第8話ライブ配信シーン8

俺は現在モンスターとの戦闘中だ。

カルマはゴブリンを倒してくれたが、残るスライムの相手は俺が倒すしかない。


俺VSスライム!!


だが…スライムといえど、やはりこいつはモンスターの一種だ。

普通の武器も持たない人間が戦って倒せる相手ではないのだ。

俺が様子を伺っていると、スライムはその身体を変化させ…馬と御者(以下オッサン)を徐々に飲み込んでいく!

するとスライムが消化液を出したのだろうか…シューッとスライムの身体から煙の様な物が少しずつ立ち上がってくる。

その瞬間…馬は暴れだしオッサンの叫び声が上がる!

馬は暴れ馬車は大きく揺れオッサンの叫び声も増したんだ!!


「うあっ!!あああーーーっっ!!」

「くっ!!やめろーーーっ!?」


その瞬間…俺の身体は無意識にスライムに攻撃を仕掛けていたんだ!!

俺の拳はスライムの身体にヒットしたかに見える。

子供の頃、玩具の『スライム』で遊んだ事があるがまさにあれを拳で殴った感覚だ。

もちろん想像通り拳はヒットするというよりスライムの身体の中に入っていく感覚。

そして予想通り俺の拳はスライムの身体の一部と化したかに見える。

すると、うねうねと俺の右腕を身体の一部に取り込もうとスライムの身体は徐々に動き出し今度は俺をも飲み込もうとその姿を変えていく!!


「くそっ!!やっぱりダメージは与えてないか!?」


俺が声を漏らすとカルマはこちらを見て叫ぶ。


「ちょっと、クロノ!スライムを普通に殴ったところでダメージなんて与えられないわ!?」

「カルマ…」

「クロノ!どうしたの!?」


俺が真剣な顔でカルマを見ると彼女は心配そうに見ている。


「カルマ!いいか?もし俺の攻撃があいつに効かなかったら…」

「えっ!?」

「それでもスライムだけはこの馬車から何としても剥がしてやるから…。」

「どうするつもり?」


俺はスライム相手に身構える!!


「一気にファイアーで焼いちまってくれ。」


俺はそう言い残すとスライムの身体の中のコアがあると思われる所に向け、攻撃を試みる。

そして俺の右手に握っていた先程見つけたものとは…。

突然俺の耳に入ってくるコメント。


「クロノ!さっき見つけた武器ってなんだよ?」

「そのスライム!馬とおじさん飲み込みかけてやばくないか?」


そんなコメントが聞こえてきたが、俺は手に入れたアイテムを取り出し頭上高く振り上げる。


「何だそのアイテム!?」

「それってまさか!?」


そんなコメントがくるが俺は構わず攻撃を試みる!!


「おりゃあああああっ!!」


俺の右手に握られた物の正体とは!!??

「スライムとは…軟体モンスターの一種、その身体は粘性のゼリー状の物質で構成されており一般的には打撃系の攻撃は効きにくいとされており攻撃には炎系の攻撃が効果大である。」


俺の耳にそんなコメントが届いたと同時に手にしたアイテムから炎が吹き出し形作る!!


「おおっ!!思った通り腕輪の力でこの柄を武器化できたぜ!!」


俺の見つけたアイテムとは…。

そう何か武器の様な物の柄だったのだ。

俺は柄を握り腕輪に願いを込める!


(腕輪よ…俺に力を貸してくれ。)


その瞬間俺の後ろに何か巨大な何かを感じる。すると、俺の目の前は暗くなり身体は闇に包まれていく。

同時に脳内に誰かの声が流れ込んでくる。

(お前か…今度はなんだ?)

(お前はこないだ出てきた…一体誰なんだ?)


俺がそう問いかけるとそいつからの返答がくる。


(俺は、お前の腕輪に封印された魔神…『武神竜ぶしんりゅう』)

(武神竜ぶしんりゅう…)

(ああ…この世界に太古より君臨し続けてきた戦いの神とまで呼ばれた存在…だが戦いこそが全てのこの俺は人族にいいように崇められ調子に乗った俺はこの世界を武力により制圧してしまった。)

(それはいい事をしたんじゃないのか?)

