第3話

 目を開けると、青空が広がっていた。


 生きているのか・・・?


 ・・・ほかの隊員は!?


 あたりを見回すと、さっきと同じ城壁塔の屋上で、倒れ伏した隊員たちとそれから・・・


「ひっ!?」


 輝く金髪のミョルニルが、すぐ目前にいた。


「うーん、やっと起きた!やっぱり人間ってもろいなー」


 しゃべるのかこいつ。しかもしゃべる内容もやばい。


 さらに、望遠魔法ではわからなかった新事実が判明。奴から形容しがたい威圧オーラが発せらているのだ。これじゃあここまで来る間も相当目立っただろう。そしてこのオーラの正体はおそらく体内魔力回路だ。体内魔力回路は、魔術師ならだれもが持ち、魔法を使ううちに自然に発達する。その発達具合が明らかに人の域を超越しているのだ。高位の魔術師は独特の雰囲気があると言われるが、それは本当だったらしい・・・。


 しかも、普通なら認識阻害の結界を常に張って自分の体内魔力回路を隠すのだが、そうじゃないのも狂気を感じる。


「ねえねえ、具合はどう?大丈夫そう?」


 殺すのが目的ではないらしい。少なくとも今のところは・・・。


「答えてよ、なんでだんまりなの」


 ミョルニルがこちらへ近づいてきたので、思わず後ずさる。


 ここで足元で伏せたままの隊員に気づく。そうだ、みんな無事だろうか。慌てて近くの一人の息を確認する。


「おい、起きろ!大丈夫か!」


「あ、大丈夫だよ。みんな死んじゃいそうだったから魔法で死なないようにしたんだ!」


 ああ、それで死んでないのか。しかし相変わらずぶっとんでるな。回復魔法というのは複雑な身体を一つ一つ確認しながら調整を加えていくという、高度で複合的な技術なのだが、それを7人同時に、レーザーで焼き殺されるわずかな時間にやったのだから恐ろしい。


 とりあえず俺は、隊員6人の全員が無事なことを確かめた。確認し終えると、それをニコニコ見守っていたミョルニルが言った。


「みんな初めまして!ぼくの名前は好きに呼んでいいよ!」

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