神聖国家オラクルにて

長期休暇に入り、1週間の外出。お父様達は、この場には居ない。国の防衛に、出かけてしまった。


早朝5時に、屋敷から出発した。


神聖国家に着いたのは、夜の8時で遅かった。挨拶は明日にして、宿を取ろうとするとお出迎えが。


「ライズちゃーん、こんばんは!」


教皇様の娘である、フローラン様だ。お母様の姉妹弟子で、お母様を本当の姉の様に思っていたみたいである。そのせいか、母親ににた落ち着いた性格の僕によく話をかけてくる。確か、僕と同じ歳の娘さんが居たはずだけど…こんな時間に、何してるの?


「お母様がね、貴方に話があるみたいなの。着いてすぐ、申し訳ないけど夕食に誘わせて貰うわね。」


そう、優しく笑うとお茶目なウィンクをする。


「それは、良いのですが…。」


「相変わらず、優しいわね。安心して、娘も一緒だから。少しだけ、実は頼み事がこちらもあるの。」


優しい微笑んでから、少しだけ困った雰囲気で真剣に後半の言葉を言う。ライズは、キョトンとする。しかし、今ここで聞く事じゃないと判断する。


「では、それも夕食にてお聞きしましょうか。」


ライズは、優しい微笑みで明るい雰囲気で言う。


「ありがとう。」


フローラン様は、小さく驚いてから少し掠れた声で何とか言い微笑む。ライズは、明るく笑って首を振り純粋な雰囲気で歩き出す。それだけで、誰もが心穏やかになるのだから子供の力は凄いものである。


という訳で、馬車で移動する。


「こんばんは、無事に着けてなりよりだわ。」


教皇様が、優しい微笑み言う。


「はい、ありがとうございます。その、話とは?」


執事が椅子を引いて、優しく微笑み無言で頭を下げる。ライズは、感謝する様に軽く目礼して座る。基本的に、そういう役割の人には声をかけてはならないマナーだからだ。軽くて手を上げて、微笑み掛けるのも良いが忙しそうなので目礼した。目礼だけなら、相手は微笑み返すだけで終わる。手を上げて、微笑む方をすると手を止めて相手が手を下ろすまで動けない。実はこれ、かなり迷惑なのである。


社交ではない場合は、目礼して素早く動くのが最善な行動なのだ。働く人に、迷惑にならない様に。


まあ、こちらの世界のマナーなのだけど。


「話は後に、今は冷めないうちに夕食をね。」


ライズは、頷くと夕食を食べるのであった。




時は戻り、ライズが去った後…


結界が消えて、大量の魔物出現して激戦となる。


「嘘じゃ、なかったね。」


ダイナスは、深いため息を吐き出した。


「あとで、教会からお金を回収しなくちゃ。」


後ろから、声がして振り向く。この国には、表立ってはいないが3本の柱と呼ばれる存在がいる。


ダイナス•ロイナ

勇者の生まれ変わりでは?っと、噂される程の戦闘能力と頭脳明晰さを持つ。物腰柔らかい口調と、落ち着いた雰囲気の頼れる国王の左腕。


リリー・セラム(リリック•セラム)

ずば抜けた行動力と、仲間を動かすカリスマ性を持ち合わせたオネェ。可愛いもの大好きだが、実は戦闘狂でもある。気まぐれで、多才な国王の右腕。


ネロ•ベアナート

不老の賢者で、見た目は青年だが何千年を生きる。持てる知識で、この国を裏から支えていた。しかしながら、国によって存在を隠されている。


「俺は言ったぞ、あの子を守れと。」


ネロは、不機嫌そうに言う。


「全て、国王の自業自得じゃない。」


リリーは、ため息まじりに言う。


「まあ最近、発言力を増したロイナ家を押さえ込みたかったのだろうけど。転生者を、敵にしたら駄目だよ。しかも、神の言葉が聞こえる子だよ?」


その言葉に、2人も無言で頷く。


「あの子が、その事を打ち明けられないくらい。僕は、信頼されてない。まあ、仕事柄的に仕方ないけどさ。甘えてもくれない、頼み事と相談もない。相談したと思ったら、国を出て行ってしまうし。」


ダイナスは、苦笑して不満をこぼす。リリーは、困った雰囲気で笑う。ネロは、冷たい視線だ。


「それは、幼い頃にしっかり家に帰らなかったお前が悪い。帰ってれば、あの子が人間不信になる事も無かった。つまり、それこそ自業自得だろ。」


素っ気なく言い、杖を構える。魔物が来たのだ。


「結界について、調べてたのよね?」


「半数の魔術師団で、結界の起動を試みたが無理だった。複雑な術式で、繊細な魔力操作が必要で精神の方が削れてしまう。だが、あの子は何年もそれを一人でやって来た。敵に回った時、この国は地獄になり果てるだろう。一度、話さないとな…。」


ネロの言葉に、2人は顔を曇らせる。何せ、ライズはダイナスに『私は、この国の貴族が嫌いです。大っ嫌いです。恨みすら、抱いてます。』そう言ったのだから。勿論、2人とも話には聞いている。


「いろいろ、話し合わないと。」


「国王の方には、なんて報告したの?」


ライズが、転生者な事は3人の秘密である。


「どういう仕組みか、俺でもわからないから諦めろと言ってある。それと、あの子に手を出したら許さないとも。どうにか、仲良くしたいものだが。」


「家も継がない、自由にしたい。そして、縁を切れと言うんだよ。人付き合いも、とても嫌がる。」


ダイナスは、困った雰囲気である。


「普通なら、通らない我が儘だけど。あの子に、味方が居ない事でそれが通ってしまう。平民とは、普通に笑って話してるし。そういう事かな…。」


諦めた雰囲気、笑うしかない声。


「お前、盲目すぎ。あの子は、弟の為に身を引いてるんだよ。よく考えろ、純粋貴族のウィルが貴族社会の外に出て生きていけるか?無理だろ。少なからずも、そういう思いもあると俺は思ってる。」


さりげなく、正解を引き当てる不老の賢者。ダイナスは、無言で驚いた雰囲気になり思わず笑った。リリーは、やれやれとため息を吐き出していた。




食事を食べ終わり、教皇が口を開く。


「お願いというのは、孫のレイナに聖法術を教えて欲しいの。発動すら、できないみたいで…。」


なるほど、それは困るだろ。


「では、体調が良くなってからやってみます。」


教皇は、頷いて解散となった。


次の日、ステータスを更新した。とにかく、全身が痛い。頭は、割れそうな痛みがしてくらくら。身体は、骨がきしむ様な痛み。息を吸うだけで、激痛である。おそらく、この痛みに耐えられず子供達は死んで行ったのだろう。痛みに、まともな食事も睡眠も出来ず。気絶する事も、しばしばあった。


それが、2日続きやっと痛みが引いてきた。


3日目は、昼まで眠っていた。お風呂に入って、身嗜みを整える。まだ、体は怠いしベッドでの休養を言い渡されたので横になって過ごす。


「私は、教皇の孫…聖女になる存在です。なのに、法術が使えなく見た目しか取り柄がありません。」


「大丈夫、絶対に使える様になるよ。」


それから、3日間練習してレイナは使える様に。同時に、ライズに恋心を持ってしまうのだった。


そして、早朝に帰るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る