伝染

第22話 円城寺家

神主さんの家からそのままの足で僕らは園城寺さんの家へと向かおうとしたが、体制を立て直すため一旦アパートへと帰り、次の日になった。


「もし園城寺さんにも呪いが掛かってたらどうする?」


「その時は戦おう。」


「じゃあ武器になるもの持っていっとった方がいいよね?」


「そうだね。無事だとは限らないし、僕らの分も探そうか。しゅう、その一本だけでしょ?包丁。」


「うん、まさかこんな事態になるなんて思わなかったから。」


「そうだよね。はぁ、でもどこで手に入れようか。」


「買いに行こうか?俺もちょうど買いたいものあったし。」


「じゃあお願いしてもいいですか?」


「おう。」


健一さんは部屋を出ていった。


少ししてから帰ってきた健一さんは思っていたよりも大荷物で帰宅した。


「ただいま、はいこれ包丁。人数分あると思うから分けて。」


「はい、ありがとうございます。ところでそちらは?」


玲音君が健一さんが持って帰ってきた袋を見て言った。


「あぁ、これ?これは薬品だよ。通信機をそのまま入れ込んでもバレる可能性あるでしょ?だからカモフラージュ用に。これを入れても相手の体には何の支障もないよ。」


「そうなんですか……」


「そうそう。ほんじゃ、行くか。」


「え?今からですか?」


「行動はなるべく早めに。みんなが祭りの準備で忙しくしてるなら、見つかる可能性も縮まるだろう。」


「そうですか……分かりました。行きましょう。」


「玲音君、そんな簡単に!?」


「確かに町の人達ほとんどが祭りの準備に出てるらしいからね。それに行動も早い方がいいのは事実だし。」


「まぁそうだよね。」


僕達は空っぽのリュックを持って園城寺さんの家へと向かった。


園城寺さんの家は坂を登りに昇って、更に山を登らないと行けなかった。


車で行けばすぐなのだろうが、健一さんは車は持っていなくて、貸してもらうということも勿論無理だった。


「うわ、でけぇ……」


町だけじゃない。


海も島も全て見下ろせる場所だった。


ここから先もまだ山があるのでそちらはもっといい景色なのだろう。


それに家も庭も大きくて、まるでお城のようだった。


――ガラガラガラガラ


僕達は玄関扉を開けて中へと入った。


玄関もまさに日本の豪邸と言った感じで、隅から隅まで綺麗にされていて、涼しいが暖かい色をしていた。


僕達は大部屋に着いた。障子が開かれていて、恐る恐る覗いた。


――よう来たな。まぁ座れ。


そこには刀を持った園城寺さんらしき人物が胡座あぐらをかいて座っていた。

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