第16話 介入する意思

 足を真上に蹴り上げた。

 しかし、その手が緩まることはなく、更にきつく締め付けられる。

 君の呻き声がまるで呪文のように口から吐き出される。


「おいおい、それが蹴りか? 何言ってんのか聞こえねえぞ?」


 このままでは本当に頭が砕かれてしまうだろう。

 今の君はあまりに無力だ。

 それでもここで諦める訳にはいかない。


 君には果たすべき「約束」があるのだから。



 ―――いつまで遊んでいる。

 ―――契約を遂行せずに終わる事は許されない。



 その声と共に全身に激痛が襲う。

 ただでさえ頭が痛いというのに、更に全身の激痛が加わる。

 おまけにどす黒い気持ちが込み上げて来て、意識が遠のく。

 

 しかし君は踏みとどまった。

 ここで倒れてしまえば、これまでの意味が無くなってしまう。

 この大男の手を放したいと強く思い、掴んで力を込める。


「抵抗しても無駄……何だ? 腕が……うがあああ!」


 ミシミシと骨の軋む音が聞こえている。

 君はまだ力が入ると感じて、徐々に力を強めていく。


「やめろ! 放せ! このクソガキが!」


 さっきまでの暴力的な行動をした事について君は大男に問う。

 だが返答は吐き捨てるような否定的な言葉が返ってくるだけだ。


 答えを聞いて大男に失望する。

 そして、君は掴んだ腕を……。

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