Episode.35『 LIKE』
とある休日……
私と冴子、そしてチャミさんの三人で、楽しみにしていたカラオケに行った。
……実はこの前日、私は冴子から、チャミさんと冴子の本当の関係を打ち明けられた。
色々あって落ち込んでばかりの私に『恋をする素晴らしさ』を伝えたくて冴子とチャミさんが相思相愛であるかのような一芝居を打ったそうなのだ。
冴子がどれだけチャミさんを慕い、愛していても、チャミさんはその気持ちを受け止めてはくれなかった。
そしてチャミさんは、亡くなられた奥様を今でも愛し続け、冴子には若くて一生彼女を愛し続けてくれる彼氏を作る事を心から望んでいる。
……この『真実』の方が、下手な小芝居をするより、もっともっと美しい……という事に気づき、カミングアウト? してくれたというんだ。
さえこ……なんて優しいんだろう! 私、さえこと親友になれて世界一幸せだよ! ほんと、大好き♡
チャミさん……こんなに若くて、顔も、スタイルも、何より性格も良い冴子に告白されても、亡くなった奥様への一途な愛を貫いているなんて……なんて素敵なんでしょ!
……と、そんな事もあって、3人ともスッキリした気分で心からカラオケを楽しんだ。
チャミさん……もとい水戸街道さんは、本当はクラッカー・チェリーなんかより懐メロが好きで、ヒバリ? とか、モモエ? とか、一度くらい耳にした事があるような曲を歌ってくれた。
私たちは当然クラッチェや『魔女っ子メグミちゃん』、そして冴子の十八番の『今夜はさえこう!(最高)』を歌い、やがて居眠りしちゃった水戸街道さんを横目にあらゆるジャンルの歌を夜が明けるまで歌い尽くした!
……と、そんな中、たくさんの歌詞を観て、そして聴いて、改めて思ったことがある。
……ねえ?
……『恋愛』って……何?
例えば私、たらこパスタが死ぬほど好きなんだけど、たらこパスタを思い出したからって、歌詞にあったみたいに『♪胸が苦しくなる』とか『♪独り占めしたい』なんて思わないし、死ぬほど好きとは言いつつも、本当死んじゃいそうなら海鮮パスタでもミートソースでも全然オッケーだし……
これってやっぱり、恋愛の『好き』と意味合いが違うって事なのかなぁ?
前に、何となく『好き』だった
これもやっぱり……『恋愛』とは違うんだろうな……。
冴子やチャミさん、宏美や瀬楠、私のパパとママ、星の数より多い『恋愛の形』に一喜一憂している世界中の彼氏、彼女……。
皆は、楽しいだけじゃないかも知れないけど『恋愛』を経験している。
そんな中『
……やっぱり、私だけヘンだよね……。
こんなに楽しい時間を過ごしながらも、私の心は、何とも言えない『孤独感』を感じていた……。
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