第7話 ジェニエーベル

問題は帰還方法であった事

帰還するにはあちらの世界と

強く結びついていることが重要らしく

ただ念じるだけでは駄目である事。


なので強く結びついている物?者?

を探すことに時間を費やした事


・・・。あーーー。俺あるわ!

あっちに体が「多分」。

だから私が来た事で準備が整ったのか。

俺は人柱にされるのか・・・。

と考えていたら


「ユキちゃんもあっちに帰る事に

 なるから安心して」

と言ってくれた。ホッとした。


「じゃああみんなで異世界へゴーね!」

美香さんは嬉しそうにはしゃいでいた。


ベル様は少し寂しそうに笑っていた。


「美香、残念ながらあちらへ行くのは3人。

 あなたとユキちゃんと

 もう一人ジェニエーベルという男の子」


「私とそのジェニエーベル様と一緒に来た者は

 こちらでやらなければ

 ならない事があるので行けないの」


今、サラッと「様」って付けたよな・・・。


「向こうにはあなたの事を伝えた。

 すると、問題なく帰れるだろう」と

言っていたわ。


「準備をしてジェニエーベルをここに

 向かわすと言っていたわ」とベル様。

「先に準備をしましょう」と笑うベル様。


美香も魔方陣を作るのを手伝って。

今から作るのは固定式になるので

一緒に作りましょう。


「ジェニエーベルが来たら異世界へ

 行けるのね!」と鼻息荒く美香さん。


ベル様は美香と魔方陣を作り始めた。

あぁだ、こうだ言いながら。

固定式とは作成に結構時間がかかるもので

確かに一人で作るには時間が

相当かかるものだ。


でもふたりで作るには同等の能力、

魔力をもつ者でなければ失敗する。

本当に美香はベル様クラスなのだな・・・。


なんだこの魔方陣は!

魔力反応がとてつもないぞ!

暴発したらこの辺り全部吹き飛ぶぞ!

よく平然と作ってるな!

おかしいぞあんたたち!


ふとベル様を見ると。そうか・・・。

私は気づいた。

3人を転移させるとなると超極大クラスの

魔方陣を使うはずで、

発動に相当量の魔力を消費するはずだ。


多分、私のようなレベルでは無理であろう。

どれほど使うのだろうか・・・。

想像がつかない。

ベル様には出来るというのか。


美香と二人で魔方陣を作成することで

魔力の消費を抑えようとしているのか・・・。


・・・いや、違うな。これはまるで

最後のひと時を一緒に過ごしているような。

楽しげなのだがなにか寂しげで・・。

もしかしたら生命力を魔力に変換するのか!

命の危険すらあるぞ!


そこまでして転移させようとする

「ジェニエーベル」とは何者だ。

いや、まて。なにかの書物で

その名前を見たような気がする。


思い出せない。何の書物だった!

思いだせ!人物の伝記物?いや違う!

何かの歴史!そうだ歴史物だ!

どんな記述だった!くそ!思い出せない!


どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。

ベル様と美香は楽しそうに笑ってる。

ほぼ完成しているのか・・・。


「じゃあジェニエーベル様が来るまで

 お茶でもしましょう。いい茶葉と

 お菓子が手に入ったのよ」とベル様は言う。


美香はうなずくと

「ねぇねぇ、そのジェニ?

 なんとかって人ってどんな人?」

とベル様に話しかける。


「そうね、お菓子食べながら話しましょう」

とベル様は言うと別室へと美香と入っていった。


ちょ!待って!

私もおおお、供をさせてくださいーーー!

危ない。一人取り残されるところだった。



そして場所は勇樹のマンションへ移る


あ、あれ・・・。

なぜか変な感じで冷静になった。

振り向くと

母さんが起き上がろうとしている。

が、力が入らないのか

背中をベッドにつけて、

なんとか座っている。


母を抱えベッドに寝かせた。

俺は手を握りスマホが圏外な事と

部屋から出れない事を伝えた。

母は少し微笑みながら


「圏外にしたのもドアを開かないように

 したのも私よ、魔法でね」


俺はそんな冗談を言ってる場合じゃないと

母に話そうとすると

「いいから黙って聞きなさい・・」


そして手を私に向け聞いたことのない

単語を唱えた。

「体を動かしてみて?」


俺は何を馬鹿な、と

体を動かそうとするが・・・動かない。

な、なんで・・・。


「ほんの数分だけど相手の行動を

 止める魔法よ。そしてさっきの、

 慌ててるあなたに向けて撃ったのは、

 まぁ冷静になる魔法ね」


20秒ぐらいで体が動くようになった。


「解けるのが速いわね、

 わたしがこんなだからかな・・・。

 それとも貴方が

 魔法に対して強いのかしら?」


微笑むところじゃないだろうに・・・。


「今からはなすことは全部真実です」

そういうとまた手を俺に向け

何かの単語・・・魔法を唱えた。


「冷静に私の話を聞いてね?」


俺はただ座って聞いている。

聴くのが当たり前のような、

母がこのような状態なのに・・・。


そして母は淡々と、そう淡々と話し始めた。


要約すると


母と俺は本当の親子ではない事

俺の名前は「ジェニエーベル」である事

二人とも異世界からの転移者である事

何故に転移して来たかは母の日誌、

記録を読むようにとの事

必ず元の世界に帰らなければならない事

それは俺の出生からの運命である事


そして母にさせられていたゲーム

「リーラの国」は元の世界「エアスト」を

基に作られており、

そこで生活や戦闘に困らないように

修練用として母が魔法で作った物である事


使える武器が刀と弓なのは俺が

弓の加護を受けていて

他の武器は持てるが「グーパンチ」の方が

相手に強いダメージが

出るほどに使いこなせないとの事

刀は元の世界には存在しない武器である事


俺は只、母さんの話を聞く事しか

出来なかった。













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