第9話 想火のこれまでとこれから(前編)

 この話は私、水瀬想火のこれまでとこれからの話をしたいと思います。

 私は元々は都内の山奥の田舎に住んで居ました。

 家族は、お父さん方のおじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、私で住んで居ました。

 元々お父さんは都内でサラリーマンとして働いていました。

 でも、私が中学二年生の時おじいちゃんが急に倒れて、一命を取り留めましたがまたいつ倒れてもおかしくないとお医者さんに言われお父さんとお母さんとおじいちゃん達が大好きだった私は、おじいちゃん達は都内では有名で人気な農家でした。

 その為私達家族はおじいちゃん達の所へ引っ越しました。

 それから二ヶ月おじいちゃん達の農業を手伝いながらその地域に唯一ある高校に通いながらの毎日をあの頃は送っていました。

 それからその地域の生活に慣れ、野菜達が育っていく嬉しさを知って、学校での生活や友達が出来て安定して来た頃学校で友人の真優ちゃんからある誘いを受けた。

「そういえば、想火ちゃんって元々都会の方に住んでたんだよね。」

「そうだね、でもお父さん都合で何回か転校してるし完全に都会慣れしてる訳じゃないけど案内くらいなら出来ると思うよ」

「そうなんだ!じゃあお願いしようかな初めてなんだけど初めて私が好きな声優さんのライブのチケットが当たってさ。しかもペアで!でも、一緒に行く相手が居なくてさ。だから案内と一緒に見てくれない?お金は私が出すから、お願い!」

「いいよ。私もお芝居に興味あったし、友達とこんな風にイベントに行くの初めてだし楽しみ」

「ありがとう!想火ちゃん」

「うん!それで真優ちゃん。そのイベントっていつなの?」

「二週間後の日曜日かな」

「分かった。準備しとくね!」

 多分この時この誘いを断っていたら私が声優になる事も無かっただろうと今なら思う。

 約束の二週間後が訪れた。

 この地域には都心に行ける電車は一つしかなくその駅で待ち合わせにした。

「お待たせ~!想火ちゃん」

「大丈夫だよ真優ちゃん私もちょっと前に来たばかりだから」

「じゃあ電車の時間もあるし、電車の所で待とうか真優ちゃん」

「そうだね」

 そのやり取りを終えると私達はICカードを改札から通して電車のホームで二分くらい後に来る電車に乗り、目的地の駅まで乗り換えて、駅を降りてからはスマホのナビアプリを使いながら徒歩で目的地の会場に着いた。

 この時の会場の列を見て想火はこんなにこのイベントを楽しみにしている人達が居るんだ!?とワクワクしていた。

 その様子を見て真優は想火にこう言った。

「どう?凄いでしょ。今こんなに声優さん達やイベントを楽しみにしている人達が居るんだよ。」

「うん!凄いよ!私、凄く楽しみ!」

「初めて来て入る前からそんなテンションだと中で持たないぞぉ~なんてね!」

「そうだね!とりあえず並ぼうか。真優ちゃん」

「そうね!」

 そして二人は最後尾の列に並び会話をしながら待っているとあっという間に列は流れていき、会場の係員の人がチケットを確認し、会場の中へと入って席を確認し公演が始まるのを待ちながら上映中のマナーやあるあるを真優に教わりながらそうこいうしてるうちに開園した。

「会場にお集まりの皆様!こんにちは!これよりスペシャルイベントを始めたいと思いますがその前に注意事項が…」

 という感じで司会の人が出て来てそれからイベントは始まった。

 そこに登壇している声優さんをその時は知らなかったがトークや対応などあったがなにより、私は声優さん達の演技に感動した。

 世の中にはこんな魅力的な世界があるんだと目を加賀谷して目の前の公演を私は見ていた。

 私もあんな風に慣れてらなぁ~と人生で初めて私、水瀬想火は憧れを抱いた。

 そんな夢のような時間はあっという間に過ぎて、いつの間にか締めの時間になり終わっていた。

「凄かったね!真優ちゃん!」

「そうだね!本当に遠出までして見に来た甲斐があったよぉー!!」

「私も始めて来たけど凄いんだね!声優さんって!」

「うん!そうでしょう!」

 という感じである程度喋ったら流石に次の公演もあるのでファミレスにでも行って話そうとなって会場から出て外へ出ると

 想火と真優は、四十代くらいの外国人の人が誰かを探している素振りで歩いているのが見えた。

 するとその男がこちらに近づいて来て話かけて来た。

「あのぉ~すいません今ちょっと時間良いですか?」

 と投げかけられたので想火はこう返した。

「あぁ、まぁ一応」

「それは、良かったです!」

 その男がそう言うとさっきまで静かだった真優が何かを思い出したように声を出した。

「あぁー!!なんかどこかでこの日と見たことあると思ったらこの人今一番声優発掘がうまくてその手の人には有名な声優事務所の社長じゃん!!なんでそんな人が私達に声掛けて来るの?」

「おぉー!!私の事を知ってくれていましたかなら話が早いです。単刀直入に伺います。貴方!」

 そう言って想火の事を指を差し、想火はビックリして思わず

「え!?私?」

「貴方の目が私は大変気に入りました。良ければ私の声優事務所で声優になりませんか?」

「えぇー--!?」

 想火は思わず大きな声を出してしまった。

 それを聞いて真優は茶化すような羨ましがるような感じで想火にこう言った。

「凄いじゃん!!これスカウトだよ!スカウト!!いいなぁ~それでどうするの?想火ちゃん」

 その返事に戸惑った感じで想火はその男の問に返した。

「やってみたいとは思いますけどいきなりですし、その…返事をもう少し待ってもらってもいいですか?」

 それを聞いて落ちついた物腰でこう返した。

「そうですね。全然待ちますよ。私こそいきなりすいませんね。ではこれ私の名刺です。何かあれば連絡をください。それでは」

 まぁそれを見た真優は、想火の気持ちを察して

「そうだよね。気持ちの整理つけたいよね。とりあえず、ファミレス行こ」

「ありがとう。ねぇ声優業界について色々教えてよ。」

「いいよぉ~色々教えてあげる。」

 と私はこの日、いきなりスカウトされてビックリしたけど多分この時の出来事がなかったら今の私は、居ないだろう。

 この後はファミレスでイベントの感想と声優業界について話し合って地元に帰った。

 その後の話は次回へ続く。


              続

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