第3話

 暗闇の中、突然のことに動けずにいると、ふと後ろからオレンジ色の光が差した。

 「そんなところに突っ立って何をしている」

 ハスキーな、女性の声がした。振り向くとそこには鎧を纏った兵士がいた。右手にはランタンを持っている。

 「あなたは誰ですか?」

 突然現れた奇妙な甲冑を私はじっと睨んだ。マスクのせいで顔は見えないが、相手はニコリともしない。

 「お前を守るように命じられた者だ。危害を加えようなどとは思っていない。」

 そろそろいいか、と甲冑はつぶやくと、左手を高く上げてからそのまま一気に振り下ろした。どういう力が働いたのか、私と甲冑を取り囲んでいた鋼たちがノロノロと地面の中に戻っていく。視界が白一色に染まっていく。

 「…守るって、どうしてですか?」

 「答える必要は無い。」

 そう冷たく言い放つと、彼女は歩き出した。とにかくついていけばいいのかと思い、彼女を追うと、甲冑は振り返って、ついてくるな、じっとしていろ、と私を睨んだ。ようやく人に巡り会えたかと思ったら、こんな調子だ。私は彼女の登場を素直に喜べなかった。次第に体もだるくなってきて、また地面に寝転んだ。

 

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