第11話ライブ配信シーン11

俺達はヤシュアの話を聞き終えた。

その時、突然ヤシュアの持つ魔神の力を感じ取れるレーダー『魔神サーチャー』が反応する。

すると外から突然の叫び声!!


「きゃーーーっ!!!」


俺達は村人の叫び声を聞きつけ表に出ていくと…そこに居たのは五~六人の見た目が屈強な男達。

そして奴らに囲まれている女性が叫び声の主だと気づく。

すると、集団の中でもリーダーの様な男が女性の前に歩み寄る。


「フハハハハ…俺様はこの旅団のリーダーだ…この村には若い女達と俺達の満足する程の料理と酒はあるか!?」


旅団のリーダーは村全体に届きそうな大声でそう叫ぶ。

その威圧感は他のメンバーとは比べ物にはならなかったのだ。

故に他のメンバーより…強さも数段上であろう。

大男を震えながら見ている女性…すると女性の目の前にスッと飛び出し着地する女の子の姿があった!!


「カルマ!?」

「カルマちゃん!?」


俺とヤシュアが叫ぶと大男はカルマを凝視する。

ジロジロとカルマを見ている大男は突然雄叫びを上げる!!


「うぉぉぉぉおおおっ!!!」


周りにいた誰もがその雄叫びに驚き立ちすくむ。

すると大男は被っていたフードを破り捨てるとその正体は!?


「「ゴブリンか!?」」


俺達は声を揃えて叫んでしまう。

すると俺のヘッドホンからコメントが聞こえる。


『クロノ!敵はゴブリンか!?』

『ゴブリンもお決まりで弱い部類の敵だけどアイツには何かありそうだぜ?』

『気をつけて』

「サンキュ!皆!行ってくる!」


俺がコメントにそう言い残し…足を一歩踏み出そうとすると、ゴブリンはニヤリと笑いカルマに声をかける。


「うぉっほう!いやぁ…この村はいい女が沢山いると聞いて来てみたらこいつは極上じゃねぇか?」


そう言われたカルマの顔はその気持ち悪さに青ざめている様だった。


「うるさい!私がアンタ達を倒してこの村から出ていってもらうわ!」


カルマはそういうと腰を抜かしていた女性は恐ろしさに震えている。

そんな様子を気遣い声をかけるカルマ。


「もう大丈夫よ…少し待ってて!」

「は…はい……ありがとうございま…」


そこまで言いかけた女性の表情は突然驚きの表情へと変わる!!

カルマの後ろから二人に迫る巨大な影はゴブリンだったのだ!!


叡智えいちの書…水のウォーターシャボン


カルマは本を開き唱えると水の泡が一つポワンと出てくるとみるみるうちに巨大化するとカルマと女性を内部へと包み込む。

攻撃を加えたゴブリン、すると水の泡にぶつかったゴブリンはギャンという言葉と共に落ちていく。


「危なかったわ。」


カルマの咄嗟の行動に一先ず彼女らは無事なようだ。

すると一斉に他のゴブリン達も暴れ出す!!

その時一匹のゴブリンが指を咥えると指笛を吹き鳴らす!


ピューーーーーっ!!


辺りに突然ガサガサと草を掻き分ける音が聞こえると草むらから飛び出すゴブリンの群れ!!

そう…集団で行動するヤツらはたった五匹では無かったって訳だ。

ヤツらは次々に散らばり村人に襲いかかる!!


「うりゃっ!!」


俺の拳が一匹のゴブリンを吹き飛ばす!次の瞬間数匹のゴブリンが俺の目に移ると、その数に倒されてしまう。


「うぉっ!くそっ!」


俺を取り囲むゴブリンの群れ。

するとゴブリンリーダーは大声で笑う!


「フハハハハっ!!我らゴブリンは今からこの村を我らの物にする事に決めたのだ!!」


するとゴブリンリーダーに立ち塞がるカルマの姿!!

彼女はいつの間にか泡の中から飛び出した様だ。


「ゴブリンのリーダーか何か知らないけど私が貴方を倒すわ!」

「ほぉ…女ぁ……なら俺様がお前に勝ったその時は」

「なによ?」

「俺様の妻として 迎えてやる。」


ゴブリンリーダーはそう叫ぶとまた咆哮を上げる!!


「うぉぉぉぉっ!!お前ら!!この女以外の二匹を血祭りにあげろ!!」


盛り上がるゴブリン達の群れは俺を揉みくちゃにしヤシュアにもその群れは襲いかかる!!


「ふぅ…ヤレヤレじゃな。」


するとヤシュアの身体の周りに突風が吹き始める。


「トーン…ウィング!!」


ヤシュアの一声に取り囲んでいたゴブリン達はたちまち切り刻まれていく!!


「なにっ!!」


驚くゴブリンリーダーが辺りを見渡すと俺とカルマに襲いかかっていたゴブリン達もあっという間に切り刻まれ俺達は解放される。


「すげぇなヤシュア。」

「当たり前よ…これが大魔道士ヤシュア様の実力よ。」


俺達がヤシュアの凄さを痛感すると叫び出すゴブリンリーダー!!


「うぉぉぉぉっ!!お前ら許さんぞ!!」


すると自分の服の胸元に手を突っ込むゴブリンリーダー。

ガサガサその手を出すとそこに握られていた小瓶を俺達は目にする。


「あれはなんだ?」

「何かの瓶よね…?」


俺とカルマはじっと見ていると徐ろにゴブリンは瓶の蓋をこじ開けると瓶の中身をガラガラ口の中に流し込む!

ボリボリとゴブリンは薬を噛み砕き、飲み込む。


「フハハハハ!これからが見ものだぞ!見てるがいい!!」


ゴブリンリーダーの身体はブルブル震えるとその肉体はボコボコと筋肉を隆起させ…その姿は恐ろしい怪物へと変化させていったんだ。


「あれは…。」


ヤシュアがそう呟いた言葉にカルマは聞き返す。


「ヤシュア様にはあれが何か分かるんですか?」

「ああ…あれは魔神具まじんぐの一種で『魔神薬まじんやく』と呼ばれ…ただの魔物でも魔神レベルの戦闘力が授かれると言われる麻薬なのじゃよ。」

「そんな物まであるのか?」


俺の問いにヤシュアは答える。


「ああ…人聞きに聞いた情報だったんじゃが…最近その薬があちこちに出回る様になりこうして最弱モンスターでも知能を付け凶暴化する様になった…と。」


ヤシュアはそう言うと立ち上がり構える。


「こうなればワシも…動かねばな。」

魔神具を使いパワーアップするゴブリンリーダー、そしてヤシュアはどう戦うのか!?

お楽しみくださいませ!

お読み下さりありがとうございました。





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