第18話:金髪娘
一夜明けて新都市高の休み時間。1-A教室の奥で生徒たちが話している。
ボクとヒロミチ、榎原の3人は必然的に昨日のドリーミーランドの話におよぶ。
「やっぱ、一日でランド内を周りきるのは無理だったな」
やや消化不良気味にヒロミチが言う。
「ああ。でもな、だからこそ飽きなくていいんじゃねーか。奥が深い分、何度でも行きたくなるだろ!」
と、ポジティブ・ドリーマーの榎原。
「確かに。けど、あのキラークラウンには参ったよな。ありゃあマジでヤバいヤツらだったぜ!」
「最初は俺の知らない新手のアトラクションなのかと思ったが、まさか本当に襲ってくるなんてな!」
「だよな! 俺たちが何をしたってんだよ? なあ、レオナちゃん! あんなところで絡まれたらほかのお客さんから悪目立ちして恥ずかしいし、実際、周りに迷惑だったと思うぜ」
「うっ、うん……ですよね……」
ボクの中で他人事として処理する。
「ったく。周りの客が引いてたぜ!」
「ランドの警備員につまみ出されなかったのが不思議なくらいだよ」
榎原、ヒロミチ、分かってる。分かってるから。もうやめて! それ以上言わないで! ボクのドリーミーな青春の1ページがナイトメアに変わってしまう前に!
「今の世の中、いったいどうなってんだよ? 街中でクマには襲われるわ、カメにはからまれるわ! おまけに物騒なピエロは湧いて出るわ! 俺たちなんかしたか? それとも呪われてんのか? 教えてくれよ、なあレオナちゃん?」
「おいおい、レオナ、困ってんだろ! ヒロミチ!」
「ああ、悪い。レオナちゃん」
「えっ、あっ、うん」
まったく、心ここにあらずだった。それにしても結局、絶賛行方不明中の小笠原教授の足取りは依然としてつかめなかった。そして謎の金髪ツインテール少女の出現……
(――キミ、おもしろいね……)
脳内で再生される彼女の小賢しい声。フツーじゃあない、か……。
いろいろこっちの事情を知っているみたいだったけど、彼女はいったい……。
「本日のホームルームだが、テレビカメラが取材で入るから。そのつもりで……」
と、担任の教師が話しはじめた時、教室の扉が勢いよく開いた。
ガラッ!
明るく陽気なリポーターがマイク片手にカメラマンと教室内に入ってきた。
「はい! やってきました! ここ新都市高の1年A組のクラスに! スタジオの生島ルイちゃん! 届いてますか? さて! 早速ですが、クラスのルイルイを探せコーナー、行っちゃいまーす!」
キャーー! ワアー―!
クラス中に生徒たちの嬌声が上がった。
「おおっと、さっそくカメラさんが反応しているぞ!」
迷わず、生徒の座る机の間を縫ってずんずん向かってくる。そして他人ごとのように思っていたボクをカメラのレンズが捉える。
「おっ! いた! うゎお、ほんとに生島ルイちゃんそっくり、って言うか本物!? いやいや! ルイちゃん、今、スタジオにいるよね! スタジオだよね! ルイちゃーん!」
「ーーはい、ルイです。もちろんスタジオにいますよ!ーー」
「間違いないよね! ルイちゃん、スゴイですよ! 彼女、ルイちゃんそっくしですよ! あっ、キミ名前、教えてくれるかな?」
突然リポーターからマイクを突き付けられてボクは慌てた。
「は? ボク!? ですか? レオナです、けど……」
「レオナちゃん! キミが今週のルイルイ決定だね! どうですか? みなさん、いいですか? スタジオの皆さーん! 」
「ーーはーい。スタジオで―す! レオナさん、ほんとルイちゃんそっくりですね! ルイちゃん、本人的にどうですか?ーー」
「ーーいや~似てますね! 鏡を見ているような気分です。ーー」
「と、ルイちゃん、自らお墨付きをいただきました! レオナちゃん、キミまさに1/1スケール生島ルイですよ! じゃ、いきますよ! 今週のわが町のルイルイは、新都市高1年A組のレオナちゃんにケッティー!」
