Episode.36 Excellent!
ふと……この前、冴子が言っていた言葉を思い出した。
「めぐみは『恋愛を求めない方が良い人』なんじゃないかって思うんだ」
……確かに、こうやって楽しく歌っている時でも、私の頭の中では『恋愛』が、まるでぬいぐるみの中の綿みたいに、パンッパンに詰まっちゃってるような気がする!
このままじゃ、やっぱりダメだよな〜〜
……と、私が頭を抱えそうになった刹那……
『♪お前がっ! 俺のっ! 全 て だ ぜ っ !』
うわっ! びっくりしたぁ!
冴子!? なにその野太い声!?
「面白いでしょ!? 最近のAIマイクは、どんな声にも変換できるんよ! めぐみもやってみ〜!」
確かに面白そう!
何事もチャレンジよね!
これまでの人生で、たとえ天と地がひっくり返っても自分では絶対選ばないであろう曲を選んで……スタート!
『♪ルゥ〜〜♪ルルゥ〜♫ルル〜ル〜ルルゥ〜〜♪』
きゃ〜〜〜! 恥ずかしい程ムーディー!
……恐る恐る、字幕を見ながら歌ってみた!
『♪おんめえぇ〜〜〜ってぇ〜〜やつはぁ〜〜〜ほんとぉ〜〜〜に〜〜〜よぉ〜〜〜』
うわわわわわわわわああぁぁ〜〜!
すごっ! すごっ!
渋~~い歌声が部屋中に反響して、耳の中に飛び込んで来た〜〜〜っ!
こ れ !
飛 ぶ ぞ !
こんな経験初めてだ! 自分が男になっちゃったみたい!
「ちょ! まっ! ま〜て〜よ〜!」
……って、これハマる! クセになっちゃう〜〜!
「ね!? 面白いでしょ!?」と冴子がいつもの可愛い声と笑顔で言った。
「おんもしろ〜〜いっ! いや『面白い』を通り越して……もはや神っ!」
はっ!
もしかして、これって途轍もない可能性を秘めているのでは!?
……今まで『恋愛』に占有され、すっかり凝り固まっていた私の脳が動き出した瞬間だった!
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