100作目:虹のふもと
彼は知らなかった。
虹には触れられないことを。
ふもとには何もないことを。
辿り着いたその地で、虹の代わりにこれまでの旅路を思い浮かべる。
初めは一人だった。
出会い、別れ、沢山の冒険をした。
実体ある確かな記憶に、ふ、と微笑が浮かぶ。
そして彼は再び歩き出す。
その水晶体に、新しい虹を映して。
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