第6話 呪われた怨念

 君は再び眠ろうとする。

 眠ることで不安を紛らわそうと目をきつく閉じていた。

 ずっと目を閉じていると、辺りから音が消えてやがて意識が深く沈み込む。

 

 君は夢の中いた。

 シェルに腕や脚を揉みほぐしてもらっていた。

 多少は動くようになったものの自力で起き上がることはできない。


「ねえ、アッシュ」


 それはシェルの声ではなかった。

 とても低音の声で男女の判別が付かない。

 君は急いで起き上がろうと力を込めるが、腕も脚も身体全体が手で掴まれているような感覚に襲われる。


「君はどうして名をもらえた?」


 怨嗟の声が響き渡り、君の心を縛り付ける。

 どうして君だけという声が何度も何度も繰り返し頭に直接響いた。

 聞いたこともない声のはずなのに、何故か後ろめたい気持ちが湧き上がる。


「このままでは アッシュ は死ぬ。だって君は■■■■と同じだから」


 直接頭の中に聞こえる声に君は混乱する。

 アッシュが死ぬ。

 ■■■■と同じってどういう意味なのか。


 君はますます混乱の中に落とされる。


「だから契約をしよう。必ず■■に復讐をすること。それだけが望みだ」


 復讐をするという話に君は考える必要がある。

 相手は誰なのか。

 これを拒否した場合はどうなるのか。


「本当は君に選択肢は無いんだ。拒否すれば君は衰弱して死ぬ」


 だから、君は……。

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