第9話 洗濯の手伝い

 シェルが壁を押した部分は少し突起していて、その部分を押して水が出ると教わる。

 水が止まったので、君は自分の手で水を出したいと思った。

 壁を押すとしばらく水が出続けるので、もう一度気持ちよく水を浴びる。


「着替えと身体を拭く布は籠に入れてあるので、使ってください」


 言われた通りに籠から布を取り出すと身体に付いている水滴を拭いた。

 そして、着替えも取り出して服を身に着ける。

 サイズは少し大きめだが、気にならない程度だった。


 シェルはシーツや他の衣類を洗ってくれていたので、君も手伝う事にする。

 少しくすんだ白い粉を混ぜて桶の中で板に擦り付けて洗っている。


「これは石灰という粉です。これを水に混ぜてやって汚れを落とします」


 泥や油で汚れている衣類が少しずつを綺麗になっていった。

 君もシェルと同じように汚れた衣類を洗っていった。


「ある程度汚れが落ちたら、桶の水で洗い流してください」


 シェルに続いて君も桶の水を使って汚れを洗い流していった。

 ただ、洗濯する量が尋常じゃなかった。


「この量は驚きますよね。お父様が兵士長なので訓練を行うといつもこうなります」


 これだけの衣類が汚れるくらい厳しいものなのだろうかと、聞いてみると笑われてしまった。


「説明不足でしたね。お父様以外の兵士たちの分です」


 君はようやく納得ができた。

 この汚れは、ブラウズの訓練による兵士たちの努力の結晶という事なのだろう。

 シェルが汚れを嫌がらないのも納得ができた。


 大量の洗い物を根気よく洗い続けてようやく終わりが見えてきた。


「洗い終わったら絞って、籠にまとめて入れて外に持ってきてください」


 シェルは残りを君に任せると、別の部屋から棒と丸い板とロープを持って外に出た。


 洗濯が終わった君は、籠を持って外に出るとそこは広い庭だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る