第10話ライブ配信シーン10

ステードの村、アイテム屋の奥の部屋にて。

俺達の目の前で自身の持つ魔神具まじんぐによりその力を見せてくれているヤシュア…。

ヤシュアの導きの笛により出たその力は大きな鳥の姿をした『トーンウイング』と呼ばれる鳥だった。

俺達が唖然としているとヤシュアは笛を口から離し力を治めていく。

するとその姿は徐々に緑色の光りになっていき笛に治まっていくトーンウイング。


「おお…すげぇ力だな。」

「ええ…本当に何度見てもヤシュアの力は凄いわ。」


俺がカルマに問いかけると彼女はこれまでヤシュアの力を何度かは見てきたようだ。

ヤシュアは自分の力を戻し終えると再び椅子に腰をかける。


「どうじゃ…この世界の事、力の事少しは知れたかの?」

「ああ…俺にもカルマにも確かにその力はあるみたいだからな!それと…。」


俺はカルマの顔をチラリと見ると意を決して今後の事を話して行く事にしたんだ。

俺達の最終目標はカルマの両親を無事に救出する事だ。

その為にはこの世界は本当に広すぎる。

そこで最短で、今いる場所からこの世界の裏側まで辿り着かなければならない…その為の最善策を練らなければならないのだ。

俺がこの話をするとカルマも隣でじっと聞いている…きっと心の中では直ぐにでも両親を探しに行きたいっていう気持ちを抑えているのだろう。

俺が彼女の立場でもきっとそうなる。

俺は話を終えるとヤシュアがその口を開いたのだった。


「そうか…今までカルマちゃんにはこの世界の話と力の話はしてきたがそんな理由があったのじゃな。」

「はい…。今までは私一人で何とかしようとしか考えてなくて…でもやっとこうして頼ってもいいかなって思える人が現れてくれたんです。」


そう言うカルマの身体は小刻みに震えていたんだ。

俺はカルマの肩に手を乗せ一言呟く。


「ヤシュア…俺とカルマの為に力を貸してくれないか?」


俺は彼を見つめそう言うとヤシュアは一瞬暗い表情を浮かべると、迷っていたようだが一度席を外す。

俺達二人は無言で待っているとヤシュアは戻ってくる。


「おまたせした、だが…これから話す事はワシやこの村もそうじゃが…お前達の為でもあるのだ。」


彼はそう言いながら腰掛けると俺達の目の前に一冊の本を広げてくれたんだ。


「これは?」


俺の問いに彼はゆっくりと話し始めたんだ。


「これはこの世界の地図、そしてこの国の勢力図、ここがステードの村じゃが…ここからずっと…来て、ここ、丁度ステードの村の裏側に君達の目指す『邪馬やま』と呼ばれる国はあるのじゃ。」


これはこないだカルマが俺に説明してくれた通りの話であった。


「そして、邪馬やままでの最短ルートはというとまずは今ワシらがいる島『ジャーニュア島』から船等の移動で邪馬の国を目指す事が一番早いが安全性は少なく何日どころか何年かかるかも分からぬであろう…。」

「そんな……。」


カルマはガックリ力を落とす。


「他に早い方法はないのか!?」


俺はヤシュアに問いかけると彼は再び語りだす。


「あると言えばある…じゃがこれが一番危険な賭けのような事なのだ。」


ヤシュアはそう言うとお茶をひとすすりする。


「ふぅぅぅぅ。では話そうかの。」


そして彼は一息つくと再び語り出す。


「ワシらの様に魔神の力を持つ者の中の一人に『飛脚ひきゃく』と呼ばれる力を持つ者がいる事がワシの情報として入ってきているのじゃ。そやつの力は一瞬で万里ばんりも越えると言われてるのじゃ。」

「そいつを探し出して力を借りれたら…チャンスはあるのか…。」


俺がそう問うとヤシュアは難しい顔をする。


「じゃがの…最近この魔神の力を使う闇の勢力の名を時々耳にするようになったのじゃ。」

「闇の勢力?」


カルマがそう聞き返す。


「ああ…魔族と獣人族の中に魔神具を集めその力を次々と手にしこの世界でとある組織を作り上げたという話なのじゃ…そしてその組織の名は『魔神バトラー』」

「「『魔神バトラー』?」」

「そうじゃ…そしてそのBOSSとも言われる『ゼルドリス』という名の男は魔神を統べる魔王とも呼ばれ世界中の魔神具を集めそしてこの世界を混乱の渦へ巻き込み支配しようとしているのじゃ…。」


俺とカルマは顔を見合わせる。


「この先…お前達がマジェストである以上旅をしていくにあたり必ず奴らの邪魔が入る事であろう…。」


ヤシュアはそう言うと机の上にそっと何かを置くのだった。

そのアイテムとは…。


「これは?」


俺はアイテムを手にし眺める、スマホの様な物だがスイッチが数個ある見た目簡単な作りのスマホという感じだ。

すると俺の問いにヤシュアは答える。


「これはワシが開発し作り上げたアイテムで魔神具に反応してくれる魔神機まじんきその名も『魔神サーチャー』これを使えばこうして…」


ヤシュアが魔神サーチャーのスイッチを入れるとピコンピコンと画面にMAPが示され今俺達がいる位置に三つの反応が見れる。

これは俺達三人の魔神具の反応なのだろう。


「これが私達なのね。」

「そうみたいだな。」


俺とカルマは魔神サーチャーを見ながら再確認している。

すると画面に突然四つ目の反応が現れる!!


「なんじゃ?この反応は!?」


ヤシュアは焦りの表情をみせる。


「どうしたんだ!?」


俺の問いにヤシュアは立ち上がり一言呟いた。


「どうやら…ワシらと同じ力を持つ者がこの村にきたようじゃ。」

クロノ、カルマは目標を見定める事ができた。だが三人の前に突如現れた同じ魔神具を持つであろうマジェストの出現!何者なのか…果たしてどうなる!?

お読み下さりありがとうございました。




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