそのパターンなのかなって……何で私を見るんです?」


 ラビットは目をキラキラさせながらユルギを見ていた。


「この島の歴史なんて考えもしなかった……ユルギは詳しいんだな」

「まぁ日本人じゃないとですね。そういえばラビットさんは日本語で話してますよね? 日本で暮らしてた時期があるんじゃないですか?」

「……いや、私に全てを教えてくれた人が日本人だったから、一緒に教えてもらっただけだ……ユルギ。これは何て読むんだ?」


 すぐそばにあった乾物を投げる。


「『乾燥野菜』……ですけど?」


 普通のことを言ったつもりだったが、ラビットは目を見開いていた。


「そういうことが書かれていたのか! 初めて知った! ユルギは凄いなぁ!」

「ラビットさん漢字読めないんですか?」

「日本には初めて来たし、師匠との会話で使うだけで、文字は読んだことなかったからな……ひらがななら辛うじて読めるがカタカナ・漢字は無理だ」

「クスッ……」

「何だ?」

「いえ、ラビットさんってクールな人だと思ってたんですけど、子供みたいにはしゃいで……可愛いなぁ! って」

「……いいから! 行くぞ!」


 恥ずかしかったのか、顔を真っ赤に染めていた。


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