第12話 争い
第一王子アーベルトは、マルクラム家を強く非難した。マルクラム家から購入した商品は欠陥だらけで、修理もしてくれない。詐欺行為のようだと厳しく責めた。
マルクラム家の当主は反論した。商品に欠陥など無くて、修理についても対応中であること。アーベルト王子に事実を公表するように要求する。アーベルト王子は全く応じなかった。マルクラム家当主の要求を無視した。
この出来事により、マルクラム家と王家の関係は一気に悪化する。マルクラム家は王家からの信頼を失い、王都で悪評が広まった。
マルクラム家から発明品を購入した多くの貴族達も、王家と一緒になって責めた。貴族社会でもマルクラム家の立場は、非常に危うくなった。
追い詰められたマルクラム家の当主は、今まで取引してきた商人と協力して秘密裏に仲間を集めた。
実は、ユリアンカが残していった発明品がまだ残っていた。多くの道具が動作停止して、動かない原因も不明のままだった。けれども、わずかに動作する物もあった。これを取引材料にして、王家に反逆の意思がある貴族達と交渉しようと考えたのだ。
その取引は成功した。マルクラム家のもとに、大量の武器と兵士が集まってきた。武力を行使して、マルクラム家は王国を相手にクーデターを起こした。
王家と貴族の戦いに巻き込まれないように、多くの市民達がマルクラム領から逃げ出した。そして、王都からも。
逃げた先で、彼らは新しい生活を始める。その結果、小さな街が生まれた。市民が安全に暮らすための街。襲いかかってきた王国軍や反乱軍を市民軍が退けて、争いに巻き込まれない安全な場所を築き上げた。そして、戦火に巻き込まれそうな市民達が更に集まってきて、どんどん街が大きく発展していく。
マルクラム家の当主が指揮する反乱軍と、アーベルト王子が指揮する王国軍。その争いに巻き込まれないように立ち上がった市民軍。王国内の争いは、まだまだ終わりそうになかった。
「地上は色々と揉めていて、大変そうだなぁ」
地上での出来事に関する情報を確認したユリアンカは、呑気につぶやいた。すぐに興味を失った彼女は、新たなアイデアを思いついたので次の研究に取りかかった。
自動人形達が色々と頑張っているようなので、自ら介入しようとは考えていない。彼らの自由にさせていた。助けを求めてきた時には、全力で助けようとユリアンカは思っている。その時が来るまで、自分も好きなように研究と開発を進めるだけ。
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