第4話 貴腐人の母

話を聞くと他にも付与や統合も

出来るらしい。


私はそれの魔方陣や、やり方を

聞いてみると、なんと

魔方陣も詠唱も同じであった。


美香さんも私も驚き顔を見合わせる。

「まさかとは思いますが・・・。」

と私は美香さんに尋ねる。


そのゲームの中ではなく、

そう、仮想ではなく現実に魔法を

使えるのでしょうか?と。


「酔っぱらった勢いでないと

 やった事はないわ」と少し頬を赤らめ

照れ笑いをしながら言った。


どうやらこの世界では酒に酔っていないと

魔法を言ったりは出来ないらしい。

「人前でするには相当勇気がいる」と

鼻息荒く美香さんは握りこぶしをし言った。


因みにサラマンダは来なかったそうだ。

しかし、幽霊が来たので窓の外に

出した、と。


「統合はやったことありますか?」

と私は聞くと「ない」と答えた。


まぁダメもとでと、前置きをし

「美香さん!私は体が欲しい!」と強く

訴えた。何故ならば!


書物をこの手に取りたい!

そのパソコンを操作したい!

今の私には手も足も出ない!

そりゃそうだ!精霊っぽいナニカなので

そんなモノはない!


「フィギュアと私を統合してみましょう」

と強い私の心の叫び。


美香さんは一体のフィギュアを取り出し

黒い板に乗せる。

「少しはみ出るけどいいか」と。


いや、待って。私は「ふじ みねこ」が

いいですと訴えると


「あんた、口調からしたら男じゃない。」

と凄い白い目で見られた。


まぁ、出来るかどうかわからないので。

その板の上にあるのは「ユキモリ型」。


美香さんは魔方陣を描く。

先ほども言ったが凄く美しく

凛とした魔方陣だ。見惚れてしまう。


そして詠唱をする。

私は意識が飛ぶ。そして気が付くと

「体がある」という感覚があった。


「ぬぉぉぉっぉ!」と私は

両腕をあげ、叫ぶ!美香さんも

それを見てなのか

「うぉぉぉぉ!出来ちまった!」と叫ぶ!


おおおおう!指も動く。流石に高価な

ホムンクルス・・・じゃなかった。

フィギュアだ!


こんなことならマジデ「ふじ みねこ」が

良かったと後悔したので

美香にお願いしたら「ダメ」という

返事。


どうやら美香はこの中で一番、この

「ユキモリ型」がお気に入りらしい。

まぁでも関節がすべて動くので良しとした。


私は美香を無視して隣の部屋に移動する!

が、捕まった。

私はパソコンの前に座らされ

簡単な操作方法を聞く。


美香さんは凄く教え方がうまく

私はすぐに操作方法を覚えた。

どうやら美香さんはこちらの世界で

「塾の講師」という仕事をしているらしい。


「それどんな仕事?」と聞くと

学問を教える仕事らしく、私は

「おお!学者さんなのですね!憧れます!

 私もなりたいんですよ!」と言った。


美香さんは笑いながらさらに

操作方法を教えてくれた。


このパソコンは知りたいことが全てわかる。

マイクと言うものに言葉を発すると

その情報が瞬時に文字として出てくる。


私は「この世界」と言葉を発すると

なぜか「片隅に~」とか出てきた。

非常に抽象すぎたらしい・・・。


「この世界の歴史」と言葉を発する。

どんどん出てくる情報。

私は知りたい事をどんどん声にする。


美香さんはその間、スマホという

携帯版パソコンらしいもので

ナニカを呟いている。


聞くとなんと遠くにいる人と

話せるモノらしいじゃないですか!

それにも興味を持つが取りあえず

私はパソコンを操作してこの世界の事を

調べる事を優先した。


あ、おばあちゃん?さっき言った

精霊っぽいヤツ。統合出来ちゃった。

・・・うん。魔法。え・マジデ!?

このタクト魔力があるの?

ってかおばあちゃん!魔力って!


そういう美香の声を無視して操作を続ける。

そして私は気づく。この世界には

「人間しかいない。亜人も、精霊も

 空想の中にしか存在しない」と。


美香は話を終えると私に「リーラの国」

のゲームについて聞いてきた。

「いや、私に聞かれても」と答えたが

わかる範囲でいいとの事だった。


「このゲームってさ」と美香は言うと


剣も槍も斧も、そして杖も出てくるが

私はタクトしか使えない。

普通は様々な武器が使えて

「俺って!強ぇぇぇ!」と出来るらしい。


「もしも」と私は前置きをして話す。


このゲームが私のいた世界を忠実に

再現しているとすれば、というか

その可能性は高いです。


美香さんはタクトしか使えません。

何故ならば、その世界では「神の加護」

として一つの武器しか使えないからです。

もちろん装備は出来ますが。


例えば美香さんが剣を持ったとしましょう。

それで魔獣を攻撃しても、ほぼ攻撃を

与えられません。多分、素手で殴った方が

いいくらいです。


そういうと美香さんは涙目になり

「私は剣が使いたいのよ」と訴えてきた。


それを無視して私は続ける。

美香さんはタクトなのでもちろん精霊使いです。

それが美香さんに与えられた加護です。

でも魔法系はいいですよ?


初級程度なら、回復魔法も攻撃魔法も

出来ますから。と教えてあげた。


美香さんは「お!」と言うと

喜んでくれた。・・・・よかった。


その他にもいろいろと教えてあげると

「じゃあさ、お互いがお互いの事を

 教え合いましょう。」と言う。


質問に対して答え、そしてその答えの中で

疑問になったモノをさらに教え合う。


さすがに学者、いや講師だ。

非常に理にかなったやり方だ。


そして私達は語り合う。

この世界の事を、そしてエアストの事を。


※同じ頃 とあるマンション※


母さんはスマホで誰かと話している。

俺は横になって話した方がいいと

母さんを部屋に誘導してベッドに寝かす。


母さんは話が終わると

「最初で最後かもしれない。」と呟く。


俺は部屋を出て行こうとしたが

「あるモノ」に目が留まる。


「母さんや、ちょっといいかな」

「なんでしょう、勇樹さん」


これはなんだ!刀じゃねえか!

というか新しいコスプレじゃねえか!

美香か!美香さんか!


「バレちゃった。テヘペロ」


テヘペロって!かわいいじゃねえか!

いや!違う!


「いいですか?母さん」と俺は言うと

人の趣味はとやかく言わない。

おれはキャンプとか好きだし

アウトドアグッズ集めている。


でもさ、頼む。

「いい歳こいて止めてくれ。

 勇樹のかあちゃんは貴腐人きふじんだよな」

って言われてるんだよ。


まさかとは思うが行ってないよな?

コミケとかこの格好で。


「今年は美香ちゃんと3回しか行ってない」

と母さんは言った。


・・・そうですか。去年より少ないです。











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