第4話 晩餐会
士官学校での歓迎晩餐会では、海の側という立地を生かした新鮮な魚介類中心のメニューだった。
魚が旨い。
そして、案内係が延長になったパーシヴァル様も同じテーブルについている。幸せ。
流れるようなカトラリー使いで優雅にお料理を食べられる姿はおとぎ話に出てくる王子様のよう。
そのお料理がてんこ盛りでなければ…。
私達と同じお料理なのだけど、彼のお皿だけてんこ盛りだった。前世のデカ盛りファイターのようだ。
なのに、私のお皿が半分もすすまないうちに彼のてんこ盛りのお皿は空になっていた。
目の錯覚なのかしら?パーシヴァル様もしや時空魔術か何か使われました?
おかわりを勧められたパーシヴァル様がまた、追加のてんこ盛りの一皿を食べ始めた。
私の視線は、もう彼の口元に釘付けだ。
また、一皿追加のお皿がやってきた。
「男の人って良く召し上がるのね。」
あまりの美しい食べっぷりに、うっとりしてしまう。
お父様は、あまり召し上がらないし、家族も家庭教師も女性ばかり。実際にこんなに食べる人を見るのは初めてだ。
そして、推しとは食べる姿すら尊いものだった。
翌日も朝から、パーシヴァル様のお姿を目に焼き付けようと、ぴったりと付いて回った私にいよいよお別れの時がやってきた。
来たときと同じ船に乗り込んだ私達を見送って下さるパーシヴァル様。
太陽の下で日の光を浴びて輝くような金髪がいっそうキラキラと輝いて見えた。
遠目でも目立つすらりとした肢体が軍服を際立たせた。
彼の姿が小さくなっていく。双眼鏡はないかしら?家庭教師のマリー先生がすかさず双眼鏡を渡してくれた。
そういうとこ。好きよ。
後々マリー先生から、双眼鏡でパーシヴァル様を堪能していた姿を「真っ赤な顔で涙を流しながら、うっとりと眺めていた」とからかわれることになるなんて、迂闊だったわ。
だけど、この双眼鏡がたまらなくナイスな選択だったから。許す。
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