第17話 突き動かされる衝動
強く握りしめると、バキッと木の枝が折れるような音を立てて大男は声を押さえて呻いている。
「ううううっ!! こ、殺してやるぞ……ひっ!!」
大男が最後まで言葉を伝える前に、君を見ると小さく悲鳴を上げた。
人を簡単に殺しそうな大男がである。
君は、怒りと殺意の先に愉悦を感じていた。
何故だか分からないが、愉しくて仕方ない。
だが、君はこれがいいとも思えないと苦しむ。
「こ、こんな家にいられるか!」
大男は逃げ出すと、外に出たと同時にバキッといい音がした。
入れ替わりにブラウズが血相を変えて入ってくる。
「シェル! アッシュ! 大丈夫か! 何だ……お前は……アッシュなのか?」
ブラウズは君を見るなり思わず剣を構えてしまう。
胸に渦巻く気持ちを押さえて、君は……。
自分の頬を思いっきり叩いた。
変なモヤモヤとする気持ちが少し晴れたおかげで、気を持ち直すことができた。
君はここで起こった事をブラウズに伝えると少し安心したようだった。
「そうか、シェルは気絶しているだけか。ありがとうアッシュ……本当に感謝する」
大切な宝物を確認するように、シェルを抱きしめたままブラウズはしばらく動かなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます