第3話ライブ配信シーン3
俺は気がつくと…コメントが聞こえてくる。
『クロノ!!??』
『クロノってば!?』
俺を呼ぶコメント…聞こえてくるコメントに、ふと我に返ると…頭上から生臭い息だろうか…漂ってくる匂いに俺は驚く。
ゆっくり上を見上げていくと。
そこにはリアルでは絶対に見る事の無いであろう生物…。
改めて下から見上げていくと…巨大な足、爬虫類の腹の様な模様、そして鱗…こいつは…まさか…。
「ドラゴン!!!???」
◇
◇
◇
今、俺の目の前にはあのゲームでは最強クラスの怪物が存在しているのだ。
こんな理不尽な事あるのか…俺はそんな事を考えてると…リスナーのコメントが聞こえてくる。
『クロノ!敵ってドラゴンなのか!?』
『やば!めちゃデカいじゃん!?』
『っていうかクロノって素手じゃないのか?』
やばい…リスナーの言う通り、俺には何の装備もない…素手でこんな敵と戦はなければいけないのか。
この状況どうすれば…。
俺の心臓の鼓動は、バクバクと高なる。
その瞬間ドラゴンは口を開くと口の端に火が見える!!
やばい…炎なんてくらったらひとたまりもない!!
『クロノ!!炎はやばいぞ!!』
『逃げてクロノ!!』
確かに皆のコメント通り、この状況はやばい。
俺が見上げると巨大な顔のギラリと黄色に光る眼、少し開いた口の隙間から鋭い牙と炎がメラメラ漏れ出している。
そんな怪物が俺にジリジリと迫る!!
「くっ!?どうしたらいい…」
俺がそう一言つぶやくと聞いた名のコメントが聞こえてくる。
『あれ?クロノ!?何してるんだい?』
そう…そのコメントをしたのは俺をこのゲームに巻き込んだ紛れもないアイツ…カルマだ。
俺は思わずカルマに叫ぶ!
「おい!これはどうなってるんだ?こんな怪物とどうやって戦えってんだよ!?」
するとコメントで帰ってきた答えはあまりにも理不尽な答えだった。
『おかしいな…ゲーム始めだからチュートリアルなはずだからドラゴンなんて出てくる人、聞いた事ないけどね。ちなみに僕の時はマジックスライムだったしね?』
「なにっ!?それは本当にあまりにも理不尽だろ?」
『そうだよ!クロノだけ、どうしてこんな目に!?』
女性リスナーだろうか、俺を本気で心配してくれてるようだ。
するとカルマからのコメントが届く。
『そうそう…僕の時はアイテムがきてたけどクロノには何か届いてなかった?』
ん?アイテムだと?俺は身体中を探してみてもどこにも……ん?なんだこれ?
よく見ると腕輪の様な物が左腕に装着されてるじゃないか!?
これどうやって使うんだ?
剣とか魔法が使えるようになったとかそういうんじゃないのか?
そんな考えが頭をよぎる。
「これ見てくれ!腕輪が着いてたけど…」
俺はリスナーに向かって腕を見せる。
『それは!?』
腕輪を見せるが…これは武器ではない。
『これしかないぞ?でも腕輪って武器ではなくないか?ほら武器っていうなら剣だったり斧とかさ、もっと強そうなものが…』
『………。』
突然カルマのコメントが止まる。
どうしたんだ一体…俺はそんな事を考える。
するとカルマ以外のコメントが流れてくる。
「カルマ!?どうしたんだ?俺はどうしたらいいんだ!?」
俺は思い切り叫ぶ!!
洞窟内には俺の声とドラゴンの唸り声しか聞こえない状況だ。
すると…後ろから聞き覚えのある声がする。
俺が後ろを振り返るとそこにはカルマが立っていたんだ。
「カルマ!?この状況本当にやばいんだ!?なんとかならないのか!?」
俺はそう声をかけるがカルマは黙って無表情のまま俺を見ている。
「聞こえないのかカルマ!?」
俺が再び叫ぶとカルマはすうっと右手を上げ背後にいるであろうドラゴンを指差す!
「ほら、くるよクロノ……」
カルマの声に俺は後ろを振り返るとドラゴンは俺に向かい攻撃を始めた!!
◇
◇
◇
ドラゴンは大きく口を広げると俺めがけてくらいついてくる!!
これはやばい!!
俺はこの危機的状況に身をのけぞらせ間一髪の所でかわす!!
『クロノ!!』
『危ないっ!!』
コメントにも触れられず俺はドラゴンの攻撃をかわすのに精一杯だ!!
どうしたらいい!?
戦いなんて、そりゃ喧嘩くらいはした事はあったけど本格的にこんなバトルなんてした事ないぞ。
ドラゴンがそのまま洞窟内の壁に激突!辺りの岩々が破壊され衝撃音が響く!
ドゴーーーン!!
パラパラと崩れた岩が地面に転がる。
そんな状況がライブ配信されてるのだろう…だがコメントは止まったままだ。
「ハアハア…マジか…何か武器でもあれば…。」
俺はそう呟くとカルマはこちらを見ながら口を開く。
「クロノなら…あんなの余裕なハズだよ…」
何言ってるんだこいつは…どう考えてもヤバいだろ。
俺がこの状況に焦っているとカルマはじっと俺を見ている。
するとドラゴンは突然その巨大な顔を今度はカルマに向けたようだ。
俺はその光景にドキリとする。
「おいおい!?マジかよ…」
カルマを見ているとドラゴンは今にもカルマに飛びかかりそうだ!!
すると突然カルマは頭を押さえ苦しみ出す!
「カルマ!?」
俺は気がつけばドラゴンとカルマの元へ走り出していた!!
なぜ走り出したのか、何の力も無い俺がカルマを助ける事なんてできないはずなのに…いわゆる身体が勝手に動いていたんだ。
徐々に冷静な思考になればなるほど俺の身体は徐々に震えてくる。
でも…だ、今度はカルマがドラゴンの標的になってるんだぜ!?
ドラゴンは俺のチュートリアルの敵だ!
関係ないカルマを俺の敵の餌食になんかできるか!?
ジリジリとカルマに近づいていくドラゴン!!
俺は走りながら思わず叫ぶ!!
「カルマーーーーーーーーッ!!!」
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました。チュートリアルからまさかの展開になりましたが続きをどうかお読みいただけたら幸いです。よろしくお願いします!(´▽`)
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