99作目:法改正

 ある未解決の殺人事件が時効を迎えた。これまで長かった。世を忍び、ずっと隠れてこの時を待った。とりあえず警察署に行こう。

「俺があの事件の殺人犯です。でも、時効だから無罪でしょ?」

 俺はわらいながら言う。

「確かに時効でした」

 一人の職員が言った。

「数年前までは」

 俺の手首に手錠をかけながら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る