またひとしきり生徒たちの嬌声が上がる。騒ぎを聞きつけて、隣のクラスからも廊下にギャラリーが集まってきていた。あえてテレビに映りたいクラスの目立ちたがりや数人はボクの後ろに回り、ダブルピースサインを作ったりドヤ顔をキめたりとやりたい放題だ。やっ、やめて! ヒトをダシに盛り上がらないで! こんなところでボク自身が目立ってしまうのは非常にマズい! 案の定、ツカサがおっかない目でこちらをにらんでいる。彼女にはエージェントとしての立場がある。このクラスに溶け込んで極秘任務を遂行するために目立つ行動はダメだ。でも、これは、こればっかりはボクのせいじゃない。そもそもメイが妙な薬を作ったり、それに超有名アイドル、生島ルイの疑似DNAなんかを遊び半分で混ぜたりしなければこんなことにはならなかったのに! かてて加えて誰だか知らなけどテレビのバラエティー番組に応募なんかした人が悪い! などと憤りを感じていると、リポーターがボクの方に向かってマイクを突き付けてきた。
「じゃあ、最後にレオナちゃん! 今度、スタジオに遊びに来てくれるかな?」
「はっ? はあ?」
「来てくれるかな?!」
「いえ……」
「YES! はあーい、力強いオーケーをもらいましたあ!」
「は?! あの……」
「じゃあ、ここでいったんスタジオにカメラを戻します! それでは、まった来週!」
「ちょっ、ちょっと!」
ボクは、あいまいな返事でその場をごまかそうとしたことを後悔した。キョドキョドした女子高生の姿がこのまま全国のお茶の間にさらされてしまうことになるなんて! 不覚! 番組クルーは突然乱入してきてはバタバタと取材を終え嵐のように去っていった。ホームルームの続きが終わると、とっとと帰宅していったツカサのご機嫌でも取りたかったのに、クラスメイト達に囲まれてしまい身動きがとれなくなった。
「みんな! ゴメッ、ちっ、ちょっと通して!」
ボクは、生徒たちでにぎわう放課後の廊下をかき分け、ツカサとメイの後を追う。
校門を出たところで、一人で歩いているツカサの背中にやっと追いついて声をかける。
「やっ、やあ! いやー、しっかし、さっきのテレビには参ったよ!」
「あらっ、誰かと思えば有名人のレオナさんじゃない!」
なんだかツカサの話し方は、綾瀬川レイカの口ぶりに似ていた。
「って、あれはボクのせいじゃ……」
「解ってるわ。けど、私たち、今は目立つ行動は慎まないと」
「それは元々の原因を作ったメイに言って……って、あれ? ところでメイは?」
「なにか急な用事ができたんだって」
「ふーん。さては責められるのが嫌で逃げたな!」
「あはは、そうかも。なんてね。パッドに何か急な連絡が入ったみたいだよ」
「ほんとかなあ」
「ところでレオナ、ちょっと公園に寄っていかない?」
「えっ? いいけど」
マンションに帰る途中、公園のベンチで横並びに座りながら彼女が聞いてきた。
「ところでレオナ、最近調子はどう?」
「ボク? 別に、問題ないよ」
「そう。それならいいんだけど」
「あー、そう言えば、榎原タクヤに屋上に呼び出されてさ、付き合えって言われた」
「えっ、ええ~!? そっ、それであなた、いったいどう答えたの?」
「ん? ああ。いいよって」
ツカサは身震いした。
「そっ、それって、男の子同士でどこか行くとか、そういうことじゃないんだよ! それ以上の意味があるんだよ!」
「えっ、カラオケとか、ゲームセンターとか行くんじゃないの? それ以上に何が……」
ツカサは顔を赤くしながら言った。
「……いえない。けど、レオナには早い……と、思う」
「そもそもだけどボクはもともと男の子だったって、ツカサがそう言ったんじゃない!」
