第10話 想火のこれまでとこれから(後編)

 前回からの続きをお話しようと思います。

 私は声優事務所の社長だと言うハリー・スミスさんにスカウトされました。

 私は友達の真優ちゃんが知っている声優業界について聞いた話を聞いて私は、夢もあるが厳しい現実もある業界だという事を知りました。

 いきなりだった事と初めてのイベントで芽生えた気持ちの整理が出来なくて最低限の事しかまだ親には話していない時。

 自分の今までの事を思い出していました。

 振り返ってみると私は、今まで流れや、人の為に何かをして来てたなと思った。

 別にその事は全然悪い事じゃないし、私も嫌々やっていた訳じゃないけど

 自分の意思で自分のやりたい事の為に頑張ってるのってカッコいいなってあのイベントで演じている声優さん達を見てあの時私は感じたんだ!と実感した。

 私もあんな風になってみたい!って、だけど家族の事や自分にやれるのかが不安で気持ちが決めかねているんだって自分の中で分かった。

 なので一回ちゃんとあの社長に会ってちゃんと話を聞いてから決めよう!

 と私は決心した。

 なのでもらった名刺の電話番号にかけてみた。

「もしもし…」

「はい、ハリーですがどちら様でしょうか?」

「あ、あのこの間!イベント会場でスカウトを受けた者ですが…!私に事分かりますか?」

「はい。あの時の子ですね!覚えていますよ。今回はどんなご用件でかけて来てくれましたか?」

「は、はい!あのぉ~私あまり業界に詳しくなくてそれになんで私をスカウトしてくれたのかとか一回ちゃんと話を聞きたくて」

「そうですね。では一度お宅にお邪魔してもよろしいですか?」

「はい。」

 と会う約束をし、この後の会話は私の住んでる場所や日時両親も立ち会える日程などの話をした。

 そしてその電話が終わってからは合うその日まで親と話し合ったり、いつも通りの日々を過ごしていた。

 そうしているうちにあっという間にその約束の日が訪れた。

 約束の時間通りにハリーさんはうちに来た。

「こんにちは!今日会う約束をしているハリー・スミスという者ですが。」

「は、はい!いらっしゃいませ。本日は、私の我儘でこんな遠くまでお越しくださりありがとうございます!」

「いえいえ、こちらこそ。とんでもない。私の急なスカウトに前向きに連絡をくれてありがとう。」

「いえいえ。そんな。と、とりあえず、両親はあちらの部屋におりますのでご案内します。」

「これはご丁寧に。では、案内宜しくおねがいしますね。」

 両親の居る部屋まで案内した。

 そうすると私の両親も挨拶をし、

 早速本題へと入った。

「私がお宅の娘さんをスカウトしたハリー・スミスと言います。私は声優事務所の社長をしております。今回伺ったのはその件で訪れました。」

「そのお話は娘から聞いております。遠い所をわざわざおいでいただきありがとうございます。」

「では早速ですが時間は有限なのでうちの経営方針と業界についてをお話しします。

 大雑把な説明にはなりますが詳しくは娘さんがなると決めたらお話しますので予めご了承くださいね。」

 ハリー社長がそう言うと私達、家族は分かりましたと答えてからそれから業界についてや事務所の方針などを二時間聞いて分からないことを質問して納得して決心がつくまでに少し時間が欲しいと伝えて、その日はお開きになった。

 玄関まで見送る想火達。

 すると想火にハリーは優しくこう告げた。

「では、しっかり考えて出来れば嬉しい返事待ってますね。想火さんそれでは。」

「はい。今日は、ありがとうございました!ハリーさん」

 とやりとりしてその日は終わった。

 今日の話を聞いて私の両親は、悪い話でもないと思うから最終的にやるか、やらないかは想火に任せると言ってくれた。

 私も実際に話を聞いて前よりも具体的なイメージが出来たので話を聞く前よりは不安はないがなかなかやる事への不安と決心が決まらず、悩んでいた。

 翌日学校で友達の真優に昨日会った事と自分でいくら考えても答えが出ないので真優に今の悩みを想火は打ち明けた。

「そっか。確かに悩むよね。私達働いた事無いもんね。それに色々大変な事もあるしね。でも私想火ちゃんならやれると思う。」

「そうかな?私今まで自分の意思で何かをやってみようって思った事が今までなくて不安なの…特にこれと言って声で凄い部分があるわけじゃないし気持ちだけでどうにかなるのかなって」

「大丈夫だよ。だって想火ちゃんがうちの学校に転校して来た日、私が困ってた時初対面の私に声を掛けて見つかるまで手伝ってくれるぐらい思いやりがあって優しい子だもん!それにちゃんと想火ちゃんがデビューしたら私がファン第一号になって応援するから想火ちゃんはひとりじゃないから!まずは頑張ってみたらいいんじゃないかなって私は思うよ。」

「あ…ありがとう!真優ちゃん。私、頑張ってみる。」

「うん!頑張ってみなさい。見守ってるからでもたまに連絡頂戴よ」

「うん。分かってるよ。」

 友達の真優ちゃんのエールのお陰で決心がつきました。

 そしてこの後は、ハリーさんにやりますと連絡を送りそれからは活動をするための手続きをハリーさんや両親にしてもらい、都会に出て。私の声優人生が始まったのです。

 私の声優活動と都会暮らしを始めたあの日から二週間が経ち

 やる事が終わった帰り道、この頃は色々バタバタしてたから連絡を取れてなかった真優ちゃんに久しぶりに電話を掛けた。

「久しぶり!元気?真優ちゃん」

「もう!久しぶりじゃん!私は元気だよ。そっちこそ大丈夫?元気にやれてる?」

「うん!先輩達も社長も良い人達でのびのびと頑張れてるよ!大変だけどね。慣れない環境で」

「そっか。でもとりあえず頑張れてるみたいで一安心だよ私は」

「うん!そういえば今度私、先輩達のラジオにゲストで出ることになったから聞いてくれたらうれしいな。」

「おぉー!凄いじゃん!!絶対聞くね。」

「ありがとう!また詳しく決まったら教えるね。」

「うん!待ってるよ!頑張ってね!帰って来れる時は帰って来てよね。」

「ありがとう。帰ったら絶対会いに行くね。」

「うん。楽しみにしてる。」

「じゃあそろそろ駅に着くからまたね」

「うん!いつでも私は応援してるからね。」

「うん。私頑張る。」

 そして電話を切って駅に入る。

 私はこれから自分のやりたい事の為に応援してくれる友達に喜んでもらえるように私はこの声優という仕事を頑張って行く。



               続

       

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