　新しいギルドに所属してから、とても順調だった。

　実力は高いが評判が悪く、乱暴な冒険者達に絡まれたが返り討ちにした私達。あの出来事の後も、何度か襲撃されたが全て撃退した。何十人も仲間を集めて襲ってきたけれど、普段から戦っているモンスターに比べたら貧弱だった。全員を捕縛して衛兵に引き渡していると、そんな面倒な奴らも居なくなった。

　それからは、何も起こらない平穏な日々が続いていた。

　ギルドで任務を受けて、仕事をこなしていく。すぐに実力も認められて、ランクもアップした。とても良い任務を優先的に紹介してもらい、評価を積み重ねていった。依頼主から感謝されて、ギルド職員の信頼も得られた。とても順調である。

　前と比べて、報酬が五割以上もアップしていた。任務の難易度に対して、かなりの報酬を貰えるようになった。難易度が高い任務は、想像以上の報酬を。難易度の低い任務でも、十分すぎるぐらいの報酬を。

「危険な任務に臨んているお二人に、これぐらいの報酬を支払うのは当然かと」

　念のために確認してみたら、こんな回答が返ってきた。どうやら、こちらのギルドでは報酬の相場が高いらしい。しかも、冒険者に対する尊敬と愛情を感じる。とても良心的なギルドだと思った。もしかしたら、前のギルドが酷かったのかもしれない。報酬が中抜されていたから、あれぐらいしか貰えなかったのかも。

　どちらにしても、今の環境が最高だということだ。働いた分だけ、十分に満足するような報酬を受け取ることが出来ている。

　そのおかげで生活も随分と落ち着き、精神も安定していた。

　前のように、常に焦るような気持ちが消えなかったり、落ち着かないという気分にならない。余裕を持って、穏やかに生きることが出来ている。

　今だから分かる。レイが居てくれたから、あの頃の私は救われた。

　あの夢に怯えながら、周りは敵だらけだと思って警戒する日々。ずっと、気を張り続けていた。なんとかしようとして、貴族令嬢と冒険者の二重生活を頑張っていた。肉体的にも精神的にもギリギリのところで生き続けて、全く余裕がなかった日々だ。一歩間違えたら、酷いことになっていたかもしれない。

　あの時、レイに出会って少しだけ余裕が生まれた。彼女と一緒に行動して、徐々に心を開いていった。支えになってくれる人に出会えた。実はレイも大変だったのに、いつも笑顔で居くれた。それが、私にとってどれほどの救いになったことか。

　あの頃の不安や焦りは消え去って、今は落ち着いて過去を振り返ることが出来る。そして今、本当に幸せだと感じることが出来ている。

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