第6話 ベル・ジュラック

「さて・・・、行ってみる?」

目が覚めた美香はよだれを拭きながら

私に問いかける。


何処へ行くのかと尋ねたら・・・

「祖母の所よ、会いたいでしょ?

 そのゲームの事聞きたいんでしょ?

 私も聞きたいし。

 あなたの事も見せたいしね」


そう言いながら着替えている。

たのむ。これでも私は男子だ。

目の前で着替えられては

見てしまうじゃないか。


美香さんは色々な物をバッグに詰める。

フィギュアも数体バッグに詰める。

そして何か派手な衣装も詰める。



なぜそんなに詰めるのか。と言うくらいに

バッグに詰める。


「因みにあなた、コルンはさ。

 ずっとこっちに居たい?」と

突然言い出す美香さん。


「うーん。ぶっちゃげ帰りたいですね。

 一度帰って、体を伴ってきたいです」


どうやって帰るのよ。と言われた。

えぇ、それが問題ですね。


「もしかしたら帰れるかもよ?」

と美香さんは言う。

御婆ちゃんと話した時に、

そう言った話になったわ。

詳しくは御婆ちゃんに聞いてね。


そう言うと「行くわよ」と

いいながらリュックと言うバッグを

背負い、そして

手にぶら下げるバッグを二つ持ち

準備する。


何だろう、このどこかに旅行する

雰囲気は。それほどに遠いのだろうか。

おばあちゃんの家は。聞くと、


「異世界に行けるかもしれないのよ。

 そりゃいっぱい持っていくに

 決まってるじゃないの。」だそうだ。


「え?帰れるの?」と戸惑う居ながら

聞くと、「もしかしたら」よ。との返事。


そして私達は荷物をバイクに括りつけ、

私をタンクと言う所の上に括りつけ、

唸りをあげるバイク。


約10分ほど走り巨大な塔のような

そう、「マンション」につく。


うぉぉぉ、画像で見るより本物すげえな!

もう光が反射して眩しいほどの!

クリスタルで出来ているような・・・!


パソコンで見るより感動した私。


美香と私はバイクを休ませ、

建物に入っていった。


なにかのアイテムを光る所にかざすと

扉が開いた。ガラスの扉だ。


こんなの簡単に壊せるだろう、

と言うと美香は

「この国で最強の戦士が来るわよ、

 無詠唱で何発も鋼鉄の

 礫を飛ばせる魔法の武器を持ってね」


警察と銃だろ?知ってる、

とは言わなかった。

とりあえず私は驚いた感じで聞いてあげた。


転送装置に入り移動が完了し、

とある部屋の前に来た。

美香は何かのボタンを押すと同時に

アイテムを使いドアを開け中に入り込んだ。

まだピンポーンと音が鳴っている。


落ち着け!と私が言うと美香は

「どうせおばあちゃんは私が

 来たことなんてすでに知ってるわ、

 すごい勘がいいのよ」


通路を歩きドアを開ける。

そこにはまだ

初老というくらいの女性が居た。

まぁ祖母なので女性か。


美香は興奮気味にその女性に

「ねえ!聞いて!おばあちゃん!

 どう思う!?」と聞く。


いきなり「あのゲーム」ことを聞くのか。

美香も気になるのだな、やはり。


「ユキモリ型が動くようになったの!

 ユキちゃんて呼ぶことにするの!」


そっちかよ!


「なるほどねぇ、こりゃ面白い」

とその初老の女性は私を見て言う。


「ユキちゃんでいいのよね?名前」

と言われたので


私はブラウの国で魔導士と学者を

しているコルン・ブラントと申します。

転移の呪文で失敗したのか・・・。

魂のみこの世界に来てしまったようで。

そして美香さんと出会いました。


話を続けようとするとその初老の女性は

「ブラント家というと、親父は

 ヤーガテーなのかい?」と言われた。


私の親の名前を知っている!

そう驚いていると


「私の名前は、加納 唯。

 あなたの大陸ではベル・ジュラックと

 呼ばれていたわ」


やっぱり!というか!すっごい!

私は今、伝説の精霊使いと会っている!

握手!握手したい!

というか、何故ここに。と言う疑問。

向うで行方不明となっている事を伝える。


「ちょいと魔方陣を改造してね、

 それでね、暴走しちゃってね、おほほ。

 預かっていたひ孫と一緒に

 こっちの世界に来ちゃったのよ。

 今頃みんな、どうしてるかしらと、

 向うの世界の事をたまに考えるわ」

とベル様は笑いながら言う。


「美香、私の言うことをよくお聞きなさい。」

そういうと真剣な顔つきで話を始めた。


「リーラの国」と言うゲームは修練用に

作られた物である事。

「リーラの国」と言うゲームには相当量の

魔力が使われている事

他にも「リーラの国」を使って修練を

している者が居る事。

そのゲームを作った者はある人物と一緒に

この世界に転移してきた事。

その者の素性を聞いた時に力になるべきだと

思った事。

もちろん修練している者は

その転移者である事。


美香の才能はすごいらしくベル様を超える

存在になるらしい・・・。まじか。


その転移して来た者と相談し、計画し、

どのようにして手助けをするか

話し合い、どうにか向こうに帰れるように

ずっと考えていたらしい。


勿論只の転移であれば問題ないが

決められた場所、世界という事ならば

ナニカのつながりが必要である事。


どうやらその転移して来た者は

「この世界のここ」に指定されて

転移をしてもらったらしい。


「思いとか願いでは駄目なのでしょうか」

と私は聞くと、どうやらダメらしい。


「美香の話を聞いてね。あんた魔法を

 失敗したそうじゃないか。」と

大笑いのベル様。


「あんた精霊使いなのか?」とも

聞いてきたので

「いえ、私はまごうことなき攻撃系の

 魔法使いです」ときっぱり言った。


「あんたもなかなかだねぇ」と

ベルは言うと


転移系の魔法は精霊魔法に属する。

まぁ他の魔法使いにもできるが

それは洞窟とかで使われる

短距離転移くらいなのだ、と。


空間転移というよりも世界を超えるのは

精霊使いでなければ出来ないよ。


「そんな事も知らないのかい。

 あんた学者だろうに」とベル様は

白い目で私を見ながら言った。


ゴメンナサイ。













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