第5.5話 僕達の打ち上げ会

 初イベントが終わって次の日の事務所での話である。

 イベントの余韻と疲れがまだ残りながら遠くを見ている僕、平木成行を他所に何か不満なのかそして体力が有り余っているのか昨日一緒にイベントをやり遂げ、そして僕も参加している声優カップルチャンネルのパートナーの花宮琴美さんが僕に話しかけてきた。


「ねぇ、成行君。君に話があるの!」


 凄い食い気味に来たので僕は姿勢を正し、かしこまった感じで


「はい!な、なんでしょう琴美さん」

「昨日うちの能天気な社長がせっかくやり遂げたって思って楽しもうと思ってた打ち上げを水を差されてあの後私達気が気じゃなかったでしょ?」

「まぁ、確かにそうですね。後僕達はお酒も飲める年齢じゃないですし」

「そうでしょう!だから私思ったの!!今日は午後からは仕事も無いしせっかくの学生としても休みなんだから私達は私達で別で打ち上げをするのよ!!どう?良いアイディアでしょ成行君」

「それは、確かに良いアイディアですね!でもそうする為のお菓子とか飲み物とか今日いきなり抑えられる場所なんてなかなかないと思うんですけどそこは、どうするつもりなんです?琴美さん」

「ふっふっふ!そう言われると思ってもう算段はつけているわ!」

「な、なんだって!?」

「やる場所は私の家です!飾りとかお菓子はこれから買いに行くから付き合ってね。

 この後用事無いでしょ?一応のんびりそこで過ごしてたの見ると無さそうだけど聞かないとね念の為」

「お察しの通り琴美さんから誘われなかったら家に帰ってのんびりするつもりでした。でもいいんですか?僕が家に行っても」

「いいわよ。私が言い出したことだし、パーティーみたいなこともしてみたかったし。あ、今日親はいないけど妹達は、居るかもだからそこは、許してね」

「そこは全然いいですよ。僕も急に押しかけるんで」

「じゃあ早速買い出しに行くぞ!」

「オー!」


 そんなハイテンションなやり取りをして成行と琴美は事務所を出て買い出しと琴美の家へ向かった。

 スーパーにて


「やっぱり、ジュースとか炭酸飲料は入れた方が良いよね?琴美さん」

「そうね。スナック菓子とかチョコ系のお菓子も欠かせないわよね。」

「そういえば聞き忘れたけど割り勘でいいかしら?成行君」

「全然オッケー!何なら帰りにお菓子でも買って帰ろうと思ってたから余裕持ってお金持って来てて良かったよ。」


 なんて会話を繰り広げながら必要な物を割り勘で買って僕は琴美さんの案内され、琴美さんの家へと向かった。

 どんな家に住んでるんだろうと個人的にドキドキした心情で。

 二十分くらい歩くと洋風なおしゃれな一軒家に着いた。

 どうやらここが、琴美さんの家らしい。

 家に入る時に挨拶を一応して案内されるままに琴美さんの部屋に入った。

 すると琴美さんが元気よくこう言った。


「これより飾り付けをします。成行君頑張ろう!」

「お、おうー!」


 この掛け声と共にそれなりに部屋を飾り付けお菓子をテーブルに用意し、飲み物もコップに入れ、用意が整った所で琴美さんが挨拶をした。


「昨日は、私達の初イベント無事成功したという事で今日は未成年私達の私達の為の打ち上げを始めます。お疲れ様!乾杯!!」

「かんぱーい!!」


 と僕と琴美さんしかいないで乾杯の返しは少し力強く無かったがそれよりも目の前のお菓子やムードの方が優先だったので世の場の盛り上がった打ち上げの空気とお菓子と飲み物を楽しんだ。

 ワイワイと暫く盛り上がっていると玄関の方から複数人の女子の声が聞えて来た。


「あ、二つ下の妹が帰って来たみたい」

「そうなんだ。」


 小声で会話していると扉が開いていたのでそのドアの廊下の所から琴美さんの妹らしい子とその友達が顔を出した。

 すると妹の子が琴美さんに声を掛けた。


「あれ、お姉ちゃん帰ってたんだ。珍しいね。え、何?彼氏?なんかパーティーやってたの?お邪魔な感じ?にしてもお姉ちゃん男の見る目無いね。パッとしないしもっと良い人探した方が良いよ」

「別にアンタに口出しされる事じゃないし彼氏じゃないし仕事仲間。仕事の打ち上げしてただけ。」

「へぇ~そうなんだ別になんでもいいけど。とりあえず皆行こお姉ちゃんなんかほっといて」


 そう言いながら災厄な雰囲気だけ置いて自分の部屋へと妹さんの方は行った。


「ごめんね、成行。あの子態度悪くてあまり気にしないでね」

「ちょっと色々びっくりしたけど大丈夫!」


 と凄く申し訳なさそうな顔で琴美さんは話を続けた。


「実はね、ウチの家結構生活がギリギリなんだよね。この家のローンだったり、私が長女なんだけどさっきの子が次女でその下に更に小学生の三女が居るんだけど私達の教育費や食事代とか考えると私とお父さんと週二ではあるんだけどお母さんのパートでやりくりしてて」

「そうだったんだ。」

「うん。だから私も必死に働いて家計を支えないといけないから今回のチャンネルの仕事貰えて先的にも今まで的にもだいぶ助かってるんだよね。だからこの前、ぱーっと天体観測センターに言ったり、今こうしてパーティーも出来て良い仕事仲間とも仲良くなれたし、そいう面では私社長に感謝してるんだよね。」

「だからあの時、社長が給料も上がるって言った時納得してたんだね。」

「そいう事。そいうのも相まってあの子は反抗期とか生活がギリギリな事にイライラしてるんだと思う。」

「そんな事情があったんだね。ならこれからもっと頑張ろう!二人で!」

「そうね!もっと頑張らなくちゃ!」


 と盛り上がっているとまた玄関から声が聞こえた。

 幼い女の子の声だ。


「あ、お姉ちゃん!帰ってる!ただいまー!!」

「全く、帰って来て早々香澄たら甘えて」

「甘えたいんだもん!あれ!なんでここに王子様がいるの?」

「王子様!?え、成行君と知り合いなの?香澄?」

「だって王子様は私を守ってくれたもん」

「いや~驚いた。まさか前に助けた子が琴美さんの妹だったなんて」

 この件に関してはまた別の機会に描きます。

「私も驚いたわよ…まさか、妹に変な事してないわよね?」

「してない!してない!」

「ならいいけど」

「お姉ちゃん達は何してるの?」

「今はね。打ち上げしてるのよ仕事のね」

「そうなんだ!香澄もまざってもいい?お姉ちゃん!」

「いいわよ~成行君も構わないわよね?」

「勿論!」


 とこんな感じで僕と、琴美さんと妹の香澄ちゃんと三人で時間が許す限り打ち上げを楽しんだ。


                続

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る