第7話 愚者って言い得て妙!


愚者Lv0

 自由で楽天家の貴方はよく言えばチャレンジャー、悪くいえば無謀な性格です。何も考えずに行動しては後になって後悔を繰り返す事も多いです。それでも貴方は誰より先に踏み出す勇気と枠に収まらない可能性を秘めています。自分の信じる道を歩みを止めず進みなさい。無邪気に楽しくある事が貴方を1番輝かせるのだから。

☆女神のワンポイントアドバイス☆

 たまには自分を見つめ直す事も大事です。自分勝手になっていないか意識する心を持ちましょう。

今週の運勢☆☆☆★★

 好きな子と険悪になった時は、理由が分からなくてもこちらからの早めのフォローが大切!お茶にでも誘うといいかも!ラッキーカラーは緑!


「なんか割と的を得てるけど占いやめろ!でもご忠告ありがとうございます!!緑のコーヒーショップに妹誘ってみます!!」


演者技能アクタースキル 愚かな自由

 全ての演目アクト演者技能アクタースキルの影響を受けない。※愚者は演者アクターLv0から変動しません。よってスキルはこの1つだけです。


「はあ?なんじゃこりゃ、むちゃくちゃだわ。」


 前の演者アクターは運命の輪だった。運とかクリティカル率が上がる能力でかなり使えたんだけどLvはMAX5でスキルも5つだったし。ていうか0ってなんなの?これなんてリゼロ??異世界なんかここは!!というか……


「何あれ、怖っ。チュパカブラ?」

「おい、目を合わすなって血を吸われて殺されるぞ。」

「お母さん、見てみて!あの人の1人で喋ってて髪の毛も変だよ!きんもーい!」

「マーちゃん、指さすのやめなさい!!あのきんもーいトカゲ女に食べられちゃうわよ!!」


 私はゲーム世界に降りたってまだ1歩も歩いてないが既に耐え難い逆境を味わっていた。理由は外見が八割で残りは謎の愚者という演者アクターだ。私はとりあえず自分の理解が正しいのか演者アクターの説明を見る。


演者アクター

 英霊が神より与えられた配役。深層心理を読み解き最も相応しいものが与えられる。配役に合った言動をするとLvが上昇する。内面をさらけ出すも良し、何かを演じるのも良し、何より楽しく遊ぶ事が重要。※神からイベント時などに即興演者アドリブアクターに任命される事があります。演目アクトを成功させれば報酬は大きいですが目立つ事が嫌いな人は拒否設定にして下さい。


 うん、理解している事以上の何かはなかった。まあ別に戦わないしいっか!それに無効化能力ってチート臭いよね。知らんけど。


「……無邪気に楽しくある事か。中々いい事言うわ。よし、とりあえず金髪美少女を探すか!!」


 そう思って1歩進むと目の前にガイドが現れた。


物語演目ストーリーアクト"女神の泉に祈りを捧げよ"が開始しました。』


 そうだった。女神の泉でチュートリアルする奴があった。チッこのせいで金髪美少女に会えなかったら責任取れんのかポンコツ運営!!


演者技能アクタースキル愚かな自由が発動。物語演目ストーリーアクト"女神の泉に祈りを捧げよ"が破棄されました。』


「えっ!? マジで!? 超自由じゃん!!ウケるわ!」


 つまり愚者の私は、もういちいち命令されたり、説明聞いたり、クエストを受けたりしなくていいって事でしょ? 最高じゃん!!神運営でした、ごめんなさい!!くぅーテンション上がるわッ!!


「いやーマジで愚者だわ私!あははは!!お前ら愚者愚者にしてやろうかってな!!あははは!!ということでここで美少女ダウジングしまーす!!金髪美少女どっこかな~!」


「お、お母さん……僕とっても怖いよ。あれが人間という生き物の本質なの?」

「マーちゃん、この世界で1番恐ろしい生き物は人間なの。よく見ておきなさい。そして学びなさい。ああなりたくないでしょ?」

「僕、帰ってもっと勉強するよ。もう行こう。あんまり見ると可哀想だよ。ああ世界は今日も不条理で残酷だ。神よ、愚かな彼女に祝福を与えたまえ…」

「本当にあのマーちゃん?? お母さんは息子が覚醒する瞬間に立ち会ったの??」


 ――かれこれ4時間になるだろうか。ダウジングをしながら街をさまよっていたが何一つ手掛かりは無かった。途中から子供の泣き叫ぶ声と衛兵の掛け声でダウジング所ではなかったが街の隅々まで探した気はする。現実時間は20時半。明日は仕事だし23時には寝たいから風呂とか逆算して残り2時間のゲーム内時間は4倍だから8時間しかない。くそ、ダウジングペンデュラム使えねー!!何がバランスブレイカーだ。 今すぐ貴様をブレイクしてやろうか!!


