Episode.30 phone Call

 ホラー映画みたい……って言うにはあまりにもお粗末な事件から数日……


 ……冴子から連絡が入った。


 何と!


『会って欲しい人がいる』と言う!


 ニット帽とビン底メガネ、そして顔の半分以上隠れる、どデカいマスクを装着し、教えて貰ったお宅に伺った。


 そこは閑静な住宅街の一軒家だった。


『ピンポ〜〜ン』


『は〜い!』 冴子の、ヤケに陽気な声がインターホンから聴こえた。


『ガチャ』……とドアが開き、中から冴子が満面の笑みを湛えて顔を出した。


 ……! か、可愛い♡ 


 決して派手なお化粧をしている訳でも、素敵なお洋服を着ている訳でも無い。 ……ひっつめ髪にTシャツ、綺麗だが使い込んだエプロンを身に着けているだけ。 それなのに、なんでこんなにカワイイの!?


「さっ! 上がって上がって!」と、冴子がスリッパを私の前に揃えながら言った。


「失礼しまぁ〜す。 はい、これ!」


 私は途中で買ったおみやげの洋菓子を渡しながらお邪魔した。


 ……冴子が和室のふすまを開き


『チャミ! お待た!』


 ……と言って、目を細めながら私を招き入れ「こちら、私の大、大、大親友の『めぐみ』こと『蛸殴たこなぐり使手恵してえ』さん!」


 ……と紹介してくれた。


 私は変装セットを慌てて外しつつ、深くお辞儀した。


「めぐみ、こちら私の大切な人『チャミ』♡」


 私が顔を上げると、優しい笑顔で顔をしわくちゃにした方が、冴子に支えられながらゆっくり立ち上がった。 そして自己紹介してくれた。


「初めまして♡ わたくし、サエちゃんと仲良くさせて頂いております『茶三チャミこと『水戸街道みとかいどう茶三郎ちゃさぶろう』……当年とって93歳です! お見知り置きを!」


 ……🙂

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