(ああん?)


俺のその問いに武神竜は不快そうに言った。


(戦い好きの俺が戦いが無くなったらやる事がなくなるじゃねえか!?)

(ま…まあそうかもしれねえけど…)

(まあ聞け…そんな時、俺が暴れ出さないようにと俺を封印しようとする動きが出たのだ。)

(俺は冗談じゃねえと逃げようとしたが既に遅し…勇者の力により俺やあの女の本に封じられたアイツ…も封印されてしまったのだ。)


俺の顔は自然にカルマの方に目を向けられてしまう、すると何とカルマの本に見た事もない姿のモンスターがエネルギー体として存在していたんだ。


(マジか…何だよアレ)

(まあ…今はお前の力として俺の力を貸そう、お前の身体がなきゃ暴れる事も…。)

(おい!何だよ暴れるって!?)


俺が問いかけた時には、もう奴の言葉は聞こえることは無く…俺の手には炎を刃先に纏った刀が握られていたんだ。

すると聞こえるカルマの声。


「クロノ!!何それ!?」

「えっ!?何か知らねえけど…今はそれどころじゃねぇ!俺はこれからスライムを馬車から切り離す…カルマ…後は頼む!!」

「分かった!!クロノ!!切って!!」


俺は刀を構えるとスライムに向かい攻撃を放つ!!


俺の刀の炎はスライムの身体に付き刺さり

そのまま刀を振り下ろしていくとスライムの身体は切り裂かれていく!!


「うおおおおおっっ!!!」


炎の刃はスライムの身体を切り裂くと馬車からスライムは剥がれ宙に舞う!!

次の瞬間!カルマは着地すると本を取り出す。


「今だ!!カルマーーーっ!!??」


俺が叫ぶとカルマは本を開き魔力を貯め集中していたんだ。

そして彼女の口は美しく光り一言呟いた。


「聖なる炎よ…敵を焼き尽くせ、ファイアー…。」


彼女の本より出し炎がスライムめがけ放出され…そして敵をメラメラと焼き尽くしていく…やがて炎はスライムの身体と共に消えていったんだ。


するとスライムが剥がれ落ちた馬は体勢を立て直し、開放されたオッサンも馬を制御し事なきを得たんだ。

「ふぅぅぅ…助かった!!本当にありがとうなお前ら!!」


オッサンは俺達に例を言い馬を撫でている。

するとほっとしている彼にカルマは声をかける。


「大丈夫ですか?…」

「ああ…君たちのおかげで馬も俺も無事ですんだみたいだ…本当にありがとうな。」


オッサンは涙ぐみながら俺達にうったえている。

すると俺の右手に握られている物を見ている。


「それは…?」

「これな…悪いと思ったけど、積荷の中に武器がないか探してたら出てきたんだけどちょっと借りちまったんだ…返すな!」


俺がそう言い武器の柄を返そうとするとオッサンは俺に手のひらを向け首を横に振った。


「そいつはな…実は闇商という市場に人を運んだ時に文無しだったみたいでな、そいつが金の代わりにくれたんだが…そんな柄しかないガラクタは俺にも必要なかったんだが仕方なく貰っておいたもんだ、欲しけりゃ助けてくれた恩にくれてやるよ!」


オッサンはそう言い笑っていた。


「ありがとうオッサン!」


俺が礼を言ってるとカルマが口を開く。


「おじさん…お願いあるのですが…」

俺達は、カルマの提案でオッサンの馬車に乗せられステードの村に出発した。


『クロノ!凄かったぜ!バトルがカッコよかったぜ!』

『カルマちゃんの魔法も凄かった!』


俺はそんなコメントを聞きながらステードの村へと馬車に揺られるのであった。

お読み下さりありがとうございました!

モンスターを退治し村まで急ぐ二人にこれから何が起こるのか!?

お読み下さりありがとうございました!






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