第17話 噂話 ※第三者視点
シルヴェーヌが婚約を破棄されて、セドリック王子がプロポーズを拒否された話は各所で話題になっていた。
「ねぇねぇ、あの話は聞いた?」
「もちろん! あの投げ飛ばされて気絶した方の話よね?」
貴族の令嬢達が、周囲を気にしつつ小声で噂話に花を咲かせて盛り上がっている。
「まさか、婚約を破棄されるなんて」
「酷い話よね」
令嬢達は、婚約破棄を告げられたシルヴェーヌに同情的だった。
「昔から、お二人の関係は悪かったもの。いつか、こうなるんじゃないかなって私は思ってたわよ」
「パーティーでは、いつも一人で放置されて可哀想だった。でも、あの方は一人でも堂々としていた。凛々しく振る舞っていたのよ」
「私も、あの方のように勇敢に振る舞えるようになりたいと思っていたわ」
「わかる! 私も、あの方を尊敬していたのよ」
「居なくなってしまわれて、本当に残念」
とある令嬢の意見に、皆が同意する。
誰に対しても冷たい態度で接するシルヴェーヌだったが、意外と周りの令嬢たちはシルヴェーヌの姿に憧れていた。憧れの視線を向けられていた本人は、何も気付いていなかったが。
「でも、婚約を破棄してすぐ別の女にプロポーズするなんて」
「それも、失敗したのよ! どうして、あんな事をしたのかしら」
「わからないけど。きっと自分の立場の上に、あぐらをかいていたんでしょう?」
「えぇー? それが本当なら、最悪じゃない」
令嬢達の会話は、盛り上がる一方だ。
「ただ断られただけじゃなくて、逆上して女性に手を上げようとしたらしいわよ」
「自分の思い通りにならないからって、暴力を振るうなんて最低ね」
「それで、逆に投げ飛ばされたらしいのよ。しかも、気絶までしたらしいわ」
「その話って本当なの? 本当だとしたら、男なのに貧弱すぎないかしら?」
「顔は良いのに。少し幻滅よね」
「あの方が、次の王になるなんて不安になってくるわ」
セドリック王子に対して、ネガティブな意見が続出する。彼に対する印象は、最悪だった。そんな中、一人の令嬢が注意する。
「それ以上は、止めておきなさい。反逆罪で捕まるかもしれないわよ」
「そうね。気を付けるわ」
どこで誰が聞いているか分からない。誰かに聞かれたらマズイ内容だった。慌てて口を閉じた令嬢達。それで、あの日の話は終わった。
その後、話題を切り替えて全く別の話で令嬢達は盛り上がった。
こんな噂話がされた数日後、セドリック王子が王位継承順位を降格させられることが発表されて、皆が知るところとなる。
そして、その話もまた色々な場所で話題となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます