第10話 晩餐



「お招きありがとうございます。」



 ジャンと現れたパーシヴァル様が尊い。また、背が伸びられたのね。パーシヴァル様の金の髪をジャンの黒髪が引き立てていて今日もより一層神々しいわ。この一対は見応えがある。漫画では対立していたからこうして仲良く並ぶ事はなかったもの。いいわ。



 お父様は身体が弱いし、あまり社交的ではないから聖誕祭は、家族4人で毎年ほっこりとお祝いしてる。とはいえ、きちんと正装しての晩餐だけど…。


 うちは公爵家といっても王族だから少々堅苦しくても仕方ない。でも、家族仲はめちゃくちゃいい。お客様を呼ばないで、家族水入らずで過ごしたいっていうお父様のご意向を踏みにじってごめんね。



「パーシヴァル君もジャン君も良く食べるな。もっと食べなさい。」



「まだまだラムもたくさんありますよ。」



 お父様とお母様が楽しそうだ。びっくりするくらい食べるパーシヴァル様とジャンの姿が楽しいらしい。うちは男の子がいないからな。



 ふたりの士官学校の話で盛り上がってる。



 競うように食べる二人の前に饗された皿いっぱいの料理がみるみる無くなる。一皿でも充分なのに、もう三皿目だ。


 お父様もつられたのか珍しく、たくさん召し上がっていた。


 私ははしたないけれど、パーシヴァル様の口元に目が釘付けだ。


 なんて見事な食べっぷりなのかしら。上品に美味しそうに食べていらっしゃるのに、みるみるなくなっていくお料理が面白い。あのスマートな身体のどこに入っているのかしら。



「ジャン様は、たくさん召し上がるのね。素敵だわ。特にお好きなものは何かしら?」



 妹のミランダがジャンに話しかけた。


なんと、推しに好みを直接聞くとは…。


 そうか、公式の発表を待たなくても本人に食べ物の好みを直接聞けば良いのか。そして、他の知りたかった情報も聞けばいいのね。


 ミランダよ。本日も素晴らしき働き誉めて遣わす。



「俺は何でも食べます。パーシヴァルは食べる事が何より大好きで、作るのも上手いですよ。特にパーシヴァルの作るバーベキューは最高ですよ。」



 なんと、リア充の定番バーベキューがお得意とは。流石ですわ、パーシヴァル様。推しの作った料理食べれたら死んでもいい。って、食べる前に死んでしまった過去がありますけど…。



「食べてみたいわ。」



 ヤバい。気持ちが漏れた。



「レディ・エスメラルダは、バーベキューしたことあるのかな?」



 パーシヴァル様がにこやかに微笑みながら、聞いてくださった。ああ、素敵。


 パーシヴァル様の微笑みが眩しすぎます。



「いいえ。」


 前世の喪女にも、深窓の令嬢にも、バーベキューはハードルが高すぎます。



「そう。それなら、いつか振る舞ってあげたいな。バーベキューの腕には自信があるんだよ。」



 感激で胸がいっぱいだ。



「まあ、素敵だわ!お父様、私もお姉様達とバーベキューしてみたいわ!」


 妹よ。素晴らしい。


 君の社交性が欲しい。



「あさっての狩猟の後にしてみようか?パーシヴァル君ジャン君しばらく滞在して貰ってもいいかな?」



「「もちろんです。」」



 なんてこと。お父様ありがとう。エスメラルダ、このご恩一生忘れませんわ。



お読みいただきありがとうございます。


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