第6話ライブ配信シーン6

カルマの話を聞いたクロノ、そして戦う力を得たクロノはカルマの力になる為…彼女の両親をこの世界で探す事になったんだ。


「クロノには、まず…この世界の事を簡単に説明するわ。」


カルマは、そう言うとテーブル上に地図を広げるが、よく見ると地図に描かれている世界はどこかで見たような形をしている。


それは俺達の住む世界そのものだった。


するとクロノの耳にリスナーのコメントが聞こえてくる。


『クロノ!俺達もこっちから応援してるぜ!』

『その地図って本当に俺達の世界地図とかわらないじゃん!』

『そんなに広いんじゃ簡単じゃなさそうだな!計画をしっかり練らないといつまでも見つからないぜ!』


確かに地図を見たけど俺達の元の世界とほぼかわらないようだ。


これは広すぎてしらみ潰しって訳にはいかないよな…俺がそんな事を考えてるとカルマが口を開いたんだ。


「地図を見てもらえば分かるとは思うんだけど、この世界は私達が住んでいた世界と形も面積もほぼ変わらないの、簡単に言葉にするなら私達が住んでいた世界が表の世界、そしてこの世界が裏の世界みたいな表現でいいくらいよ。」

「なるほど。」

「そこでまず私は、自分の得た力で、この世界の事を色々知ったの、文化や生活とか色々ね…そして今いるこの場所は私達の世界で言えば日本の反対側ってとこね。」


俺は一つ一つカルマの説明を頭に入れていく。


「それでね、私のこの世界での目的は両親を探す事!叡智の書で調べたヒントを色々辿ると今いる場所から遠く離れたこの国の裏側にある日本らしき場所にいるのではないかって仮説を立ててみたの。でも…。」


彼女はそう言うと俯き続けた。


「こんな広い世界…私一人じゃ両親を捜すなんて事とても難しそうで…。」


彼女の顔は暗く沈む…だが気を取り直すように首を振り微笑むカルマ…その表情は美しく俺は思わず見とれていたんだ。


「私…勝手なんだけど、実はずっと前からライバーのあなた…クロノのファンだったの、配信はずっと見ていて楽しくてカッコよくて私の憧れだった…。」

「そう…だったのか?」

「うん…それにクロノには不思議と何か感じるものがあったんだと思う。」


するとカルマは一つの小さめのスマホをポケットから取り出しテーブルに置いたんだ。


「それは?」

「このスマホはね、この世界に私が初めて来た時…この手に握っていた物で、クロノの配信が見れるスマホなの。」

「なるほど…。」

「それで私は考えたんだけど。」


そしてカルマは続けた。


「こうして私に起こった事件も、クロノに助けを呼ぶ事に辿り着いた事も全部このアプリの開発者の『意図する何か』じゃないかと私は考えてる。」

「意図する何か…か、確かにここまでの流れならそう考えれるよな?」

「うん…でもね、今回貴方を巻き込んでしまったのは私…。」


そう言ったカルマの表情は泣き顔になっていった。


「本当に…本当に勝手な事して…巻き込んでしまって本当にごめんなさい……。」


俺は思わず立ち上がりカルマの後ろに立っていた…そしてカルマの髪に触れる。


「大丈夫…一人よりも二人だ、俺も協力するから安心しろ。」


俺がそう言うとカルマは目に涙を浮かべ泣き出した。


それは長く長く、どこまでも聞こえるようにわんわんと、今まで溜まりに溜まった感情が溢れ出したように…。

俺は温め直してもらったカルマの料理をご馳走になるとこれからの俺達の行動を考えなきゃなと考えていた、そして台所ではカルマが洗い物をしてくれている。


「ふぅ…カルマの料理美味かったな。」


一人暮らしが長い俺にとっては久しぶりの温かな料理に幸せを感じていると突然ヘッドホンからリスナーのコメントが聞こえてくる。


『おい…クロノ!一人でいいカッコしやがって…俺だってカルマちゃんと話したいぞ!』

『カルマちゃん!たまにコメントで見てたけど私にできる事あったら力になるからね!』

『カルマちゃんの手料理俺も食いてえ…』


俺は少しの間忘れていたけどまだ配信中なんだ。


すると、いつの間にかカルマが俺の目の前に立ち、こちらを見て首を傾げている。


「ねえ…クロノにはリスナーさん、皆の声が聞こえてるんだよね?」

「ああ、そうだな…このヘッドホンからコメントは聞こえてくるみたいだな…。」


俺は答えるとカルマはヘッドホンを見ながら口を開く。


「ちょっと私にそのヘッドホン貸してもらえる?」

「お?ああ…いいぜ。」


ところが…俺が頭からヘッドホンを外そうとすると…なんとヘッドホンがどういったわけか外れない…自分で外そうとしてもカルマが外そうとしても俺の耳と頭にフィットし、そして…俺の身体に同化しているヘッドホンは取れなかった。


「はあはあ……」

「何度やってもダメね、しかもよく見たらクロノの身体と同化しかけているみたい…私のこのスマホでは通話も出来ないみたいなの。」

「そうなのか?しかし本当にこのアプリ専用ってやつなんだな。」


そう言いながら俺はカルマのスマホを受け取ると色々試してみようと試みる。

まずは電話から…そう思いはしたけど何故か電波は立っているが回線には繋がらないらしい。

そこで今度は配信を見てみようとネットに繋ごうとする。

カルマの登録されたネット一覧を見るとこの世界、つまり俺がもらったアドレスと俺の配信しか見れないという有様だ。


「カルマ…これはマジでこのアプリの『何か』なのかも知れないな?」

「私にもどうしてこうなったのかも分からなければこうして限定された、つまりクロノの配信とこの世界が連動されてしまっていて、この世界に来た者は、ここから出られない状況になっている事しか私にも分からないの…。」


カルマはそう言いまた暗い表情に戻ってしまう。


「カルマ!これ知ってるか?」


俺は超王道のお笑い芸人の声真似をする!


「おっす!◇○○#@!!」


彼女は初めはキョトンとした顔をしていたが俺は続ける。


「○♪!?」


次第にカルマの顔は我慢を堪えきれず吹き出す。


「あは…あはははっ!!」


俺はそれでも続けると彼女は次第に笑い転げていく。


「あはははっ!もうやめてって!クロノーーー!!」

「おりゃー!!」


俺達はしばらくの間二人で笑い転げた!

「はあはあ…もうやめてって言ってるのにクロノやめないんだもん…私久しぶりにこんなに笑ったよー!」

「笑いもたまには大切だぜ!」


笑い疲れている彼女を見ていると、ふとある事が頭に浮かぶ。


「カルマ、話は変わるけど…色々考えたけど俺達には情報というものが足りなさ過ぎる!この辺りに他に人は居ないのか?」


俺は真剣に彼女にそう問うとポカンと俺を見ていた。


「どうかしたか?」

「う…ううん!何でもない!」


そう言ったカルマの顔は赤かったんだ、やがてカルマは我に返ると地図上のとある場所に指さし説明を始める。


「え…えっとね、ここが今私達がいる現在地、そしてここから西に歩いて三十分位の所に小さな村があるわ、私も食料はそこで調達している村…いつもお世話になっているステードの村よ。」


カルマが村を指さした場所はよく見ると森の中の様だ。


「その森の中なのか?」


俺の問いに頷き答えるカルマ、俺はニコリと笑う。


「よし!じゃあ早速行こうぜ!ステードの村!!」

こうして俺達の冒険の第一歩は始まったんだ。

いよいよクロノとカルマの冒険は始まる!

お読み下さりありがとうございました。



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