第10話
「これでは戦いを続けられない。すまないが、一度戻らせてらうぞ」
そう言ったのは全裸になってしまった僧侶の男性だった。
見たところ、全裸なこと以外何も問題ないっぽいけど・・・僧侶って服を脱がしたら戦闘不能になるの?
「俺も、右腕がなくては矢を射ることも、ナイフを持つこともできない」
今度は射手が言った。
「フランク、すまないが一人で頑張ってくれ!」
そう言うと二人は、倒れ伏したままの魔法使いを引きずって去っていった。
目をつむっていたせいでわからないけど、ほかの人の言動を見る限り、男の子が戦いに勝ったのは間違いないらしい。とても信じられないけど・・・。
でも、男の子がとても強いということなら、いろいろと辻褄が合う。きっと誰にも負けたことがないから、誰かに守ってもらう必要がないのだ。男の子の保護者がいつか来るはずだと思っていたけど、本当に一人でここまで来たのかもしれない。
でも、それだと親はどうしているのだろう。もしかして、男の子は本当に妖精か悪魔の類で、親とかいのだろうか。
男の子があまりにも非常識で、そんなことを考えてしまう・・・。
気付けば、その場に残されたのは、私と男の子と、フランクの3人だけとなっていた。
「え、瀕死の仲間をおいて何処かへ行っちゃったけど、パーティーメンバーってそういうものなの?」
私は素直な疑問を口にした。
「わかっていたのだ。俺は彼らにとって丁度いい金づる程度でしかなかったのだ。俺がいなければ今までのように「大槌」として稼ぐことはできなくなるが、命の危険を冒すのに値しないということなのだろう・・・」
え!上級ランクパーティー「大槌」にそんな秘密が!
いろいろ突っ込みどころが多くて自分の常識を疑うところだったけど、やっぱり今のシーンは、フランクがほかのパーティーに見捨てられたということで正しかったんだね。
「あ、動いたら血が出ちゃう!」
男の子の言うとおり、フランクの腹部の、戦槌の柄がささっているところから血がどろどろ出てきている。
突っ込みどころその2・フランクの状況がやばすぎる。どうしてこうなったの?
「は、かまわないさ。いずれにせよ、俺の命はそう長くはない。せめて今までの罪を償わせてくれ」
「え、死なないよ。最初に死なないようにするって言ったじゃん」
男の子は戦槌の頭の部分を持ちながら言った・・・のだけど、フランクの腹部から出た血が柄を伝って男の子の手までびちゃびちゃになっている状況では、ちょっと説得力に欠ける・・・・・。
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