第13話 覚醒
パーシヴァル様の作られた最高のお料理を堪能できた私は幸せいっぱいだ。
お料理はどれも最高の出来で、まさかのデザートまでいただいてしまいました。
プレートにメッセージ入りとかドキドキが止まらないわ。
そんな幸せな気分を引きずったまま私は狩猟場を後に馬車に乗り込もうとした。しかし。
ドドドド
けたたましい地響きがして、何物かが此方に向かってきた。遠目に見て猪に似たそれは、近づくにつれその異様な大きさと獰猛さから、別の何かであるとわかる。
「魔物だ。公爵一家を馬車へ。」
護衛達がお父様とお母様を馬車に誘導した。
ジャンがミランダを抱えて馬車に乗せた。
馬車には、要人を護る特殊装備がしてある。
ぼんやりとしていて一人馬車から離れていた私を魔物がねめつけた。その視線で固まった様に動けなくなった私の方に魔物が迷わず、突進してきた。
逃げられない。
思わず目を瞑った私をパーシヴァル様が抱きかかえて、跳躍した。
「ジャン、ファイヤーボール。」
ジャンの手から大きなファイヤーボールが放たれた。
魔物の頭部に直撃する。
その隙にパーシヴァル様は、私を馬車に押し込んだ。
魔物は、ジャンの放ったファイヤーボールを己の魔力で消滅させると、また馬車の方向に向き直った。
すかさずジャンがファイヤーボールを炸裂させるが、先程より威力が落ちていた。魔物は焔を纏ったまま走り出した。
突進される。
刹那、すらりと剣を抜き放ったパーシヴァル様が魔物に向かい飛びかかった。白刃がきらりと一閃する。
剣が魔物を切り裂くのと同時に、爆音を轟かせ魔物に炎撃が落ちた。魔物が霧散する。
これは漫画のパーシヴァル将軍の得意技『炎撃一閃』では?私は目の前で推しの必殺技を見れた事に興奮していた。
だから、みんなが驚愕で固まっていることに気がつかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます