第5話 お礼状



 


 帰ってから、パーシヴァル様に案内して貰ったお礼をせっせと書く。


 前世では書きたくても書けなかったファンレターだ。


 自然とテンションが上がる。マリー先生から、枚数が多すぎると渋い顔をされたが、こんなチャンス二度とないかもしれないのだ。



「パーシヴァル様から返事が来たわ!」



 念願の推しグッズゲット!


 しかも、直筆の手紙だなんて嬉しすぎて、鼻血が出そうだわ。これは家宝確定よ!



「手紙ありがとうですって!」



 手紙を抱えて喜びのあまりぐるぐる回る私にマリー先生はひいてるけど。いいのよ、今日の私は最強だから。



「まあ、来月劇に出られるんですって!」



 なんと。あの小説に出ていた劇ね?見たいわ!



 パーシヴァル様の劇。どうやってチケットを入手しようかしら。親戚を総動員してでも、入手しなくては。


 こんな時、王族バンザイだわ。



「パーシヴァル様のチケット必ず入手してやるわ!」



 メラメラと燃える私にマリー先生が後ずさったけど。気にしないわ!


 明日、お父様におねだりしてみましょう。駄目なら、伝家の宝刀、曾祖母であるユリア王太后におねだりね!




「手紙の件は聞いたよ。」



 朝食のテーブルでお父様が私の顔を見た途端、切り出した。いつも柔和なお父様の顔が渋い。



「お父様、お願いが…。」



「海軍士官学校の観劇の件だろう。エスメラルダ、お前は一度決めたら止めても聞かない娘だ。どうせ私が駄目ならユリア王太后の所に行く気だろう。」



 お父様、どうしてわかりました?もしやエスパーですか?



「どうしても見たいのです。」



 それを見ねば私の推しへの愛が廃る。


 私の気迫に諦めたようにお父様がため息をついた。



「わかった。手配しよう。リチャード将軍に話を通しておくよ。」




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