「あなたが金髪の子を探してダウジングペンデュラム振り回して街中を走り回ってるっていう変態トカゲ女?」


 ベンチに座っていた私に天から声が降ってきた。それは透き通る様な綺麗な女性の声。ただ内容は酷く不快だった。誰が変態トカゲ女だ! 確かにトカゲ女だが変態じゃねえだろ!!


「はあ? 私に喧嘩売ってんのって……銀麗聖騎士団のえっとーギルマスじゃん!!」


 何故かローブで全身を覆っている彼女だったが時折覗く綺麗な銀髪と銀色の装備には見覚えがあった。なんかガリ〇リガリクソンみたいな名前のギルマス。名前何だっけ?? ここまで出かかってるのに、悔しい!!


「?……初対面でしょ? 失礼な女ね。所であなたなんで金髪の子を探してるの?」

「いや、そんなの狙ってるからに決まってんじゃん!! 心の嫁だからね!!」

「狙ってる?嫁? ふふふ、なるほど私と同じって事ね。でも最初に殺るのは私よ!!そして貴方も――」

「ヤル!? いや、私はそこまでは望んでないけど……あの、そういう事人前で言うの良くないと思うよ。それにこのゲームそういう事できないでしょ?」


 最近は同性婚も当たり前だし、偏見はないけどヤルとかそういうのは品がないよね。見た目清楚なのに残念だわこの人。


「フッ初心者さんね。言葉巧みにフィールドに連れ出して相応のペナルティを払えば殺れるのよ。リアルみたいに刺した所から血を吹き出さないのが残念だけどね。」

「うわーあんた何言ってんの? 怖ッ。リアルだっていくら何でも血なんか吹き出さないでしょ。」

「へえー、あなたリアルで刺した事があるの??」

「はあ!? いや……どっちも無いけど、えっマジでそんなに血が出るの?? 嘘だよね??」


 いやいや、ないない。保健体育でそんな事習ってないから! さては私がトカゲ女だからってからかってんのか? こちとらリアルは友人お墨付きの全盛期の浜〇美波だからな!! 賭けぐるってやろうか??


「ふふふ、焦っちゃって可愛い。私あなたの事気にいっちゃった。一緒に探しましょ。お名前は??」

「えっリ……リュカだよ。」

「リュカ。顔に似合わず可愛い名前ね。」

「うるせえ!あなたは……あっ思い出した!!だるだるダルビッシュだ!!」

「いや、勝手に野球選手にしないで!だるだるだるくよ!! それにしても私に初対面でそんな口を聞く人初めてよ。ふふふ面白いわ。……それとどっちが正妻かは改めて決めましょ。」

「せいさい? ?……そうだね!そうしよう!!」



 新人歓迎フリートークルーム


811 新人の冒険者

アクターって何があるんですか?あと強いのはなんですか?ちなみに自分は隠者です。


812 名無しの冒険者

>>811

アクターは所謂アルカナ。本来は全部で22種あるが、今のところ愚者と審判と世界の三種が出ていない。あとアクタースキルは初期診断と行動で変わるから強さは決まってないんだけど、大体の方向性は同じ。以下が出てるアルカナな。

①魔術師 ②女教皇 ③女帝 ④皇帝 ⑤教皇⑥恋人⑦戦車⑧力⑨隠者⑩運命の輪⑪正義⑫吊るされた男⑬死神⑭節制⑮悪魔⑯塔⑰星⑱月⑲太陽


813 名無しの冒険者

>>811

もう遅いけどみんな割と内緒してるから、アクター言わない方がいいよ。結構性格とか分かるし。ちなみに隠者は内向的で思慮深い静かな奴が多いイメージ。器用さアップとか隠密系スキルが多くて、黙々とこなす暗殺者や職人向きかな。


814 新人の冒険者

当たってますww暗殺者憧れるんでやってみます!


815 名無しの冒険者

>>814

手裏剣とか刀使ってニンニン言ってると忍者になったり、魔銃で遠距離射撃しまくってハードボイルドな事言ってるとスナイパーになったりするらしいよ。頑張りな。


816 名無しの冒険者

このゲーム変人ロールプレイ多いのはその所為だけど夢あるよな。それにアクターは殆ど自分に合ってるからアクターのレベル上げてたら知らぬ間に変人になってたってのが頻発する。俺も魔術師アクターで普通にプレイしてたのに気が付いたら魔眼の闇魔道士になってた。今年で38の無職なんだけど、仕事ある?


817名無しの冒険者

無職38歳の魔眼の闇魔道士www 履歴書来たら破る自信がある。

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