僕の兄弟

さてと、あれから忙し過ぎて7歳になった。もう、ウィルも大丈夫だし息抜きに街へ来ていた。


太陽が、眩しい。今日も良い天気だ。


取り敢えず、冒険者ギルドに向かってる。家を出るなら、お金が必要になる。少しずつでも、貯めていかなければ。取り敢えず、今日は登録だけする。


さて、何処まで行こうかな?


お金を持たないので、移動は徒歩だけど。とても、見ていて楽しい。普段は、しっかり見る事のない景色。気づけば、古い教会に着いていた。どうせならば、異世界神ライフに祈りを捧げて帰ろう。


気づけば、子供達が周りでお祈りをしている。


「こんにちは、祈りに来たのね。」


シスターさんが、優しく笑っている。


「お邪魔してます。」


今度から、此処でお祈りしよう。街から離れているし、出禁になる事も無いと思う。取り敢えず、そろそろ帰ろうかな。まあ、心配してくれる人がいる訳ではないけど。騒ぎになっても、とても困るから。


今日は、とても楽しかったなぁ…。


お祈りの後に、シスターさんがお菓子をくれて。教会で引き取った、孤児達とお菓子を食べて遊んだ。


「ライズ、こんな所で何をしてるの?」


2番目のお兄様、ノエル兄様だ。


「街の教会には、入れないので街外れの教会でお祈りをして来ました。では、此処で失礼します。」


軽く頭を下げて、去ろうとするが止められる。


「待って、ライズ。」


「?」


足を止めて、振り向くとノエル兄様がクッキーの入った袋をくれた。キョトンと、ノエル兄様を見る。


「人付き合いで、行ったお店で買ったんだ。けど、今から仕事だしライズにあげるよ。内緒だよ?」


そう言って、ウィンクしてから仲間のもとに行く。ノエル兄様は、凄腕の魔術師である。王妃の妹である、ロミナ様の2人目の子である。性格は、とても落ち着いていて穏やかだけど怒らせると怖い人。ロミナ様も、そういう人だからね。そうなるよね。


帰ろう、このままだと夕方になってしまう。


「おーい、ライズ。珍しいな、お出かけか?」


街の中で1番目の兄、ベリルお兄様に声を掛けられる。珍しい、いつもは城勤務な2人が外に出てるなんて。何か、騒ぎでもあったのかな?魔物は、今朝も討伐したし浄化もしたから大丈夫なはずだけど。


「街外れの教会に。」


「え、結構な道のりだろ?大丈夫だったか?」


僕が、無言で頷けば心配そうな表情のベリルお兄様


「取り敢えず、真っ直ぐ帰るんだぞ?」


そう言って、果汁ジュースをくれる。


「えっと、その?」


「水分補給は、大事だぞ。」


そう言うと、お仕事に戻って行った。


ベリル兄様は、とても優秀な騎士である。とても明るくて、元気があり正義感の強い人だ。ちなみに、現時点最強の剣士である。金髪なので、家は継がないが惜しまれる程に人望も才能もある。


「ライズ、早く帰りなさい。ベリル騎士団長、準備が出来ました。医療班は、いつでも行けますわ。」


代々、優秀な聖女を世に送り出した家系。その、末娘ジェニカ様の娘であるミシェルお姉様。その実力は、医神も驚くほどの天才である。おっとりしていて、天然さんだが芯は強く頑張り屋さんだ。


やはり、何かあったんだろうな。


「こんな時間に、帰るだなんて信じられない。」


弟のノートルだ。ジェニカ様の、2人目の子だ。気が強くて、わんぱくで暴れん坊。けど、ちゃんとした優しさもある子だ。兄弟の中では一番歳下。


「…ただいま。心配して、待ってたの?」


「娼館でも、行ってたのかよ。」


さて、もうこの時点で話したくはない。心配してくれているのは、理解しているけど素直じゃないばかりか、空回りしていつもこんな事を言うからだ。


嫌いじゃないけど、余り長くは話していたくない。


無視して、門を潜り屋敷が見える位置から右に曲がる。ノートルは、屋敷に戻って行った。視線を感じた。僕が屋敷に戻るのは、家主たるお父様の命令か行事の時だけ。取り敢えず、今日は疲れたなぁ…。


家に帰ると、ウィルが待ち疲れたのか寝ていた。


「泣いてる?」


キョトンと呟き、薄い掛け布団を掛けてお風呂に向かう。ウィルは、剣と魔法どちらも優秀で将来をとても期待されている。老若男女に好かれ、紳士的で爽やかな笑顔をいつも浮かべている。甘いものが大好き。母親は、僕と同じで高位聖職者セリーヌ。


お風呂から、出て来たらウィルはもう居なかった。


夕食が置かれてたので、起こされて帰ったんだと思う。しっかり、掛け布団は畳まれて椅子に置いてある。この畳方は、ウィルではないねプロの技だ。


夕食を食べて、周りに誰も居ないか確認した。そして、御使の仮面を着けてこっそりお兄様達を追跡。


どうやら、他国から魔物が侵入しようとしてると。


すると、隣に御使の木目仮面が現れる。申し訳ない雰囲気で、必死に助けを求める青年。どうやら、隣国ロイクス王国担当の神の御使らしい。


無言で頷き、2人で魔物を倒して浄化する。


僕の隣で、丁寧に感謝を告げてロイクス王国方向に走り出す御使の青年。呆然としたオルタニアの人々


僕もゆっくり振り向いて、一歩だけ歩いてから姿を消し空間移動で家に帰る。疲れた雰囲気で、深いため息を吐き出して仮面を外すとベッドで入る。


本を読んでいて、眠気を感じるので本を閉じて枕の隣に置く。小さく欠伸して、眠るのだった。



次の日、お父様が帰って来た。そして、僕は名指しで呼び出されていた。気が重い、行きたくないな。

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