第6話観劇
私のパーシヴァル様推しは家族公然の秘密である。
やはり推し活は、オープンにいかねば。
「私が観劇に行くことを手紙にしたためないと!」
早速、パーシヴァル様に手紙を書こうとレターセットを手にした私にマリー先生は、首を振った。
「あまり、手紙を出すと嫌われますよ。」
それもそうね。
サプライズでびっくりさせてやりましょう!と、思っていたのに…。
「お父様、パーシヴァル様からチケットが届いたわ!」
ご自身の叔父上であるリチャード大佐からチケットの件を聞いたパーシヴァル様がそれならとご自分のチケットを譲って下さったのだ。
推しからのサプライズに、飛び上がった。
パーシヴァル様は、やはり主役だった。私は出演者の家族席という素晴らしい場所で見ることができた。私と妹のミランダは一番前のど真ん中。最高だわ。
幕が上がる。
若い男性神の物語。
前世でいうとローマ神話のアポロンみたいな格好のパーシヴァル様が魔物と戦う話なの。
あれ?パーシヴァル様の友人役の人って、この前パーシヴァル様とテニスをしてた人だ。
ん?よく見るとこの人ってジャンじゃない?
ジャンは、パーシヴァル様のライバル役で彼も当て馬キャラだ。
最初は、女王に惚れてパーシヴァル様と女王の結婚に立ち塞がるのに、主人公ダリアが登場したら、あちらの恋も邪魔する。
次第に、こいつ実はパーシヴァル様が好きなんじゃない?疑惑まで出たジャンだ。
しかし、彼は当て馬らしく流れる黒髪が素敵な超絶美形だ。こうして美形二人が並んで立つと絵になるわ。
「美しいわ。」
ミランダよ。
お前もパーシヴァル様の素晴らしさに気付いたのか?
よいではないか。
共に推し活しよう。
布教活動成功の喜びにひたっていると、ミランダの視線はパーシヴァル様と反対の方向に移った。
ん?
ミランダよ。我らの推しはあっちだよ。
お茶目なミランダは無視して、劇に集中しよう。
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