第10話 庭で行う労働

 庭は広く、レンガ造りの壁で囲われていた。

 木々はよく手入れされていて、芝生は綺麗に整っていて綺麗な庭だ。


 シェルが手にした棒を芝生のある場所に直接突き刺した。

 カコンと音がしてしっかりと棒が固定されたのを押したりして確認している。


 固定した棒にロープを引っかけると、カラカラと音を立てながら家の壁のほうに走って伸ばしていた。家の壁にもロープを引っかける用の出っ張りがあってそこに引っかける。

 

 カラカラと音が鳴っていたのは、ロープに付いていたL字型の木の束だった。

 ロープの端から端まで一定間隔に玉結びしたものがあり、そこから更に短いロープが複数本垂れ下がっていて、それぞれにL字型の木が括り付けられていた。


「そのロープの先の木に、こうやって衣類を引っかけるだけです。最後にこの丸い木を垂れ下がっているロープの中央に差し込みます」


 シェルと同じやり方で洗濯物を次々と木に引っかける。

 衣類を引っかけた後で、丸い木を中央に差し込むと衣類同士が間隔が空いて干せるようになっていた。

 これは便利だと君は感心する。


「あとこれが3つあるので、同じようにロープを張って行ってください」


 棒とロープを受け取ると、カラカラと音を立てながら3つとも同じように取り付けた。

 やってみると意外と疲れる事が分かる。

 これを毎回するのは大変だろうと君はシェルに伝える。


「お父様も普段は手伝ってくれます。たまに一人の時もありますけれど、慣れもあります。それでもこれだけ量があると、やっぱり大変です」


 そう話をしながらシェルは洗濯物を次々と引っかけて行く。

 君はなるべくシェルの負担を減らすべく頑張って動いた。

 しばらく、洗濯物を次々と掛けていくとようやく山積みの籠が空になった。


「ふぅ……。お疲れ様です。とても助かりました。ありがとうございます、アッシュ」


 君は頷くと、疲れがどっと押し寄せてくる。

 そのまま座り込むと空を見上げた。

 雲一つない、晴れた青空が目に映り込んだ。

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