第2話ライブ配信シーン2

俺が目覚めると…ボヤけた視界から洞窟の天井が見えてくる。


「ううぅぅぅっ!いってえな…どこだよ…ここは…」


視界が戻ると…辺りには何の音も聞こえない…さっきの足音は何だったんだろうか。


「何だこれは…!?何が、一体どうなってるんだ?」


俺が一言呟くと…装着されていたヘッドホンからコメントが聞こえてくる。


『あ!目が覚めたんだねクロノ!』

『クロノ!また配信始まったんだな!?』

『良かった、クロノ帰ってきてよ…』


そんなコメントに俺は考える。


(あのゲームのリンクに飛んだらこの世界に来てしまったみたいだ…これはリアルなのか?)


そんな事を考えてると…またコメントが聞こえてくる。


『クロノ…あのクロノがDMでもらったゲームのリンクって僕にも送って貰えるかな?』


そんなコメントに俺は危険を感じる。


「いや、ダメだ!まずは皆は俺に起こる事を見ててくれ!どういう訳か俺が気絶すると配信がきれて目が覚めると配信が始まる事だけは分かった。」


俺がそう言うと背中の方から、ふと誰かの声が聞こえる。


「クロノ…よく来たね。」

「誰だ!?」


後ろを振り返るとそこにはフードを被った人間が立っていたんだ。


背格好は俺よりずっと小さく華奢でこれからすると…女性なのかも知れない…。


「初めましてクロノ、、、僕の名前は『カルマ』君をこのゲームに誘った人間だよ、ふふふ。」


その声は女性だと認識はできるが声の底に威圧感を感じる。


するとヘッドホンからコメントが聞こえてくる。


『誰?』

『さっきのクロノにDMを送ったカルマって奴か?』

『ちょっと!クロノに何をする気?』


コメントは俺の耳には聞こえているがカルマには聞こえてるのだろうか?


俺はそんな事を考えてしまう。


するとカルマが口を開く。


「うるさいよ君達…」


カルマの不気味な威圧感を感じる声に一瞬コメントが止まる。


「おい!カルマとか言ったな…お前が俺をゲームの世界に誘った理由はなんだ?」


俺の問いにカルマはこちらに視線を向け、ニコリと微笑む。


「いいかい?このゲームは簡単に説明すると君のリアルオンラインゲームだよ。」

「リアルオンラインゲーム?」

「そう…実際に、この世界で起こる全ての事は…君はそのまま体感する事になる。」


俺は…その言葉に恐ろしさを感じる。


「それってどういう事なんだ?」

「つまり君がこの世界で美味しい物を食べれば美味しいと感じるし…こうして…」


バチンッ!!


突然俺の頬を平手打ちするカルマ…頬は一瞬熱い痛みを感じる!!


「いってぇ……」


俺は思わず叩かれた頬に手を当てカルマを睨みつけると彼女はフードを外し…その顔を見せる。


髪は銀色の長い髪をなびかせていた。


思わずその美しさに一瞬見とれてしまう。


するとヘッドホンマイクからコメントが聞こえてくる。


『うおおおおぉ!!なんだあの美少女は!?』

『くそっ!!クロノが羨ましいぞ!?』


etc.....男性リスナーのコメントが聞こえてくる。


俺はその声に我に返りカルマを見返す。


「やだなあ…そんな顔しないでくれよクロノ…僕は、このゲームを君と楽しみたいだけだよ…。」


ニコリと微笑みながらカルマは説明を続ける。


「それでさ、今ちゃんと痛みを感じたでしょ?」


カルマはそう言いながら俺に近づいてくる…すると彼女は俺の頬に触れる。


「な…何をする気だ?」


俺が問いかけると彼女に叩かれた頬が温かくなってくる。


頬に触れてる彼女の手が光り出す。


「ヒール…。」


徐々に俺の頬の痛みは消えていく。


「!?な…ま…魔法…なのか?」


俺は、リアルでは絶対有り得ない体感をし、思わず動揺してしまう。


すると光は弱まっていき、やがて消えると俺の頬の痛みは全く消え去っていた。


『すげぇぇよ!!』

『魔法じゃん!?カッコイイ!!』


このライブ配信を見ているリスナーの声が聞こえる。


俺は自分の身に起こった不思議な体験に呆然としているとカルマは口を開く。


「ふふ…このゲームの事…簡単に説明するね。」


そしてカルマの説明が始まった。

「さっき話したけど、このゲームは全てリアルに体験するんだ。クロノも痛みを感じたでしょ?もちろん怪我しても、この世界では魔法でも治せちゃうし、でも…もし死んじゃったら…僕にもどうなるか分からないけどね…」


カルマのその言葉に俺は一瞬ドキリとする。


「この世界は剣と魔法の世界、もちろん人によって違う『特殊能力オリジナルスキル』なんて言うのもある。」


俺は内心考える。


(リアル体験ゲームだって事は理解できた、カルマの言ってる事が真実ならば…だけど、とりあえず一旦話を聞いて整理するか。)


「そ、それで…俺はこの世界で何をすればいいんだ!?もちろん帰る方法もあるんだろ?」


俺の問いに先程まで微笑んで話をしていたカルマの表情が一瞬悲しげな顔をしたのを俺は見逃さなかった。


するとまた微笑みカルマは話を続ける。


「いいかい?この世界でクロノがやるべき事は僕と共にこの世界で暮らしていく事…この世界は力こそが全て…ありとあらゆるモンスターが存在し、そして色んな種族が暮らす世界。ここで…」


そこまで言ったカルマは俺に顔を近づけ一言。


「クロノ…君は僕と…。」

俺はカルマのその瞳に凍りついていると…洞窟の奥から何かの気配を感じる。


「ん??なんだこの気配!?」


俺がそう叫ぶとカルマは立ち上がり口を開く。


「これから起こる事は、このゲームの最初の試練…それによってクロノの能力が決まるんだよ。だから僕は手を出せない。頑張って…。」


そう言い残すカルマはフッとその場から一瞬で消え去った!!


「なんだ一体…カルマはどこに消えたんだ?」


俺がそう叫ぶと耳にコメントが聞こえてくる。


『ガガ…ツー……ガガガ』

『クロ…ノ…ガガ…』


どうやら電波状態が悪くなったらしい。


その時…先程から感じている気配は徐々に大きくなっていき巨大な何かの足音とハアハアという息遣いも聞こえてくる。


「なんだ!?何かが近づいてきてるぜ!?」


俺は何者かの近づく音に身構える。


(でも…どうする…何かが来ても俺はどうやって戦えばいい?)


俺はどうにもならない焦りを感じる。


だが状況は…じっとしているしかない。


(モンスターなのか?そんなのが出てきたらどうやって俺は戦う?)


俺は只々焦る事しかできない…。


ズシン…ズシンと聞こえる足音には恐ろしさしか感じられない。


こんなのと戦う事が俺の試練なのか?っていうかカルマもこんな戦いの試練を乗り越えたのか?頭の中にそんな考えがよぎる。


グオオオオオオオーーーーーッ!!


モンスターの叫び声が聞こえ…俺が振り返った瞬間…。


俺の意識はそこで途切れた。

突然の何かの、出現にクロノはどうなる!?

お読み下さりありがとうございました!




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