第7話ライブ配信シーン7
俺達が向かうステードの村はカルマの暮らす小屋から近く、彼女の生活に欠かせない物はこの村で調達しているらしい。
これから旅をする俺達にはある程度の食料と装備品の確保は必須だ。
俺が準備をしているとリスナーからのコメントが耳に入る。
「クロノ!さっきの話の流れだと、きっとこれから長旅になるはずだ!ある程度の食料確保と武具防具もいると思うぜ!」
「この世界にレベルってのはあるのか?それならこの辺りで弱小モンスター退治してレベルアップがセオリーだろ?」
「私はカルマちゃんが信じれる子なのかが気になるけど…。」
こんなコメントが流れてきたのだが確かにどれも的を得ていたんだ。
(カルマか、俺はカルマをやっぱり信じたいな。)
俺がそう考えているとカルマを擁護するこんなコメントだ。
「カルマちゃんはそんな子じゃないよ!」
「そうだそうだ!」
「な!何なのあんた達!私はクロノが心配なだけよ。」
どうやらカルマファンも沢山できたらしい。
俺は、やれやれとため息をつき応える。
「心配してくれてありがとう!でもさ、俺もこの世界の事はまだ何も分からないし今はカルマを信じてみるさ!それで、もし仮に騙されたとしても…俺は後悔はしねえよ。」
するとその子のコメントがかえってくる。
「…そんなクロノがやっぱり…カッコイイ♡」
俺はニコリと笑顔でブイサインを出す。
すると準備を終えたらしいカルマに声をかけられたんだ。
「クロノ!準備はいい?」
「ああ!行こうぜカルマ!!」
こうして俺達は最初の目的地であるステードの村へと出発したのだった。
◇
◇
◇
俺達の進む街道は、遠く西に向かうと「グランドバズ王国」が存在し、そのずっと手前から東に入ったアゼルの森と呼ばれる森の中に目指すステードの村はあるらしい。
とは言え、これまでカルマが一人で買い物に行ってたという村だ、行くまで危険も少ない場所なのだろう。
俺がカルマの隣りを呑気に歩いていると前方から時々荷物を担いで歩く通行人や馬車が来たり、どうやら街道は比較的安全な道だと思われる。
するとコメントが聞こえてくる。
「いやあ…凄いな!めちゃめちゃファンタジーの世界じゃんか?」
「のどかだし俺も冒険行ってみてえ!」
(こいつら本当に平和だな…でもまあ俺でもそう思ってしまうか。)
「お?馬車も走ってるよな!?馬車が走ってる所なんて生まれて初めて見てるぜ!」
「そうね…確かに現代じゃ馬車なんて見ないよね。」
俺とカルマがそんな会話をしているとすれ違った馬車の馬が突然暴れ出し立ち止まる!!
ヒヒヒ〜んっと馬は叫び前足を高く上げ立ち上がるかのようだ!
どうやら前方に現れた何かを警戒した馬の行動だった。
俺は確認しようと馬車の前に走り出る。
すると同じく後ろから着いてきたカルマは立ち止まると本を目の前で開き頭上にかざす。
『叡智の
これはこの世界がカルマに与えたオリジナルスキルアイテムである。
これをカルマが扱うと…。
◇
◇
◇
出てきたモンスターは見た目がスライム?と、ゴブリン?って感じの二体だ。
馬の足元にはスライム的なアメーバ状の生物が絡みついており、そして馬の手網を握っている馬業者のおじさんを振り落とそうとしている小鬼がいたのだ。
(あれがゴブリン?)
するとカルマは目を閉じ何かをブツブツ唱えると目の前に水の塊が発生…やがてその水は無数の球体になりゴブリンに向かい飛んでいく!!
「ウオーターバレット!」
数発の水球はゴブリンの身体を貫通!身体に穴が開き動きを停止したゴブリンは馬の背中から落ち地面に叩きつけられると、その姿を消す。
「すげぇな魔法…。」
俺は思わずカルマの魔法に感心してしまう。
すると手が自由になったおじさんは慌て手網を掴むと馬の体勢を持ち直そうとする。
だがまだ馬の足にはスライムが張り付いており徐々に馬の身体を飲み込んでいこうとしている!!
「うわっ!?馬が!飲み込まれる!?」
おじさんが叫ぶとスライムは一気にその姿、形状を変えそのおじさんごと飲み込もうとしているように見える。
だがここで馬は突然走り出してしまう。
「くそっ!よし、今行くしかねえ!飛び乗ってやる!!」
俺は走りながら荷台に飛び乗ろうとする。
「うりゃあああっ!!」
荷台のへりに何とかしがみつき…荷台に乗っていく。
「よし!間に合ったぜ、荷台に乗れた!後はモンスターか!?」
するとヘッドホンから聞こえるコメント。
「クロノ!そいつほスライムだ!いわゆる初級モンスターだぞ!」
「スライムの弱点ってなんだっけ?」
「スライムの弱点…炎?とか、かな?」
「それはやっぱりセオリーなのか?」
(いやいや今それ所じゃねえぞ!魔法なんて使えねえし、火なんてもんここにある訳ねえだろ…ん?)
俺は辺りを見回すと馬車の荷台に積み込んである荷物の山、あそこにもしかしたら武器とか、ワンチャン入ってないか!?
俺が積荷を確認すると出てきたものは…食料に雑貨物etc.....戦いに使えそうな物など…
ん?
そう思っていた俺の手に握られた物は…。
◇
◇
◇
「うわっ!!くるな化け物!乗ってきた兄ちゃん!助けてくれ!?大事な馬もやばいんだ!!」
俺に叫んでいるおじさんは暴走する馬を操りながらもスライムに飲み込まれそうになっている。
するとカルマは魔法の何かに乗りながら俺が乗り込み走り続けていた馬車を追ってきてくれみたいだ。
「クロノーーー!!大丈夫ーーー!?」
「俺は大丈夫だけどオッサンと馬がやばい!!そのスライムを何とかしないと!!」
「クロノ!!この乗り物は私が本の力で動かしてるの!だから今は追いかける事しかできないの!でもきっと貴方なら何とかしてくれると私信じてるから!!」
(マジか!?カルマの力が今使えないならどうする…俺にはこの腕輪とさっき見つけたガラクタしかないぞ!?)
俺達に迫る危機…洞窟内で起こったあんな奇跡みたいな事なんて望んでどうにかなるもんじゃないだろ。
迫り来る危機に俺の鼓動は高鳴る。
◇
◇
◇
突然モンスターとの戦いになったクロノとカルマ!!果たしてどうなる!?
お読み下さりありがとうございました!
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