「そっ、それはそう、なんだけど……今はもっと、こう、女の子としての自覚を……」
言いながら、気のまわしすぎだと悟るツカサ。あまり過保護にしなくても彼女自身の選択に任せればいいのか。
「これでもさ、失った記憶もツカサたちから聞いてある程度補完されてるし。まあ、実体験としては薄いけど……そんなもんかなと思えなくもないし。小笠原教授が見つかれば、もっと聞きたいこともあるんだろうけど……」
「その教授についてなんだけど、彼はいったん国外に出国した形跡があるわ。その後どうなったのかまだつかめていないのだけれど……」
「じゃあ、今、日本にいないかもしれないの? そっか、メイも家族としてお父さんのことが心配だろうな……」
「レオナ、優しいんだね。メイのこと許してあげてね」
ツカサがボクの手にそっと触れる。
「べっ、別に本気で怒ってるわけじゃないし……実際この体になって不都合がるわけじゃないし……っていうかむしろ恩恵受けてる感じだし……」
ボクも彼女の手を握り返す。なんだかいけない気分になってきた。けど、ボクのツカサに対する愛情は本物だと思う。なんて……男の子みたいにドギマギしていると、背後の植え込みから何かがザッと飛び出してきた。瞬間、大きな野良ネコかと思ったが、「わわっ! どいて、どいてー」などと人語を叫ぶネコはいない。
ボクは反射的にツカサをかばって覆いかぶさる。ベンチに突っ伏した次の瞬間、金色のツインテールをなびかせて少女がベンチの背もたれ越しに頭上を飛び越え、公園の外へと飛び出していった。続いて5人のイカツイ男たちが目の色を変えて彼女の後を追いかけていく。あっ、危なかった! ボクはツカサの柔らかな胸に顔を埋めながらほっと一息、至福の時間を体感する。これはその、不可抗力によるもので……決して邪な心が招いたラッキースケベなどではないの! もちろん左手は添えるだけ……
「なっ、なんなのよ!? アレは! ちっ、ちょっと、レオナ! いつまでそうしてるの! 追うわよ!」
「あっ、ああ! ごめっ、」
もんっ! いつまでもこうしていたかったのに!
ボクたちは慌てて彼女を追う男たちを追った。彼らはひとけのない狭い路地裏に向かっている。つまり彼女は逃げ場のない袋小路へと追い込まれているのだろう。男たちに退路をふさがれたツインテールの少女はついに行きどまりへと追い詰められてしまった。彼女はここで逃げることを諦めた様子で両膝に手をつき荒い息を整える。再びゆっくりと立ち上がり肩越しに出口をふさぐ男たちの方へと振り返った。
「鬼ごっこも、もう飽きちゃった。 さあ、誰なのかな? 最初に地面とキスしたいのは! 相手になるわよ!」
強がりにも似た言葉で、イカツイ男たちを挑発する彼女。その瞳はギラギラ燃えている。中央にいたリーダーらしき男が一歩前へ出る。
「おとなしく来てもらおうか」
「とんでもなく、イヤ!」
「ふっ、なら仕方ない。少し痛い目を見て素直になってもらわないとなあ」
この男が軽く首を振ると、左右に並ぶ男たちが彼女に向かって距離を詰める。
彼女は掴みかかろうとするその太い腕をかわし、ハイカットシューズを履いた細くて長い素足をおもいっきり蹴り上げた。見事なキックが男の股間にクリーンヒットする! 男は悶絶してその場に倒れこむ。
それを見た残りの男たちは畳んだスタンスティック(高圧電流を流す警棒のような武器)を伸ばし、彼女ににじり寄る。彼女は一歩引いて身構えなおした。
「ちょっと待ったー!」
今までボクとツカサは物陰に隠れてことの成り行きを観察していたが、さすがに黙って見過ごすことができなくなって飛び出してしまった。
「バカッ、レオナ! ちょっ、待っ! あーもう!」
