第25話
「さて、そろそろお米を炊こうかな。」
「ん、お米?」
炊き上がるまでの時間を考えて、そろそろ準備に入ろうとすると、
クルが尋ねてくる。
「私達が一番多く食べてるものだよ。
元は植物の種なんだけど、そこから採ったものに、
お水を入れて熱くして、柔らかくなったものを食べるんだ。
それが出来上がるまでに時間がかかるから、早めに準備するんだよ。」
「あっ、ご飯の準備だね! 私も見てみたい!」
クルも興味津々といった雰囲気なので、一緒に台所へ。
「クルのところ、木とか植物の実って、あんまり食べないかな?」
「うん、お肉が少ない時は、そういうのを多めに食べるけど、
一番はやっぱりお肉かな。」
「そっか。それじゃあ、あまり多くは入れないようにするね。
お肉も用意してるから。」
「お肉! 楽しみ!
あっ、お米もそれで良いと思うけど、食べるの楽しみにしてるね!」
私の住む国では、お米は主食とされているわけで、もちろん栄養価も高いから、
穀物を普段あまり食べていないクルが、たくさん摂りすぎれば、
身体にはあまり良くないよね・・・二人分よりは少なめにしておこう。
「それじゃあ、お米を大きめの器に入れて・・・
そこに水も入れて、洗っていくね。
三回くらい繰り返して、お水が白くならなくなったら、この工程は終わりだよ。」
「へえ・・・たくさん洗うんだね。
って、ハルカのところのお水って、ここから出てくるの?」
「あっ・・・その仕組みは後で説明するね。
何度も洗うのは、汚れを取り除く意味もあるけど、
こうしたほうが、お米が水を吸いやすくなって、
美味しく食べられるみたいだね。」
これもやりすぎると、栄養分が水に流れたりとか、
風味の違いについては、個人の好みにも影響されるらしいけど、
あまり気にしすぎるのもどうかと思うので、私なりの程よいくらいで。
水道の仕組みについては、後で検索した画面と一緒に、
見てもらったほうが良いだろう。
近くの井戸とか川から汲んできてるわけではないからね・・・
「はい、このくらいで良いかな。
あとは、こっちの炊飯器に入れて、お水はこの目盛りまで・・・
これでしばらく待てば、出来上がりだよ。」
「あれ、火は使わないの?」
「火にかけても出来るけど、これはもっと楽に炊けるよう、
電気を使って温めてるよ。さっきの調べる機械を動かしてるのと同じだね。」
「ふうん・・・もしかして、これってお米のためだけに使うの?」
「うん。同じような料理をする時にも使えるけど、
基本的には、お米を炊くために作られたものだね。
この辺りに住む人達は、昔から一番と言っていいほど、これを食べてきたから、
クル達にとってのお肉みたいに、調理にもこだわる人が多いんだよ。」
「そっか。ハルカのところでは、これが大事なんだね。」
クルのところも、例えば干し肉を作る技術は、代々伝承されてきたものだろうし、
食文化と言えばいいだろうか、お肉に関して大切にしてきたものがあるのは、
お泊りをした時に感じていた。
これから、こちらの世界のお肉を見せることになるけど、
クルに楽しんでもらえると良いな。
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