第3話 僕達の初デート(後編)

 天体観測センターに入るとそこは、まるで夜の星空が目の前で広がっているような幻想な光景が真っ先に僕の目に飛び込んできた。


「さっきまで明るかったのにまるで夜の世界に迷い込んだみたいだ。」


 と中の光景を目の当たりにして思わず呟く成行だった。

 その反応を見て、琴美も嬉しそうに成行に話しかける。


「分かる!?凄いでしょう!この幻想的なこの雰囲気!私、余裕がある時に来るんだけどこの光景見たら気が休まるしまだまだ世界はこんなに広いんだって感じれて、星の輝きも凄く綺麗で好きなの私!」


 好きなものを無邪気に語る琴美を見て好きなものの事となるとこんなにキラキラするんだなと成行は隣に居て感じていた。

 せっかく来たから色んな物を見たいだろうと思った成行は、琴美にこう言った。


「時間も限れてるし、早速見たい所色々周ろうか。僕、星とかこいうのあまり詳しくないから教えてもらえるともっと楽しめると思う。」


 緊張していたのとどうしたらいいのか分からないという気持ちが最近落ち着かなかったが琴美さんのように楽しめばいいだと分かったから出た言葉かもしれないと僕は、この時思った。

 それからは、木星コーナーや土星コーナーで生い立ちや地球からどう見えるかやどんな役割を果たしている星なのかを聞きながらあっという間に時間が経ち、気付けばお昼時間になっていた。


「お昼時間だけどどうしようか?琴美さん。」


 そう聞くと、ワクワクした表情で僕にこう言ってきた。


「この期間限定でカップル限定の料理が食べられるお店があるんだけどそこの料理がどうしても食べたいんだけどそのお店でいいかな?成行君」


 さっき待ち合わせ場所の所で楽しみにしてるって言ってたお店なんだろうか一応僕の意思確認の為に聞いてくれるのだろう。なら琴美さんのこんな顔を見て断れるわけがない。

 なので僕はこう返した。


「いいよ。ここまで付き合たんだし行きたい所なら最後まで付き合うよ乗りかかった船だし」


 そう言うと嬉しそうに僕の手を引きながら琴美さんはこう言った。


「ありがと。なら混むと午後からの私の行きたいイベントに間に合わないと困るから早く行こ。」


 僕は、その時の表情に目を奪われて、目的地まで手を引かれて行った。

 そしてその心配通り目的地は混んでいた。

 とりあえず僕達は、最後尾に並んだ。

 その間に午後の予定を琴美さんと話し合いまっとまった所で店員さんに呼ばれ中に入った。

 その中は、カップルだらけだった。

 まぁ、当然だろうが

 そして案内された席へ座りメニューを見る事にした。

 そのメニューは、コラボカフェですか?ここはって聞きたくなるくらいの独特な見た目や名前の料理があった。

 そんな事を僕が思っていると琴美さんが僕に話しかけてきた。


「メニューってもう決まった?成行君がまだ決まってなくて出来たらでいいんだけどこの夏の大三角形をプレートに乗せてっていう料理頼んでくれないかな!二択

 までは絞れたんだけどどうしても食べてみたくてダメかな?」


 元アイドルのテクニックなのか職業病なのか知らないけど上目遣いで聞いてくるのはずるいでしょこれ!?と僕は動揺した。

 でも、素直に頼まれたし、まだ何も決めてなかったのでこう返した。


「まだ決めてなかったし僕それでいいよ」


 そう返すと嬉しそうな顔でこう言ってきた。


「本当!?ありがとう!じゃあ注文するわね!」


 それから注文して暫く待つと料理が運ばれてきた。

 メニューで見た通りかなり斬新な見た目だった。

 とりあえずお腹は空いてるから食べよう。

 黙々と食べ、イベントの時間もあったし店も混んできたので食べ終えるとさっさと店を出てイベントの列へと並んだ。

 カップル限定の目玉スポットだと列に並んでいる時に昼ご飯の感想の言い合いの次に教えてくれた。

 もうそろそろ呼ばれるだろうという頃に後ろが騒がしくなって

 気になって琴美さんとよく見るとそこには何故かうちの社長が居た。

 なんであの人がここにいるんだ!?僕達二人は心底思った。

 話を聞きに行こうとすると僕達の番になったのでせっかくここまで来たので気にはなるが中へ入った。

 そこには、様々な星座がランダムに点灯される天井と写真映えしそうなここのマスコットキャラが描かれたパネルや限定グッズなどがあった。

 混んでいるので制限時間があったのでそれまで全力で堪能した。

 そして、時間になったので外に出ると琴美さんが

 ストラップを僕に手渡してこう言ってきた。


「今日は、私に付き合ってくれてありがとうさっき中で買ったんだ。お礼に成行君にあげる。」


 そう言われて僕は、嬉しすぎて声が出なくて首を縦に振って反応した。

 帰りの事も考えて見たいものも見終えたらしいので会場から出るとそこには、いつからそこで待ち伏せしていたのか分からないが社長が居た。


「二人共楽しかったですか?上手く親睦を深められてるみたいで安心しました。」


 といきなり話し掛けてきた。

 なので僕は一つ気になっていることを聞いた。まぁさっきまで忘れたけど


「あの、もしかして最初から僕達の事見てました?」


 とぼけた顔をして社長がこう言った。


「たまたま休憩室を通りかかったら話の内容が聞こえたので面白そうだったので私も社長として大事な子達が気になって来ちゃいました!イェイ!」


 何やってんだこの人この時僕達二人は呆れ顔で社長を見た。

 まぁ、この人なりに気にしてくれていたのだろうと僕達は察したのでこう返した。


「心配してくれありがとうござます。でも今後こんな事しないでくださいね。」

「そうです。仮にもプライベートなので配慮をお願いします。」


 僕達がそう言うと残念そうな顔でこう返した。


「分かりました。次からはしないようにします。それと来月、初のカップル声優チャンネルのイベント決定しましたよ。それも早く伝えたくて来ました。用は済んだのででは私は帰ります。」

「えぇー!?いろいろといきなり過ぎませんか!?それ!!」


 と思わず僕達は叫んでしまった。


 だが、そんな僕達の反応は社長の耳には届かず

 それを言い終えると、本当に社長は帰って行った。

 なんでいきなりそんな大事な事を今言うんだあの人は本当に・・・

 イベントが決まったのは嬉しいけどタイミングが悪いだろ・・・と僕達は思った。

 そしてその後、落ち着いてから僕達は家に帰った。

 重大事項を抱えて。

             続


        

              







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