つられてツカサも出てきてしまう。男たちが一斉に振り返ると明らかに敵意に満ちた鋭い視線がこちらに向けられていた。つい勢いだけで介入してしまったが、まったくもって部外者のボクたちが歓迎されるはずもなかった。
「お前たちは何者だ? なんの用だ?」
リーダー格の男が口を開いた。
「ただの通行人だけど。大の大人が寄ってたかって女の子1人に何をやってんの?」
「お前たちには関係ない。このまま回れ右をして去れば見逃してやる。さもなければ二度と帰ることはできない」
言葉の言い回しやイントネーションからして外国人のようだ。
「彼女が何をしたのか知らないけど、まずは冷静に話し合おうよ。暴力はダメだよ!」
言葉で説得して通じる相手ではないだろうが念のため、出方をみる。
「帰れといったはずだ!」
やっぱりだめか。
「えっ! うっ、ジョ……ン?」
突然、何かにあわてたツカサが急に後方に下がり、マスクとキャップをつけて顔を隠した。
「どうしたの? ツカサ。ジョってなに?」
「何でもない! それより話し合いの余地はなさそうよ。レオナ、気を付けて! 来るわよ!」
「えっ、ああ!」
そう言って彼女はボクの背中を押した。信頼してくれているのか、それとも弾除け代わりと考えているのかわからないけど、どういうわけか好戦的なツカサが今回は前へ出ていかない。まーそのほうがこちらとしては動きやすくていいんだけど、戦い慣れてきたとはいえこれでもボクは一民間人だし、学校帰りのセーラー服のまんまだし、スカートはいてるときに大立回りなんてしたくないし! とか思っているうちに距離を詰めてきた男たちが威嚇するようにスタンスティックを振りかざす。いたいけな美少女あいてでも全く躊躇することなく突きかかってきた。瞬間、スティックの切っ先をかわすと相手の手首をつかんでひねり上げ、動きを封じる。続けて殴りかかってきた二人目を一人目から奪ったスティックで受け止める。互いに干渉しあって激しく火花を散らすスタンスティック。敵が目をそらしたその一瞬のスキを逃さず、みぞおちに強烈な蹴りをお見舞いし、跪かせていた一人目の肩に手刀を落として地面にたたきつけた。これで瞬時に二人の男の無力化に成功する。
「次は誰?」
勢い余って挑発すると、奥でツインテール少女を追い詰めていた男たちもこちらに向かってきた。今度はキャップを目深にかぶったツカサも加わり乱戦になる。男たちの動きには統率力がありムダがない。ただの烏合の衆ではないようだ。ツカサのスピードののった的確な蹴りを凌駕する男たちのパワーと耐久力の前に彼女は押され気味だ。
「ツカサ! これ使って!」
ボクは転がっていたスタンスティックを回転レシーブの要領で拾い上げ、転がりながらツカサへ投げて渡した。
「サンキュ!」
武装したツカサの戦闘力はあなどれない。これで流れが変わった。後方からツインテール少女も加わりいっきに形勢は逆転する。
「引くぞ!」
分が悪いと悟ったのかリーダー挌の合図で彼らは散り散りに逃げていった。引き際をわきまえているようだ。分散して去っていったのは後を追わせないためだろうけど、ボクたちも無理に後を追わなかった。ツインテール少女の保護を優先したからだ。
「大丈夫?」
ボクは顎の下の汗を手の甲でぬぐう少女に声をかけた。
「また会ったね! ロストちゃん!」
彼女は何事もなかったかのように軽い口調で返す。
「やっぱり! 君、昨日ドリーミーランドで会ったヒトだよね! あのカッコいいゴーグルをしていなかったから、一瞬、誰かわからなかったよ!」
「そっ、そこ!?」
「そう言えばなんでボクのことをロストちゃんって呼ぶの? ソレどういう意味?」
「ああ、いやあ~キミの名前、知らないから……トリマ」
「一体あいつらはなに? なんであんなに血相変えてキミのことを追いかけていたの?」
ツカサも前のめりになる。
