第7話

 気が付けば、周囲の人々は遠巻きに私たちを見ていた。


「ね、あそこのベンチで休みましょうか?」


「うん!」


 素直だなぁ。


 待っていればこの子の保護者がいずれ来るだろう。


 私も最初はそんなふうに思っていた。


 なかなか来ないので、一緒に広場の掃除をした。


 夕方になりお腹が減ってきたので、教会のまかないを多めにもらって外に持ち出して一緒に食べた。


 それでもまだ誰も迎えに来なかった。


 男の子も心配になってきたのか私に言う。


「ねえ、まだ待つの?」


「うん・・・だれか君を知っている人が来ると思うから・・・」


「え、でもみんなぼくから逃げてくからそんな人いないんじゃない?」


「いや、そうじゃなくて・・・」


 ここで、突然後ろから男の人の声がした。


「おい、そこの子供!危ないからよけなさい!」


 声の主は、鎧を着た体格の良い男性だった。


「え?」


 私は慌ててまわりを見るが、危ないものは見当たらない。私は男の子と顔を見合わせる。仕方がないので鎧の男のほうを見る。この人・・・確か上位ランクの冒険者で、名前をフランクと言ったはずだ。そして、彼の後ろに控えるのは、フランク率いるパーティー「大槌」の面々だった。


「何が危ないんですか?」


「違う!お前だ!お前・・・それが怖くないのか?」


 フランクが男の子を指さす。


 あ、そっか。私は慣れちゃったけど、この子めっちゃ魔力のオーラやばいもんね。


「そりゃまあ、最初はびっくりしたけど・・・この子いい子だからもう慣れちゃったよ」


「い、いいから離れろ!そのバケモノから離れるんだ!」


「ひっ」


 フランクはすごい剣幕で手に持つ戦槌を構えた。同時に後ろのパーティーメンバーもそれぞれの武器を構えた。


 大槌のフランク。その後ろには、名前の知らない魔法使いの女性、なんか美男の射手、それから僧侶らしき男性の合計4人パーティーだ。


 ちょっとだいぶ怖くて足がすくむのだが、私は勇気を出して声を上げる。


「その武器で誰と戦うつもり!?」

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