第5話
何しろ相手は最強の魔法力を持った怪物。何をされるかわからないので、ミョルニルの「お願い」に従わざるを得なかった。
というわけで、今俺たちは奴の作った魔方陣を囲んで、結界を張る魔方陣魔法の準備をしていた。7人で同期をして、先ほどと同じように空中に新しい魔方陣を編んでいく。
「すごい!やっぱりすごいよ!」
俺たちの魔方陣を見ながら、ミョルニルが言った。どう考えてもすごいのはお前の体内魔力回路だろう!回路の複雑さも、回路が内包している魔力の量も、明らかに奴の体内魔力回路のほうが上だ。
だが俺たちはそれどころではなかった。なぜなら、フレイムレーザーを撃ったばかりなのに新しい魔法を構築してるため、もう精神力が限界なのである。体が軽く感じて疲れがない気がするのは、多分奴の回復魔法の効果だが、精神力までは回復できないらしい。そろそろ集中力が切れそうだ。
「ふむふむ。なるほど。それじゃあこうして・・・」
ミョルニルが手の上に魔力を集め始め、謎の魔力球を作り始めた。
え?ちょっと待った。こんなの初めて見たぞ。魔力を固めただけで、こんなものができるのか?俺たちの知っている魔力というのは、体内魔力回路のように線と線がつながって、回路のような形になっているものだ。そして体外に回路を構築したものが、魔方陣である。回路は魔力の属性を制御して、属性を与えられた魔力が物理に作用して魔法が発動する。
属性を持っただけの魔力の塊など、一瞬でエネルギーを使い果たして爆発するのがオチである。・・・はずなのだが、目の前のミョルニルの手のひらの上に、そういう感じのものが浮かんでいた。
「よーし、じゃあ行くよ!」
え?
「ちょ・・・ちょっと待て!そんなものを、魔方陣に近づけるんじゃない!待て待てまてまて!あああああぁあ!やめろおおぁお!」
魔力球が魔方陣に触れた瞬間、魔方陣を伝って、魔力回路に大量の魔力が流れ込んできた。
「ああああぁあぁあ!」
激しい痛みが全身に走ったが、意外にも魔方陣は安定していた。
それどころか、多くのエネルギーが取り込まれたことでより堅牢になったんじゃないか?・・・なんだこれ。なんか・・・魔方陣がひとりでに成長しようとしてる?や、やばい!制御しないと暴走しそうだ!
「みんな、頑張って!」
頑張ってじゃねえ!死ね!
「うおおおお!」
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