「そうよ! あのジョンって男、あなたとの関係は?」
「ジョン?」
ボクと金髪娘は顔を見合わせた。
「いえ、ジョッ、ジョウダンじゃないわよね! あの男たち! 白昼堂々と襲ってくるなんていったいどういうつもりなの? で、あなたはいったい誰なの?」
「そんないっぺんに聞かれても……まあ、いろいろと事情がありまして……そのう、助けてもらったついでと言っては何なんですけど……」
そこまで言うと彼女はガクッとその場に膝をつき、もたれかかるようにボクの体にすがりついてきた。
「どっ、どうしたの?! どこかやられたの?」
グ~~ 彼女のお腹が鳴った。
「ここ数日、なんにも食べてなくって、ちっ、ちからが……なにか食べ物……ない?」
「わるいけど、今は何もないけど……」
「はぁああぁぁ……」
さらに崩れて液状化する金髪ツインテール。めんどくさいことになってきた。
今度はボクとツカサが顔を見合わす番だ。絵にかいたような腹ペコリーヌと実際に遭遇するとは……。とりあえず場所を変える必要もあり、近場のマクロナルドバーガーに文字通り彼女を引きずっていった。
「あーむ! もぐもぐもぐもぐ……」
メガトンマクロバーガーに必死でかぶりつくツインテールの少女。
よっぽどお腹を空かしていたのか、包装紙に顔をうずめて巨大なバーガーを夢中でほおばっている。気持ちいい食べっぷりだ。
「……良かったら、ボクの分も食べる?」
「もぐ、ふぐっ、ふぁりがとう、もぐもぐもぐもぐ、ごっくん」
「落ち着きなよ! バーガーは逃げないよ」
彼女はあわててドリンクホルダーに手を伸ばした。
チューチューチューー、ズズズズーー。
「ふう~~」
ストローからやっと口をはなすと彼女は一息ついた。頃合いを見て再び話をきりだしてみる。
「で、君の名は?」
「あたし? あたしは、アイ。アイちゃんって呼んでくれればいいわ」
「じゃあ、アイ、改めて聞きたいことがあるんだけど。いい?」
「……アイちゃんって呼んでくれてもいいのよ」
「昨日していたあのカッコいいゴーグルはどうしたのさ?」
「…………」
「レオナ、そこじゃない。彼女が追われている理由が先よ」
ツカサの突っ込みは正しい。
「そうだった。君はどこの誰で、なんで奴らに追いかけられていたか説明してくれる?」
「……わかった。順番に話すね! あっと、その前にちょっと、おトイレ! いいかな?」
「えっ、ああ」
彼女が席を立ったあと、その背中を見送ってからツカサに視線を向ける。
「彼女、どう思う?」
「わからない。敵ではないと思うけど……」
「昨日、会った時から妙にひっかかるんだよな。彼女、どうしてこの街に現れたのかな……。何か必然性があるような……」
「あの娘のこともそうだけど彼女を追いかけまわしていた奴らのことも何か聞き出せるといいんだけど」
「だね! あいつらカタギじゃないことは確かだよ! ひょっとして、ツカサが今、警戒している謎の大型トレーラーとも何か関係があるとか……」
「レオナにしては鋭いわね。 私のカンもそう言っているわ」
「えへん! タイミング的にありえるかなと」
「ねえ、あの娘、席を外してから何分たった? ちょっと長くない?」
「えっ? そうかな?」
「私、様子を見てくる」
ツカサがトイレを覗きに行った。が、すぐに引き返してくる。
「やられたわ! トイレはもぬけのからよ!」
「ええっ! なんじゃそらっ!? おごらせるだけおごらせておいて、そりゃーないよ!」
ツカサも肩をすくめる。
「彼女から情報を引き出すことに失敗したわ」
アイがさっきまで座っていた席にはくしゃくしゃになったバーガーの包み紙がむなしく転がっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます